婚約破棄? 超短編3連発

ーー そのいち  長すぎた婚約  ーー




公爵家の応接室にて




「突然の訪問ですまない、この間私から言い出したことではあるが婚約の話についてなかったことにしてほしい。」




「なぜですか、王子!!」




「なぜそこで怒る?」




「婚約を破棄するんでしょ、私以外に好きな人ができたのよね!!」




「馬鹿を言え、俺が愛しているのはお前だけだ!!」




「ならなんで婚約を破棄するんですか!!」




「いや、婚約はまだ正式に結べてないだろ」




「ええまあそうですが。」




「一度婚約しちゃうと、一年は婚約を維持しないといけないだろ」




「ええ、この国の貴族法ではそうなっています。」




「そんな一年もお前を嫁にするのを我慢できるわけないだろ!」




「え?」




「なので婚約は無効で即結婚だ!!」




「・・・」




「さあこの婚姻届に名前をかけ!!邪魔が入らないうちにすぐ教会で式をあげるぞ!!


すでに司教には金をつかませて待機済みだ!さあオヤジどもに邪魔されないうちに行くぞ」




「本当ですか?王子?」




「本当だとも、さあ俺の嫁になれ返事は、はいしか認めないぞ!!」




「はい」




ーー そのに 真の愛故に ーー




王城貴賓室にて


「すまんが、婚約を破棄してほしい。」




「王子なぜ?」




「これは俺の事情だ。」




「他に好きな人ができたのですね。」




「それは違う。俺が愛しているのはお前だけだ」




「ならなぜ?」




「それは俺が不治の呪いにかかり、このままでは一年も生き残れないこととこの呪いが感染性だということだ」




「感染性の呪い?」




「そうだ、直接触れ合うだけで感染しそのものも呪われる。」




「・・・」




「このままではお前も巻き込んでしまう。」




「回呪する法法や、寿命を伸ばす方法はないのですか?」




「回呪はこの国の大司教の祝福でも無理だった。回呪できるとすればこの国反対側にあると


言われる伝説の神聖帝国だけだろう。そしてそこまでの道のりはどう軽く見積もっても2年はかかる。」




「助かる方法はないのですか?」




「この呪いを感染させればその分寿命は伸ばせるとは聞いている。」




「なら、この際手段は問えません。死刑囚など・・・」




「それは無理だ。この呪いの嫌なところに感染対象はそのものが愛した家族以外のものという枷がある。」




「・・・」




「つまりそういうことだ。そして俺はお前を巻き込みたくないし、最後でみっともない姿を見せたくない。


だからわかってくれ。」




「王子、私のことを甘く見ていませんか?」




護衛を振り払い、王子に抱きつく公爵令嬢




「それではお前の命が・・・」




「これで寿命が少しでも伸びたのならその分、伝説の国にたどり着ける可能性が増えたのでしょ?


一年でも無理でも二年なら!!」




「・・・」




「さあ王子、時間を無駄にできませんわよ、大至急船を仕立てて伝説の国にいきましょう。」




「お前は強いな」




「王子、知りません?恋する乙女は無敵なんですよ!!」




そして二人は伝説の国へと至る。






ーー そのさん 王子との婚約破棄  ーー


学園の貴賓室にて


「王子、大事なお話があります。」




「なんだ急に呼び出して、先週までひどい高熱で病に臥せっていたのではないのか?大丈夫なのか?」




「その件についてです。」




「病気は治ったのだろう?」




「王子病気は治りました。ただ一つの問題残して…」




「なんだその問題とは」




「それは、私が子供を産めない体となったということです。」




「それは誠か?」




「はい、公爵家専属の医師の診断結果です。」




「・・・」




「子供を産めない妻に意味はありません。ですので婚約の破棄をお願いしにきました。」




「それは認めんぞ!!」




「私だって嫌です。それでもあなたの負担にはなりたくないのです。」




「俺のおまえへの愛がその程度で無くなるものか!!」




「王子、王位継承者が石女と結婚などできませんわ」




「なら俺が王子をやめたらいいだけのこと。」




「え?」




「王位継承権を捨てて、ただの一人の男としてお前に求婚をすればいいだけのこと」




「王子そんなことはやめてください。せっかく王になれるようにお膳立てが揃ったところなのですよ」




「お前に比べれば大したものではない。俺は王位とお前を選ぶなら迷うことなくお前を選ぶぞ!」




「王子!!」








「というのが、ママとパパの馴れ初めよ」




「え?じゃあどうして僕が生まれてきたの?」




「それは内緒。パパの努力の賜物よ。」




「そっかぁ、それだから身元もわからぬ風来坊の子供とかいってきた同級生が近衛兵に連れて行かれちゃったのかぁ」




「そうよ、表立って言えないけどパパは王家のものだし、今の王様のお兄さんで王様は


パパのことが大好きで、今でも色々よくしてくれているのよ。」




「だから僕が次の王様になるの?」




「そうよ、王様は王家の風習のせいで追い出すことになったパパにすごく罪悪感を持って


結婚はしたけど子供は作ってないの。そのため表向きの話でも王位継承権を持つ


公爵家の嫡男であるあなたが次代の王位継承者の中で継承権が一番高いし


実際の王位継承権から言ってもあなたがTOPなの、でもこの話は内緒ね。」




「どうして?」




「それはまた今度ね。さぁ夜も遅いわ、おやすみなさい。」




「はい、ママおやすみなさい。」

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