第27話 御先祖の御旅立ち

ボトン!

脱ぎ捨てられた服のように

前田拓鳴が一将から出てきた途端

一将は倒れてしまった。


夏歌は慌てて駆け寄った。

拓鳴はそんな夏歌に

「大丈夫じゃ、少し体力を使わせ

過ぎた、しばらく寝かしておこう。」


ザワザワと声が聞こえ現生前田家

の使用人、前世前田家の使用人が

集まった。


カミナリの音で皆正気に戻ったようだった。


見える人はギョッとし、見えない人は

何も気にしていない様子だった。



ヨロヨロと祈祷師が仏間から出て

来たのをみて

Σ( ̄□ ̄!!アッ💦

と驚く夏歌を祈祷師が駆け寄り


「ありがとう、有難😭とう。」

祈祷師のオバチャンは白装束が

濡れる程ないていた。



体を乗っ取られ霊体になり

自分が前田家をとり潰す様子を

見ながら仏様に謝っていたと言う。


仏様は夏歌を指さし

「腹の子が、前田家を助ける。」

と仰った。

だから守谷武将に事の次第を伝え

仏様を解放する術を教え解放された、仏様の怒りで垂水光源を打った。


「仏様を縛るとはなんと‼バチ当た

りな‼」


一同は5キロ位の仏様を仏間の真ん中

に戻し、寺の住職をよび、一夜の

護摩焚きの業を行った。


垂水光源の霊を天に押し上げ

又前田家には清々しい朝が来た。


下屋敷に戻るとお婆ちゃんは

熱海の温泉に、地区の人達と出かけて

いて明日しか戻らないと留守番の

人に言われた。

昨日あった人はだれだ?



