第25話 一将、あの世への御旅立ち?
パタン
閉まった音に一将が飛び出した。
「夏歌待てよ、何処に行く‼」
夏歌はプンスカプンに怒り💢
ガニ股でドカドカ歩く。
必死に、夏歌に駆け寄り腕を引いた。
「やぁめぇてえヨッ💢‼」
夏歌は、握られた腕を激しく
ブリ解いた!
「アンタの顔をみたくない!
こんな事実があって何を信じれる
のよ。
ブレスレット良くお似合いね。
歌音と同じくらい お.似.合.い‼」
「こ、これはゴメン。」
一将はブレスレットを引きちぎり
投げた。
赤くなった腕が、夏歌には痛そうに
見えたが・・・
でも、もういいや・・・。
「夏歌信じて、本当に覚えが
ないんだ‼」
「はァ?今更
朝だって、マンションを2人で
仲良く出て行ったくせに
何言ってるの?
私の事、なんだと思ってんのよ‼」
「そう思ってたなら
何で口に出して言わないんだ‼
分からないだろ‼」
「は? 分からないだろってか💦?
そっちの方が、分からんワ。
バカなの?普通、彼氏が女と
2人っきりで仲良く出かけたら
ムカつくし‼
あんたなら私が男の人と出かけ
たら平気?ん?平気?」
夏歌は一将の顎の下から顔を上げて
グイグイ
一将は仰け反りながらグーの音も
出ない。
「まあ、半分は予想していた
けどね‼
あんたら2人を見てたら
そんな気もしてたよ。
私の気持ちが、平気な理由
ないでしょ。
馬鹿の馬鹿なの本物の、馬鹿なの?
アンタの浮気癖は治らないのよ‼
しかも歌音もね‼
軽い同士でお似合いじゃーん。
人の彼氏、寝とるゲームだって
やってたんだから、浮気癖のある
一将なんかすぐ落ちたんでしょ!
歌音には簡単よ!
でも、妹だと知ってて
手を出すあんたは
最低最低最低最低最低最低‼
の最低‼」
まあ、夏歌は
べらべらべらべら
不満うんぬん。
「夏歌、どうしてこんな事に
なったのか分からないんだ
本当に・・・。」
「ああ、いいのいいの、妹も
今度は本気だし
あなたも満更じゃ
無かったんでしょう。
良いじゃない‼
妹を宜しく、あなたが私の義弟に
なったとしても
どーでもいいワ。」
妹との縁も、実家との縁も切ります。
私が居ない方が、あなたも実家に
行きやすいでしょう。
姉として妹の幸せを祈るわ。
まさかアンタが義弟になるなんて
アハハハハアハハハハ
“ふざけないでよ‼“」
二人の様子を眺めていた御先祖は‼
「親方様、このままでは
お2人は別れてお終いになります。」
頭に矢が刺さった武士はたじろい
ながら発言した。
「いや、少しは一将も反省が必要だ
しばらく放っておこう。」
「でも‼」
「嫌、そなたが憑依しなければ
色情霊に取り憑かれ歌音共々
憑依されて取り返しが付かない事
になっておったワ
一将も歌音に少なからず隙を見せて
おった、そうでなければ夏歌も同伴
させておったであろう。
ガンとした精神には色情霊は取り付けぬ‼
一将も歌音に少し揺れて
おったんじゃ‼
前田家の跡取りとあろう者が情けない‼
儂が全国回って見つけた嫁に‼
ケチ付けるとは💢
喝‼️ 」
今度ばかりは親方様も一将の所要に
呆れはてたようだ‼
一将は力なくトボトボとマンションに
帰った。
「ごめん、歌音ホテルを取るよ
今日はそこに泊まってくれ・・・」
「エッ‼・・・
お姉ち・・ゃんには、
悪かったと思ってる、でも本当に
好きになっちゃったの‼
だから・・・
お姉ちゃんがせっかく出て行って
くれたし、私に一将さんくれるって
言ってくれたじゃない。
ね、さっきの続きしない?
