第21話 あの夜の真実。
「いいマンションね。
いっ移ったの?」
「あ、ああ
良く分かったな。」
「一将の事は良く知ってるのよ。」
「そうか‼
何たのむ、ここのカフェ中々美味い
よ。」
「そうね、一将のオススメは?」
フッ
「ウワッウーまーそ‼
一将半分こしょう。あれこれ
食べたーい。」
夏歌ならこう言うなきっと・・・
「無難な所でステーキなんてどう。」
「えーっステーキ食う食う。
一将の方が大きかったら
とりかえるからね。」
振り払っても振り払っても夏歌の
言いたそうな会話が頭から聞こえる
映像付きで。
「フフッじゃあステーキと
赤ワインとサラダにしよう。」
美波はニッコリ笑いながら呟いた。
「Wステーキには飯だよ。」
又頭の中に夏歌の声がする。
きっと俺がステーキ食ってたら
ぶっ叩かれそうだ。
一将が軽く右手を上げると
スタッフがやって来た。
「一将は食べないの?」
「ああ、今日はもう済ませた。」
「そうなの‼」
彼女はステーキと赤ワインを口に
しながら
「父が許してくれたのよ。」
満面の笑顔を俺に向けて呟いた。
俺は珈琲を飲みながら
「うん?何を・・・?」
「嫌だぁークスクス
結婚よ。」♩
「あーあ結婚かー‼
ついに結婚するのか?
おめでとう美波🎊」
彼女は切った肉をフォークに刺して
口迄持って行ったが、
フォークを皿に置いて目を細めて
顰めっ面をして言った。
「一将‼ 笑えないわよ。
何を言ってるの?」
彼女は信じられないと言う顔をした。
「なに?って・・・?」
「貴方と私の結婚よ。」
しっかりしてよとでも言いそうな
顔をした。
“エッ“
「俺と美波の結婚?」
何を急に・・・
俺も折れる訳には行かない。
もう美波とは、関係なく
今大事な人は夏歌で美波じゃ無い‼
ムカァ今更
「美波・・・
男遊びは辞めれたのか?
お前は俺じゃ満足出来ないんだろ‼
結婚は遊びじゃないんだぞ
ずっとお互いを信じ合い、一生を
費やすんだぞ‼」
「貴方が大事だから辞める。」
「辞める?」
「辞めた‼じゃないんだな‼
簡単に言うな‼
あんなに男、男、遊んでたじゃないか‼ やめれるかよ!」
「 やめてるわよ‼
貴方が居なくなって分かったの‼
貴方がどんなに愛してくれていたの
かを・・・
約束する。
貴方だけを愛していく。」
美波は食べるのをやめて哀願して
来た。
フウゥゥゥーーーーーーッッ!!!
「そうか‼ もっと早く聞きたかった。
せめて一年くらい前に・・・
君が他の男と寝ているのを
何回も見た。
俺も辛くて何人もの女性と関係した。
君を想いながら・・・
だけど君じゃ無かったから
その度に惨めになった。
隣に眠る女性に本気にならないで
俺は遊びなんだから・・・
って俺は必ず確認してた。
惨めだったよ。
だって彼女達も俺を本気で好きな
奴は居なかったからな‼
所詮快楽の捌け口」
「・・・」
「だけど君の彼氏と言う立場だけは
誰にも譲りたくなかった。
君は俺のモノだと言いたかった。
でも・・・
俺、気付いたんだ。」
「エッ‼
・・・気付いた?何を?」
一将は珈琲をゴクリと飲むと
皿の上に静かに置いた。
「君の存在を忘れている事に・・・
君の顔さえ浮かばない事に・・・
それ程好きな子が出来たんだ‼」
「だれ・・・?
一将に、誰がそうさせた
の?」
「凄く可愛いんだ、
彼女は誰にも触らせたくない!
君は誰に触られても良かった。
だけど彼女は誰にも触らせない‼
この違いは、愛情の深さの違いだ‼
君に持った事の無い感情が
有ることに正直、俺も驚いた。」
美波はテーブルに手を添わせ
ワナワナと震えながら呟いた。
「嘘よ!嘘、嘘
あなたはずっと私の事好きだった
でしょう。
思い出してよ‼
気の迷いじゃないの?