朝、上屋敷には沢山の武士が集まって

いたが皆商人の姿になっていた。


守谷武将は髪を結い上げ

矢が抜けて血も拭き取られ

恐ろしいしかめっ面をしていたのが

穏やかな顔をしていた。

他の武将も皆、商人の姿で現れた。


「一将、前田家を頼む

前田家が栄えると言うことは

土地のもの達が穏やかな日々を

おくれると言う事だ。


鷲ら全員天に帰る時が来た。

下屋敷の者も、元屋敷の者も

上屋敷の鷲らも、旅立つ時が

来たのだ。


後の事を頼むぞ!」


「待って、待って下さい。

もう前田家を守って貰えないの

ですか?」


夏歌が慌てて聞いた。


「鷲らが居なくても

もう大丈夫だ。


一将を支えてくれ。


しかし念じれば力になろう。

見守っておるぞ。」

前田拓鳴は、厳しい顔を緩め

夏歌に向かって声をかけた。


こうして見ると中々のイケメンだ。




「守谷重篤さん、貴方も

行くのですか?」


夏歌が寂しそうに呟くと


「お名残りおしゅうござります。

しかし何かござれば、夏歌様

直ぐに駆け付けます。


私達が公園で猫でいた時も

あなたは優しかった。

何時までも、そのお優しさを

お忘れなされませぬよう。」


そう言うと昼休みに会っていた

猫達があらわれた。


あの日のように夏歌にゴロゴロと

擦り付き尻尾を立てた。


「アッ、」

夏歌は驚きの短い声しか

出せなかった。」


その旅立ちは夜ではなく

日の出と共に行われた。


お婆ちゃんに別れも告げず

一将の祖父も旅立つた。


きっと又お婆ちゃんを泣かすのが

嫌だったのだろう。

この現象が見えているのは

霊感を持つ数人・・・


残念ながら一将には何も見えなかっ

たらしい。


守谷さんからお腹に子供がいると

言われ産婦人科へと一将に内緒で

行ってみた。


なんとΣ(゚д゚lll)12週だった。

若様と守谷さんが言っていたから

男の子だろう。


みんなが天に帰る前に報告

したかった。


一将の提案で森の中の屋敷跡は

整備されアウトレットが楽しめる

キャンプ場に、

道の駅みたいな野菜、加工品

特に蜂蜜、ジャム、自然化粧品

など沢山のアイデアが出され

賑わいをみせていた。


又従業員も土地の人を使い

前田家の繋がりも又増えて行った。



一将の野郎もう浮気も懲りたん

じゃねそう思っているが・・・


見てくれのいい色男

夏歌のお腹は3ヶ月になっていた。


会社にはまだ報告していない。

お婆ちゃんに今度帰った時に

1番に知らせるつもりだ。


一将と一緒に夏歌の軽で高速に

乗る。


しばらくすると馬が現れるハズ


でも・・・💦

見えなかった。

天に帰っただろうし

いないか‼



現れないと思えば寂しい気持ちに

なる。

パカパカパカパカ

その音に一将も夏歌もハツとした。


なんと雲が馬の形になり現れた。

その馬には守谷重篤さんが

乗っていて手を振り消えた。


「一将が浮気したら直ぐ

報告に来るわよ、守谷さん。」


「は?しないよ。

酒も辞めたし、大丈夫だよ。」


「大丈夫であって欲しいなー」

夏歌はお腹を撫でながらニッコリ


「携帯、なってるんじゃない?」


「あ、ああ💦だれ・・だろうな?」


高速を降りて近くのコンビニに

車を止めた。


夏歌は手を一将の前にだした。

「うん?なに?(笑)💦」


「携帯、出せ‼」

夏歌は(✧"✧)・・・


「な、何でも無いって

ただ相談したい事があるらしく

てさ・・・💦」


「いいから出せ」


夏歌は渋々手渡す一将に


「懲りない奴(ꐦ°᷄д°᷅)⚡」

と一喝して携帯をスクロール。

新着メッセージを見る。


「今度ゆっくりあいたいです。」

優里


「あ、あ、優里ぃー」

夏歌は呆れた顔で言った。



「いやいや、俺は断った!

本当、本当‼でもしっこくてサ

一回だけならって会う約束を

してたんだよ。」



夏歌は降りた高速に引き返し

又走り出した。


「な、夏歌何処いくんだ?

やっと着いたのに?」


今度浮気したら終わりって

言ったよね‼」


「まだしてない‼」


「もういい加減にシロ

別れよう。一将」



( ´Д)


「アンタが馬鹿すぎるからよ‼」


「優里って・・・優里タンでしょ。

彼女の元彼の女に手を出すなんて

ヤッパ、私の常識で考えるレベル

超えてるワ。


無理っす」


「違うって、落ち着け!」


「落ちついてるよ、お前が

落ち着け!アホ」


「あー分かった、分かった‼

本当の事話すよ、話せば

納得するんだろう。」


高速に乗る前の一歩手前で

夏歌は車を止めた。


「で‼」


「え?で‼ってなに?」


「なんで優里タンと接近出来たのよ。」


「いや💦彼女は取引先の令嬢

だったんだ。

この間のパーティで偶然会って

社長に紹介されて・・・💦」


あ、ああ

「あれか?創立記念日の・・・?

確か建設会社だっけ?」


夏歌はなっとくして一将に

確かめるように優しーく聞いた。


「で付き合うはめになったんだァー

お手合わせしたいって言ってた

もんねー」



「いや、だから付き合って無い‼」

一将もキッパリと答える。


「いえいえ、ご遠慮なく‼

どーぞどーぞ‼

死にかけても私に会いに来ないでよ!

絶対くるなよ、勝手に4ね。

アンタがこんな馬鹿とはね。」



「馬鹿馬鹿言うな‼

今度作るモールを彼女の父親に

依頼したんだよ、そしたら偶然

彼女に会って話しただけだ‼」


「へ〜で‼

連絡先交換したの?