私は大丈夫だよ。
歌音は本気だよ。
一将さんがいいの!」
歌音は一将に飛びついて誘ってきた。
何が何でも一将を自分のものに
したい。
歌音はそんな事を考えていた。
そんな気持ちが伝わったのか
一将は呆れてしまった。
義妹として可愛いと思っていたが
そんな気持ちさえブッ飛んだ。
なんて事だ、歌音は本気で姉の
男を寝取る事ができるのか?
私は大丈夫・・・って何だよ‼
俺は大丈夫・・じゃないんだよ。
「お前は・・・
お前は、夏歌とちがう。
顔も声も良く似ているが
全然違う。
夏歌は譲る方だ
お前は奪う方だ
俺はコピーが欲しいわけじゃない。
小さい頃は違ったかもしれないが
夏歌は兄貴が歌音を守ってくれると
思っていたから自由奔放に
していたんだ。
君は、兄貴を独占している、そう
思っていたんだろ?
兄貴が、か弱くしていれば守って
くれるとか?
それは勘違いだぞ!
わからないのか?
兄貴の思いやりも気づいて無い
だろう?兄貴もそうやって夏歌を
自由にさせていたんだ。
歌音だけを可愛がっていた訳じゃない、同時に夏歌も可愛がっていたんだ。
一将の首に巻きついた歌音の腕を
剥がしながら一将は熱い口調で
歌音の耳元でそう呟いた。
「嫌々 嫌、嫌よ!
一将さんがいいの‼
一将さんが好きなの‼」
歌音は又しがみついて必死に叫んだ。
ふう〜
「俺も夏歌の前で君と同じ事を
言いたいよ、
夏歌がいいんだ
夏歌だけが好きなんだ・・・ってな‼
もう許しては貰えないだろう。
俺は夏歌を諦めるよ!
歌音、幸い君とはなんでも無かった
だから・・・
夏歌と終わった以上
君とも何の関係も無い‼
義妹でも無いし、君がここにいる
意味も無い‼
君と、君の実家の縁も切れたんだ‼
もう、赤の他人‼
出て行ってくれ。」
「そんな、一将さん。」
「夏歌の妹と思えばこそ
可愛かった。
いずれ自分の義妹になるんだ
そう思ったよ。
歌音、俺は君に妹以上の感情は
無いよ。」
しょんぼりとソファーに座る
歌音を、ホテルの支配人に連絡して
個室を取った。
タクシーを呼んでホテルに向かわせ
夏歌と歌音の兄貴に電話してホテルに
迎えに来てもらうように知らせた。
分かっている
歌音だけのせいじゃない!
俺の不甲斐なさでもある。
謝罪にも行かなければならない。
村神に電話して飛行機の予約も
兄貴と歌音の、二人分予約した。
🚨🚨🚫⚠🐞🐞🐞🐞🐞
ここからは自棄酒のシーンが
過激にはいります🐝⋆︎*゚∗🐝
気分を害される方は
次のページから読まれる事を
おすすめします。🐝
あらすじを次のページの頭に書いて
おきます。
大したこと無いやと思われる
方だけ読んでくださいませ。
あくまでもフィクションです。
🐞🐞🐞🐞🐞
俺はウイスキーを空けた。
キッチンに目を向けるとデカい鍋が
目に付いた。
グラスを取りにキッチンへと向かう。
鍋の蓋を開けると
夏歌の作った筑前煮がゴロゴロと
鍋に入っていた。
お姉ちゃんの作る田舎料理か・・・
歌音にはこの美味さが分からない
のか・・・パクッ
摘み食いをしても叱る夏歌は居ない。
明日誕生日だったな。
知ってたさ!
一将の部屋の引き出しに、夏歌へ
のプレゼントは入っていた。
夏歌が翔真に貰い損ねたと
いかっていた、アルマー〇のバック
それと・・・指輪プロポーズの
・・・シュン
夏歌こそ知らないくせに
俺の誕生日も明日何だぞ
鍋を開けて筑前煮に手を伸ばす。
モグモグモグ・・・ŧ‹”ŧ‹”美味いな!
俺は夏歌を泣かせてばかりだな!