後から後悔するんじゃない?」
俺は首を振った・・・。
美波は瞬きもせず真っ直ぐに俺を
見た。
「俺が惚れて嫁にして一生側に
いて欲しいのは君じゃ無い‼
諦めてくれ。
何処から来る自信なんだよ、
気持ちは動くんだ、何時までも
君の事を想ってるわけ、無いだろ‼」
美波に、俺の気持ちが分かるよう
ちょっとキツめのトーンで
話した。
「父に、父になんて言うの?
やっと許してくれたのよ。」
美波は堰を切ったように詰め寄った。
「あの日、2人の男の快楽に
溺れて忘れてしまったのか?
俺と美波は別れたんだぞ!
ゴミ箱に鍵を入れたろう。
あれは、お前がゴミと同じと
言うメッセージだ‼
気付け!
お前をゴミ箱に捨てたんだ‼
あの2人は気付いたぞ
笑っていたからな!
お前はゴミなんだよ
早くそんな生活止めろ‼
やめてくれー‼」
「ゴミ?私ゴミ?」
「ああ、いいお嬢様かもしれないが
病気持って居そうで
正直、近づくのも嫌だ‼
女なんだから、将来子供にも
関係するぞ‼」
「酷い‼」
「酷い事を言うが俺しか
お前に教えてやる奴は
いないだろう。
男は予防しょうとしてるさ!
お前な、快楽のままだろ‼
正直馬鹿かと思うぜ‼
お前の元カレなんだ
俺は美波の為に正直に言うよ。
一回病院行け‼
美波には幸せになって欲しい。
まともな結婚をしてほしい。」
「じゃあ、一将が幸せにしてよ‼
私が他の男と遊べないくらいに
大事にしてよ。」
「何度も頑張ったさ‼
美波が一番知ってるはずだぞ‼
美波の為に、君の為に‼
そんな俺を見て楽しかった?
今度こそ、そう思う度
その度に裏切られボロボロだったよ、
これ以上愛してもいない美波に
愛情の欠片も無い君を愛するって?
大事にしてよって?
俺が何をするんだ?
もう美波を・・・愛していないんだよ。
何も出来るはずないだろ?」
「そんな訳無い‼
一将は私を愛してくれてる。」
「じゃあ美波は俺の為に
何をしてくれるんだ?」
「愛してるから何でもする。
一将に愛してもらえるように
努力する。
一将の為にがんばるよ。」
必死で食らいつく美波の気持ちは
有り難いと思った。
しかしもう遅い、俺は夏歌を
愛している。
「ゴメン、何時の話をしてるかって話なんだけど
美波には、愛情の欠片も無い。
快楽に君が溺れてるのを見て
あの日俺の気持ちも鍵と一緒に
ゴミ箱の中に捨てた・・・。
今は後輩としか思えない!
いや、嘘だな・・
ゴミだ、友達も無理だ‼
関わりたくない。」
「どうして・・・
貴方がいてくれたから遊んだのに
貴方がヤキモチ妬いてくれて・・・
だからそうやって
愛情を確認していたのに・・・」
「確認しなくても
俺は一心に愛情を注いでいたよ。
君を失うのが怖くて君が遊んでも
我慢した。
そんな俺を見て君は満足して
いたのか?💥💢
最低だな‼」
「あなたの気持ちを確認したかった
だけなの!もうしない
約束するから私の所に
帰って来て・・・‼」
.。oஇハア?
「お前話聞いてたか?
お前は遊び散らかしたつもり
だろうけど、お前が遊ばれて
いたん
だぞ!
見てくれの良い男に誘われるが
ままに遊ばれ
男達はお前の事、DOLLって呼んで
たぞ!
そんな奴と元さやに戻れるか?
俺は何度も忠告したよな‼
それをヤキモチとカン違い?
