おまけ その時議会に激震が走った。

臨時秘密議会開催数日前の夜


王宮内会議室

「よくぞ集めってくれた、議員諸君!」


集まった議員の代表として議長が言う。

「次期国王アトラス殿下のお呼びとあらば」


「うむ、その件でなのだが、俺は王位継承権を放棄したいと思う。」


「いきなりそんなことを言われても皆の者も困りますし、

正直困惑しているのですがなぜ?」


「それなんだが俺が公爵令嬢と婚約しているのは知っているな?」


「ええ、公爵家第一令嬢メリダ様とですね。」


「俺は、他に好きな女性ができてな、そのものと結婚したい」


「それなら、第二夫人に向かい入れては?」


「いやそれではメリダに誠実ではない。きっちり婚約を破棄と言うか白紙化だな。

その上で俺の権限で動かせる王家関連の資産などを供出し、責任をとって

王位継承権を捨てようと思ったのだ。」


「いや、そこまでしなくても、特に継承権を放棄する必要はないのでは?」


「相手が、男爵家で、その上庶民の出なので、王妃は勤まらぬ。」


「それは・・・」


「確か規定もあったよな、責任能力がないものが王位継承権をもった場合

排除する規定が。」


「はい確かに、王室規定 15条 身体的、精神的、能力的に足りないものが、

王位継承権を持った場合は、これを排除する。」


「そうそれだ、それの第二項 排除については、本人の申し出があった場合は、

王位継承権を剥奪、幽閉、または3代先までの王都からの追放を行うと言う規定だ」


「流石にその事項を配偶者が原因にも適応するのは流石に拡大解釈すぎるかと。」


「言いたいことはわかる。だが俺は国にも我が愛した女にも誠実でありたい。」


「一応議会工作を行いますが、いくらなんでも厳しいかと思います。」


「それは材料がない場合だよな。」


「なにか議員達を説得できる材料があるのですか?と言っても

まだ市民議員であれば調整が効くと思いますが、貴族議員については、

私も含め様々な利権の問題があり・・・」


「それは大丈夫だ。今から見せるものは、この場にいるものと、議決権を

取りまとめてる貴族議員の派閥長以外にはバラすなよ」


「一体何を見せると言うのですか?」


王子は、手を叩くと、側付きの侍女に台に乗せた何かを部屋に運び込ませた。

それは巨大なオーブとそれに繋がる何かでできた魔法装置だった。


オーブには、この世界の地図が表示され、その上には雲がかかっている。

「これが材料だ。」


「ま・・・まさかこれは?」


「そうそのまさかだ。このことで迷っていた時に、迷いを振り切ろうと、

迷宮の未探索区域を一人彷徨ってる時に見つけてな」


「そんな危ないことを・・・というかそれ以上にこれは危険です。」


「そうだろうな、この太古の魔法装置 ウェザーコントローラは!

だがこれさえあれば、現状の水利権の問題のほとんどは解消しないか?」


「ま・・・まあ確かに河川や湖の水利権については問題はなくなりますな。」


「これは天のお導き、彼女と結婚するにあたっての障壁を破るために

神がくださったものだ!」


「た・・確かに、神の所業ですな。まあこれの使用権を交渉のテーブルに出せば、

公爵閣下以外であれば、首を縦に振らざるを得ないですな、ところでこれの

使用権の分配は王家が行うのですか?」


「いや、これは議長に任せようと思う。」


「え・・・ちょっとまって、わしがこれの利権配分をやるの?」


「ああ、おれは王家から出るし、王家から出るものがこんな利権を持っていては

国のためにはならん。」


「いや、そこは殿下が持っていてもいいのではないかと・・・」


「それでは王家から出る意味がないではないか、そして我が妻になるものの

実家にも問題が起こる。」


「それはそうなのですが・・・」


「それでは、議会での根回しを頼むな、ああ、あと俺は王位継承権放棄を確実に

するために、卒業パーティでバカのふりをするから、継承権放棄の議決は、

その後でいいぞ、その後なら何も知らぬ市民議員どもは、王族をこき下ろせると

喜んで票を入れてくれるだろうしな」


「ちょっと王子・・・勘弁してください!!」


「これだけの利権を渡すのだから、た・の・む・な。 わかったな た!の!む!」


「・・・」


頑張れ議長!負けるな議長!

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