いい男なんだから、仕方が無い
・・・で、終わるなら楽だろうなー
ウイスキーのボトルを握り
ドッカリ、とテーブルの前に座る。
真っ黒な、カバーだったソファーも
兎と猫のクッションを置いて
イカついソファーが柔らかく見えた。
夏歌の部屋にあったクッション。
夏歌の匂いが染みついた、
クッションを抱きしめて泣いた。
ウッウッウッ
握り締めたグラスがパリンと
割れた。
俺の手から赤い血が流れた。
なまあたたかな感触。
フローリングに赤い輪がポタポタポタ
まあ、どうでもいいや大した傷
じゃない。
何杯飲んでも酔えない。
テーブルには、氷がブリ撒かれ
われたコップが倒れていた。
一将はラッパ飲みでウイスキー
を開けていた。
喉も乾いていないのにガブ飲みは
多少辛い。
ヨロヨロヨロ
2本目を取り出しに行く。
体が真っ直ぐに動かない
ガンゴンぶち当たる。
ハーッ ドサーッ
俺は足から崩れ落ちた。
その場に座り込み
ウイスキー二本目・・・
空けても酔えない。
これはジュースなのか、ゴクゴクゴク
馬鹿野郎━━━━━━━━
ガン、ドン‼ パリンパリンパリン
バ〇ラのカップが食器に当たり
硝子の破片がどこそこに
散らばった。
「フッ、形・・有るもの・・・
いつか壊れるんだヨ━━━ガンガン
頭をテーブルにぶつけ
ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)あははは
📣\\\\ ┏(`ω´)┓////チクショウ
ウイスキーの空瓶を投げた
ガッシャーンパリンパリン
ウエッ ウプ
血だらけになり、又ウイスキー
を空けるがヌルヌル
悪戦苦闘して開けたウイスキー
を又ガブ飲み。
急に吐き気が襲って来た。
ヨロヨロと、トイレに向かう。
「あれ?酒は強いハズ
大丈夫、大丈夫
飲んで夏歌を忘れてやる。」
しかし、便器はグウルグル回って・・・
千鳥足
(๑﹏๑;)💦ヨロヨロヨロ
バタッ
遂に一将は倒れてしまった。
ハアハア
夏歌に会わなきゃ良かった‼
こんな苦しむ事無かったの・・に💦
詞ぬのかなと思った途端最後に
愛する夏歌の声が聞きたくなった。
声くらい聞いてもバチは、当たらない。もう既にバチは当たっているんだから・・・。
俺は市ぬんだなぁ﹏ハァ
ポケットから携帯を取り出し
夏歌の文字が分からない、2重3重
𖦹 ·̫ 𖦹グルグルにうつり、
定まらない!
どれでもいいと思った瞬間
頭に矢が刺さった武将が現れ
跪くと、若様ココです。
と真っ白い指で俺の指を掴み
電話マークを押した。
「あ‼ どーもどーも」
俺はペコりと頭を下げた。
何回押しても出ない‼・・・
俺の手から携帯が・・・ポロン
夏歌、な・・・つか、ハァハァハァハァ
💕💕会いたかったな
大好きだった・・・💦よ。
ポロリ涙が目の端から耳へと
・・・つるんと落ちた。
こんなに夏歌が好きだったんだなぁ
もっと大事にすれば、君は
一緒にいてくれたのかなぁ・・・
夏歌誰よりも、大好きだっ・・・た。♥
気が遠くなって視界がぼやけて
見えない・・・
夏歌、なつ・・・か〜…
パタッ
気が付くと俺は夏歌のアパートへ向かって歩いて🚶👣いた。
アレ?今までの胸を上がったり
下がったりの苦しさは無く
快適だった。
しかも真っ直ぐにあるける、
ザッザッザッザッ
ザッザッザッザッ
不思議な音が聞こえてきた。
ぜんたーい進めみたいな?
足取り揃えみたいな?
俺が振り向くと何人もの武将が甲冑を
来てザッザッザツと足音を立てて
付いてくる。
何で?なんで?
青白い顔をして、まるで戦地へ
向かうような厳しい顔をしている。
俺が夏歌のアパートに着くと
皆整列をして何も言わず立つている。
「若様、幸運をお祈りします。」
Σ(OωO )ビクッ!?
