婚約破棄だけどこれはしょうがないよね

学園の大講堂で開かれていた卒業パーティ会場でその喜劇は起こった。

一人の人間離れした美貌を持つ貴公子が言った。

「公爵令嬢アレクサよ、すまん。私は真の愛に目覚めた!!お前との仮の婚約を破棄し男爵家のコルタナと新たに婚約を結ぶ!!」


「殿下…なぜ?」


「私は真の愛に目覚めたのだ。」


かなり困惑した顔でアレクサは言った。

「殿下、真の愛はいいんですが、コルタナさんは、ちょっとまずいんじゃないかと」


「何がまずい。」


「いえ、コルタナさんとの婚姻を結ぶとなる身体的問題でいろいろ

お世継ぎで非常に困ることになるかと…」


「それは問題ない!」


「殿下、言いたくはないのですが、コルタナさんは男の娘ですよ!!」


「それがどうした?それは些細な問題だ。」


「いえ殿下、このような場でなく、そして正規の手続きを取られた上で

この国の貴族令嬢との婚姻をのぞむのであれば、私との婚約はあくまで

仮のものなので問題ありませんが、流石にあの方との間では世継ぎが

できないのでかなり問題かと…」


「ああ、それか、それなら問題ない。この場で話をしたのには意味がある。」


「いえ殿下この場でこんな話を行うと、殿下への信頼問題や、

王家の恥に繋がりますので・・・」


「なるほど、それを心配しているのであれば問題ない。」


「問題がないってことはないでしょ!!こんなところでこんなことをしたら、

あなたの王位継承権にも問題が出るのよ!!」


「言いたいことはわかった。ならなおのこと俺がこれからいうことを

聞いてからにしてほしい。」


「殿下、一体何を言うというのですか…」


「皆の者!この場を持って私の秘密を開かさせてもらおう。私は実は女だ!!」


「「「え?」」」


「王家には私と双子の弟しかいないのも皆も知っているるだろう。

弟である現第二王子の体は生まれつき弱く、ごく最近までベッドから

起きることすらできなかった。

そのため世継ぎの件で他国からの介入を受けるのを避けるため。

性別を偽りギリギリまで弟が健康を取り戻すのを待っていたのだ。」


「すいません、王子それは初めて聞いたのですが。」




「すまんな、これは王家のものと筆頭侍従医、そして俺の側付きの侍女のみの

機密だったのだ。これは我が父の弟であるお前の父すらも知らぬ。」


「そんなことが…」


「というわけで俺は男ではなく。性別的には女だ。」


「それはわかりましたが、殿下?ではないですわよね。 えっとクオタ王女、

それならなぜコルタナ様を?」


「これは最近わかったことなんだが、俺は体の性別は女だが、心の性別は男だ。」


「クオタ様、すいませんちょっと情報が多すぎて混乱して…」


「そうだな、まあ簡単に言おう。流石に体が女であるとはいえ、

正直男を受け入れるは正直無理だ。あんなゴツゴツした体に

抱かれるくらいなら死んだ方がマシだ。」


「ま…まあ、そういうこともあるかもしれまんわよね…」


「ただ王家の血を絶やすわけにはいかん。そこで困ってきていたところに

コルタナと出会った。そして一目で恋に落ちた。いやこれこそが運命

そして真実の愛!!」


「ええ、まあ…」


「そういうわけで、俺は女に戻り、コルタナと結婚し子供を産む。全て問題ない!」


「ええ、まあ性別的には問題ないですわよね…」


「納得してくれて幸いだ。ああそうそう、弟がぜひお前と付き合いたいと

言っておった。」


「へ?」


「まあ体の問題もあり、なかなか信用できるもの以外には会えず、

家族以外でもっとも顔を知ってるのはお前だしな。

というわけで俺との仮の婚約は解消する。

体が治ったとはいえまだリハビリが必要な弟のことをよろしく頼むな。」


「えっと…」


「まあ急な話だから混乱するのはわかる。まあいい、皆の者聞け。結論を言う!

我は第一王子ではない。第一王子は現第二王子だ。俺は臣籍降下する。

これから弟を支え国を盛り立ててほしい。以上だ」


あまりの超展開に会場のほとんどの者が、何も言えず固まったままパーティ

が終了した。


その後、元第一王子は宣言通り臣籍降下し、コルタナと結婚した。

結婚式では、元第一王子は、タキシード。コルタナはドレスを着た。

その後3人の子宝に恵まれ幸せに暮らしましたとさ。




なお公爵家令嬢は、元第二王子(現第一王子)と結婚し王国を盛り立てて

行くこととなったとさめでたしめでたし。


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