なんの為に?彼女はお菓子会社に

彼氏がいるんだよ‼


私の元彼‼」



「いや💦分かってるよ、

ただこれからの事もあるし・・・

無理に関係を拗らせたく

無いんだよ。」



「じゃあさ、

順序踏めよ

別れてから付き合いなよ。

二股されたのが2回目

それも相手は同じ優里タンって

ナイワ‼」


「だから、付き合いがどーの

じゃないって‼」


「だって、今度ゆっくりあいたいです。って彼女言ってるじゃん。」


「いや💦

会わないし!」



「嘘つけ‼」


「嘘つかないし・・・」


「もう1回 4ね‼」


「・・・」


「会うって言っても、村神も

一緒だし、変な事はないよ。」


「何でもかんでも村神さん

出せばいいってもんじゃないよ💢」


「ほら、返信しないと

来てるよ!」



LⅠN〇

今度ゆっくりご飯いきませんか?

お返事待っています。


返信


優里さんは彼氏がいると聞き

ましたが彼氏に悪いので

ご辞退します。


優里

彼氏?いませんよ。

誰が言ってるのですか?

まさか夏歌さんですか?

彼女の誤解です。



このラインを翔馬にスクショして

送信。


青ざめた翔馬の顔が浮かぶ

(*´罒`*)❤ニヒヒざまぁwwww


夏歌が送信しても意味無いので

電話ボタンをポチッ

一将の頭にゴチンと当てて

渡した。


「一将さん?

あれは誤解です。」

気まずそうな一将を夏歌は人睨み




「いやその、あの?」

隣で知らん顔をする夏歌を気に

しつつ、


「あの、すみませんが夏歌が

誤解して、困っているんですよ


貴方の事は何とも思って無いんだ

けど・・・💦」


「え、あんなブスの事

きにしてます?

胸も無くて可愛げもない

つまらない女じゃないですか?」


👂を立てて聞いていた夏歌は

ヾ(*`Д´*)ノ"なんだとーと携帯をぶんどろうとしたとき


「小山田翔馬は、君の乳狙いだと

聞いたけど?お前顔、アルパカじゃん

夏歌程可愛くなってから言え‼


あ💦アルパカよりマントヒヒに

似てるよなアハハハハアハハハハ」



「は?一将さん・・・」


「ゴメン、俺乳狙いじゃないからさ

それに俺には夏歌と言う婚約者

いるし、もう一緒に住んでるし

子供も作ってる最中だし

誤解を招く発言は無しでお願いします。」


「そんなァー一将さんが

いいのぉー

お願い、一将さん。」



「え‼・・・無理‼」


「君には小山田翔馬がいるだろ?」


「い、いません。

一将さんの勘違いです。」


「君が良くても、俺は嫌なの!

君の父上には事の次第を報告

させてもらいます。

次いでに小山田翔馬にはもう

連絡済みだから」


え〜(:(((;゚Д゚)))うそぉぉ


「このスクショも送るから

言い訳考えてたが良くね。」


一将の徹底的な仕打ちには

プルリンとじまんの乳も、勝ち目が

ないらしい。


ブチッと切った電話に夏歌も苦笑い。


「ちょっと言い方酷くない?」


「後々面倒になるより

キッパリ言った方がいいんだよ。」


「う・・・💦そうだね。

翔馬、傷付いてんじゃないかな?」


「いや、噂じゃ彼女かなりの

遊び人らしい、彼の為にも

良かったと思うぞ‼」


なんか変に丸め込まれた気もする

けど・・・💦なんかしっくりこない。


隣の一将はのんびりと無かった事

にしてるよな‼


「今日の晩飯何かなぁ」


(▽ω▽)ギラッと睨む夏歌にも

「ヤキモチ妬きめ、

俺は浮気しません。

安心しろよ!」


的な余裕の(笑)


(; ̄Д ̄)?はぁ‼

「今日は見逃してやるが

今度は許さんからな‼」

と夏歌は思った


なんせ小山田翔馬を寝盗られた

恨み言を一将が代返してくれた

ようで心がスッキリした。


大して好きじゃなかったけど

二股かけられたのが許せなかった。


そんな二人を乗せた車が去った後


3匹の猫がホッとして汗を拭いて

いる姿は、中々見られるものじゃない。



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