全員息を合わせたように大きな
声を出していた。
坊ちゃんとは良く呼ばれたが
若様?とは・・・
やっぱり俺の事だよな?
ってことは?
俺の知り合い?
でも俺は知らないぞ!
アパートのドアを開けようとドアノブ
に触った瞬間中にスルッと入れた。
「アレッ、これってもしかして?」
確かに間違えていない。
入ってすぐ全体が見える夏歌の部屋
アレ灼熱地獄じゃナイ‼
ヒンヤリしていて何と
クーラーがついている。
い、何時の間に買ったんだ?
しかも太幸デパート?
この間の売り出しの奴か、良く
買えたな!
争奪戦だったのに・・・
浴室のドアをすり抜けて中に
入る・・・
夏歌はブツブツ言いながら風呂に
入っていた。
「夏歌‼」
ギヤッ‼
「どーやって入って来たのよ!💥」
夏歌は信じられないと言う顔をした。
だって今日鍵屋さん呼んで鍵
変えたばかりだ‼
「いや、スルッと‼」
「え?スルッと?
ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ。
上がるから。」
夏歌はいつものように長いクルンとした髪をふきふき浴室から出て来た。
いつものように一将は
「ド、ドライヤーかけて、
あげようか?」
と言ったが・・・
「結構デッス‼(҂˘̀^˘́)ง💢
触らんといてくれ‼」
俺は叱られた🐶のようにションボリ
ブインブインブインガーガガー
ドライヤーの音が止むと
冷蔵庫を開けて、ファン〇グレープ
をゴクゴクゴクぷふぁーうめー
一息着いた所で「で‼」
「ん?何?」
不思議そうな夏歌の顔を不思議そうに
一将がながめる。
「なんか用があったんじゃない?」
「よう?💦いや、用事は無い‼
ただ酒飲んでて夏歌に会いたく
なっただけだ‼と思う」
「ん?思う?何それ」
「気付いたら夏歌のアパートの
近くにいたんだ‼」
「ふぅんソー‼
イミフだけど・・・?
歌音は?置いてきたの?
ってかあんなに仲良くしてた
のに・・・急に何で?」
「いや、彼女はホテルに泊めた
お義兄さんに来てもらった、
夕方の便にギリギリセーフ、
キャンセルが出てたんだ。
彼には迷惑かけたよ。」
「ふうん兄貴来るんだ・・・
でもなんで兄貴に迎えに来て
もらうの?
歌音との事話すつもり?
ってか?昼間の続きしなかった
の?歌音が好きなんでしょ。」
「昼間も言った通りあれは
ほんとに、なんでああなったのか
記憶が無いんだよ。」
いくら説明しても夏歌は信じない!
ヴヴヴヴヴ ヴヴ ヴヴヴヴヴ
ヴヴヴヴヴ ヴヴ ヴヴヴヴヴ
携帯のマナーモードが激しく
震えた。
「あ‼ 本当に兄貴だ‼ちょっと
待っててて」
無言
夏歌は俺をチラッと
見て叫んだ、
嘘ーおおぉぉぉー
「嘘‼ またまたぁー
だって一将なら今ここにいるじゃ
ん。」
夏歌は不思議そうに一将を見た。
《《何言ってるんだ、トイレに
倒れていて、今救急車で搬送
されたんだぞ!俺が見つけた‼》》
「え、だっているもん一将。」
「どうしたの?夏歌」
ビックリ声を、あげる夏歌に
一将は声をかけた。
「あんた一将よね、ね、」
「当たり前だろー
何言ってんだよ。」
《《早くコイ‼意識が朦朧と
してるんだぞ‼誰かと喋ってる
みたいだけど・・・。》》
夏歌は・・・また一将を見た。
「あんた倒れているらしいよ!」
「え〜何言ってるんだw
俺はピンピンしてるぞ‼」
「ダヨネ!」
《《お姉ちゃん、お姉ちゃん
早く早く来てよ‼》》
電話の横から歌音の声がした。
「歌音、泣いているの?」
「だって、だって一将さんが
目を開けないんだもん。
血だらけで、大変なんだってバッ‼」
「だから何言ってんの‼一将は・・・
ここに・・い・・るっ」
エッ‼一将
夏歌はベッドに座る一将を見て
驚いた。
「どしたの?夏歌?」
「一将、半分、薄い
まさか、まさか😱ホントに
倒れてるのお▁▂▃▅▆」
それに一将の身体から薄い透明な紐が
見えた。
それ・・・それって!