笑うWWW」
ちょっとキツく言ったが本心だ‼
美波の俺への気持ちを断ち切って
前に進んで欲しかった。
それにあんな遊びはもう止めて
貰いたい。
彼女には強く言わないと響かない!
甘えて育てられチヤホヤされて
そんな人生が何になる!
誰も美波にはキツイ事を言わず
裏で笑っている。
利用して金をまきあげ、遊ぶだけ遊んでポイ‼
それをモテてるとカン違い。
そして又金を握り違う男へと
繋がっていく‼
おまえ、大丈夫か?
そう思う。
美波はワナワナと震え
キッ`✧ω✧´と一将を睨んだ。
「食べないなら帰ろう
送るよ。」
「・・・いい‼」
フォークとナイフを一将に投げつけ
美波はカフェを出て行った。
一将の顎が少し切れたのか血が
出ていた。
「美波さんのお父さんの
携帯ですか?
ご無沙汰しております前田です。
実はお会いして話があります。」
それから美波の父親と会い
今日の事、今までの事全部話した。
美波の父親は初めは怒って
話にならなかったが
俺に気持ちがない事
美波の父親の会社を継ぐ意思が全く
ない事、美波が頭おかしい事
を話した。
彼は唖然としていた。
娘がDOLLと呼ばれてる事
これは話たくなかったが美波の
男遊びを辞めさせるには
親の力も必要だと思った・・・
彼は愕然としてショックを受けて
いるのが良く分かった。
もう一度おれに美波と寄りを戻して
欲しいと頼まれた。
親父と同年代の彼に頭を下げられ
心苦しかったが丁重にお断りした。
「俺ではもう止められません。
美波の家族で、美波を養生
させて下さい。
俺は何度も止めさせようと努力
したんです。
もう無理です。」
そう言って美波の父親と別れた。
彼はじっと前を見て言った。
「娘と結婚したら、
莫大な財産を手に
いれるんだぞ!
10億、20億の話じゃないんだぞ、
君はそれでも娘と別れるって
言うのか?
考え直してくれ・・・」
「金なら間に合っています。
金目当てで貴方の娘と結婚を
考えていた訳じゃないんです。
金で買える男は沢山いますよ。
貴方の眼鏡に叶った男を選んだら
どうですか?
美波があんな女になったのも
多少あなたにも責任ありますよ。
金で甘やかした結果でしょう。」
そう言って俺は頭を下げた。
彼は飲まずに置いていたウイスキー
を俺に投げ掛けた。
かなり濡れてしまった。
流石親子やる事は似ている。
ザワザワと店の客が騒ぎ出し
「お騒がせしました。」
バーテンの彼に一言謝り
顔にウイスキーの匂いを漂わせた
まま、店をでた。
静かに流れるJAZZがやけに虚しく
響いていた。
街中のバーだった。
その夜は美波が俺のマンションを
突き止め夏歌に何かしないかと
心配になり、ホテルに泊まった。
神経が疲れてしまい
目が覚めたのが七時を過ぎていた。
夏歌にラインを送り
バタバタとホテルを出て
マンションに戻るが夏歌は
居なかった・・・。
夏歌に説明して謝りたかった。
夏歌を一人にした事、そうしなけ
ればいけなかったこと、
夏歌を守りたかった。
あんなに愛して大好きだった美波が
急に怖くなった。
俺の大事な物に牙を向けた雌ヒョウ
のように思えた。
俺に標的を向けるのなら構わない
しかし夏歌に標的を絞られるのが
怖かった。
夏歌は守る。
俺が守る。
美波は見るからにメンヘラ化していた。大事な夏歌に危害を与えないか
心配だった。
只それだけなんだ。
夏歌は俺と美波が寄りを戻したと
勘違いしている。
どうしたらいいか悩んでいたら
ふと木之本部長の顔が浮かんだ。
そうだ‼ 夏歌が信頼している彼なら
いい知恵を出してくれるかもしれ
ない。
希望の光が見えた。
梅園に電話して、木之本部長を呼び出したが彼は帰った後だった。
仕方なく悪いと思ったが彼の
携帯に電話した。
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