夏歌は紐を指さし震えた。
白い様で透明な様でとても綺麗な・・
夏歌は慌てて、
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ
「一将上見ちゃダメよ。」
「え?なんで」
「上には凄い世界が広がって
るから、見たら終わりだよ。
見たら上へと昇るから・・・💦
それはアンタしか見えない
入口なんだから・・・💦」
夏歌は、走りながら
「一将付いて来てよ、早く早く‼。」
タクシーを捕まえた。
夏歌はタクシーに乗り込み
病院へと急いだ‼
「あ、あ、あんた
何したの?」
「え、お客さん?何か
ふてぎわでも?」
運転手さんは夏歌の言葉に
驚いていた。
「あはっエッとあ‼ 違います。
違うんです!
携帯携帯‼なんでもないです。」
多分今、ここにいる一将は
体を抜け出した魂だ‼
この紐は幽体離脱をした証拠だ、
長い時間離れていると紐が切れて
死んでしまう。
夏歌は電話してるフリしながら
一将に聞いた。
「あんた何したの?
自殺?」
運転手さんはΣ( ̄ロ ̄lll)ゲッ!!
「じ、自殺﹏い、急ぎますね。」
「あ、はい。
すみません、お願いします。」
「いや、ちがーうよ。
んな危ねー事しねーよ。
ウイスキー飲んでて、酔えなくてサ」
「どんだけ飲んだ?」
「ボトル2本目開けたまでは
覚えてる。」
「なんでそんなに飲んだ?」
「酔っ払えば、苦しい気持ちから
救われるかと思ったんだ‼」
「浮気しといて苦しいは
無いだろ!
私の方が酒飲んで忘れたい側」
「夏歌ゴメン・・・・・・」
そうこうしていると大学病院についた。
急いでくれた運転手さんに
御礼を言って飛び出した。
走って走って走ってハアハアハアハア
一将早く早く体に戻って
ほら、白い紐が切れたら終わりだよ‼
「紐?ああ、これか‼」
一将の体と動き回ってる一将の体
から繋がる紐を一将はプラプラと
揺すった。
「(((٩(๏Д⊙`)۶)))ぎゃー!!
やめて、やめて、触らんといて
切れたらどーするのよ😠」
これは体と魂を繋ぐ紐だと夏歌は
知っていた。
以前、そう言う人を何人か見た事
がある。
やる気無さそうに付いてきた一将
「いや、もういいや‼」
一将は足を止めた。
「何言ってのよ。」
夏歌は一将の服を引っ張ろうとするが
掴め無い‼
スルッスルッと空振りばかり。
「早く行かないと‼ ホラぁ
突っ立ってないで急ぐよ
一将‼」
「夏歌が居ない人生なんて
もう良いんだよ。
夏歌、いい人見つけて幸せに
なってくれよ。
それから悪かったな、夏歌に会って
楽しかった
幸せだった・・・
とても愛していたんだ。
そりゃ酒のせいで何度か浮気
しそうで危なかったけど夏歌の顔を
思い出せて、目がさめたよ。
一途にお前が好きだった。
俺は本当に夏歌が好きだった。」
「一将・・・」
「お姉ちゃん誰と喋ってるの?」
待ちきれなくて迎えにきた歌音が
夏歌に問いかける。
「え、見えないの?
一将だよ。」
びっくりした夏歌は歌音を不思議そうに見た。
ぐすっぐすっ
「お姉ちゃん、頭やられたの?
一将さんはICUに寝てるよ‼
行こう。」
夏歌はキッと一将を睨み気合いを
入れた声で叫ぶ。
「ゴラァ一将・・・
早く体に戻って、行くよ」
「お姉ちゃん、誰も居ないよ‼
シッカリしてよ‼怖いよ‼」
:;((•﹏•๑)));:
「嫌だ、夏歌の居ない人生なんか
何の意味もない‼
辛いだけだ‼」
「なーに、言ってんの‼
この世には、可愛い子いるし、
私と別れたんだから遊び
放題じゃん。
楽しい事いっぱいあるし・・・💦ね。」
「駄目だ、夏歌が居ないと
面白く無いし
ずっと寂しい思いをするんだぞ
辛すぎる。
俺はこのまま逝くよ。
あ‼ 夏歌誕生日プレゼントは
俺の引き出しに入ってる。
デスクの一番デカい引き出しな‼」
「は?知ってたの?」
一将は青白い顔をしながら
「好きな彼女の誕生日知らない
奴なんかいないだろう。
初めてで、最後のプレゼントだ
嫌だろうけど形見として
受け取ってほしい。
俺の最後のお願いくらい
聞いてくれないか?ハハハ
あの世って行った事無いし
興味ある。
じゃあな!
夏歌、幸せになれよ。
お前と会えて幸せだったよ。」
「何を言ってるの
馬鹿じゃない‼浮気上等の
アンタのセリフとは、
思えないよ。」
「浮気上等って・・・?
夏歌信じてくれ
本当に・・・本当に身に覚えがないんだ‼
あっちの世界に行く奴が嘘はつかない!」
無言
一将の体は段々透明に近づいて
いた。
「信じてくれ・・・
夏歌」
「一将・・・そうだね。
ごめん、分かった、信じるよ。
だから戻って‼
仕方ないからアンタが私を
幸せにしろ‼
何不自由の無い生活させろよ。」
・・・
「エッ‼ ホントか!」
「これが最後だよ
今度浮気してみろ許さん‼」
フウツと一将の気持ちが解れて
きているのが夏歌には良くわかった。
段々と一将の透けていた体が
元に戻っていく。
「早く行こ‼」
ハアハアハアハアハアハア
夏歌は歌音に案内させ
集中治療室へと急いだ。
ICUに行くと酸素マスクに
病院の青いシマシマの病院服を着た
一将が青い顔をして横たわっていた。
腕には点滴が何本も下がりかなり
重体に見えた。
一将は自分の体を上から見ながら
「かなり、痛そう。
包帯から血がにじんでるし、
のみすぎだろ‼」
「アンタが言うナ」
ポカ↷空振り透けた体には
あたらない、
「なあ?
どっから入ればいいんだ?」
夏歌も上から覗き込んで
「風呂も足からだから
体も足からじゃない?ハアハアハアハアハアハア」
「いいから早く早くシロ‼💢」
夏歌の命令に従うように
戸惑いながら風呂に入る要領で
足を突っ込んだ!
「こうかな?」
不安そうに夏歌をみる。
「えー経験無いし
わかんないよー」
足を重ねると、ヌルッと滑るように
全身が入り込んだ
パチッパチッパチッパチッ
シャッの、フォックボタンを
はめるような感触がしたかと思うと馴染んで来るのが分かる。
(この感覚は本当)
夏歌は・・・「ฅどう?」
と聞いてきた。
無言?
「一将、一将、一将﹏ฅฅฅ」
笑クスクスクス
俺は「良好」と目を開けて答えた。
夏歌はヘナヘナヘナと崩れ落ちた
「おいおいぃ‼」
夏歌を抱えようとしたら
点滴があっちコッチ刺さっていた。
イテッ 、イテッ 、イテッ
無事生還したのだが、気になる事
だらけだった。
臨死体験をしたと言うより幽体離脱
だけで終わった。
「あーあ‼
臨死体験した人はお花畑とか
川守のおばちゃん?お姉さん、
おばあさん?鬼婆みたいな人に
会うらしい。
生きている時に行った善とかで
どんな人がいるか変わるらしい。
あくまでこれは、噂
生きて帰った人がいないから
本当の事などわからない。
三途の川とか行くらしいけど
せっかくだから見て来れば良かった
かなꉂꉂあははは」
ベッドの上で笑う俺を見て
(。・ˇ_ˇ・。)チッ💢笑えないから。
と怒る夏歌が傍にいてくれる事が
妙にうれしい。
夏歌、死にかけて良く分かった。
君といるのが幸せだと思える。
ブチブチ文句言う夏歌が愛おしい。
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