第19話 元カノ美波

一将が連れて行ったマンションは

前のマンションよりちょっと広い


リビングもグレードUP

「子供部屋もあるぞ・・・」

一将は何だか嬉しそうに話す。


「気早い。」


夏歌の服もたくさんはいる

クローゼットも部屋の中についている。


「ベッドもダブル、キングにすると

離れるだろヘヘッ

ヤッパリ、くっついて寝たいよな!」


「うん。

そりゃそうだ。

私もくっついて眠りたいかな‼

一将とは、違う意味でね。」


「え?俺はくっついていたい

だけ‼ 愛情、愛情。」




キッチンも広くて使いやすそう。


「気にいった?」

夏歌を抱きしめながら

「いっ引っ越してくる?」


「うん、気に入ったよ。

分かった。

なるべく早く有給取るね。

一将休みとれる?」


「もちろん。


あ‼夏歌、おれタバコ買って来る

風呂入ってろ、すぐ帰る。

アイスかなんかいるか?

買ってくるし・・・」


「ん?ケーキ有るから要らないよ。

早く帰って来てね。」


「おう。」



さっきから気になっていた

アレは?

確かめる為に元のマンション迄

足を延ばす。


間違いであってくれ、祈る様な気持ち

で、前住んでた、いや、

朝まで住んでたマンションに駆けつけた。


見間違いじゃなかった。

唖然とした、何で今更・・・


そこには俺が以前愛していた、

美波が立っていた。

ブロックを解除すると、

メール、LINE、着信が山の様に来ていた。


「美波‼」


入口の欅の木に寄りかかる美波が

いた。

振り返った美波は、相変わらず

愛らしい目をして俺を見た。


俺の好きだった背中の空いた

花柄のレースのワンピを着て

縦巻きの髪は背中にクルリと

流れていた。



清純そうに見えて、小悪魔的な

ギャップにやられていた。


それは今もかわらない。


可愛らしいワンピとは、対象的に

彼女の肌は柔らかそうで色気がある。


肩から覗く白い肌は相変わらず

俺をドキドキさせた。


スタスタスタと近寄る俺に美波は

可愛らしいエクボの立つ微笑みを

投げかけ右手を軽く振った。


「何時から居たの?飯は?」

俺は直ぐ声をかけた。


「まだ、貴方をずーっと待って

いたの・・・

会社には定時で帰ったって

いわれて、LINEも電話も繋がら

ないし・・・」


「そっか‼

じゃあマンションのカフェで

いいか?」


「うん。」

美波は付き合っていた頃の様に

俺に駆け寄り、無邪気な笑顔を見せて

腕を絡ませてきた。

懐かしい右手の温もりを思い出した。


「美波、相変わらずだな(笑)」


「だってぇー一将に会えて嬉しい

もん、」ベッタリ


久しぶりに会って美波の笑顔が

可愛らしかった。

ドキドキもした。

多少の感情は残っていたらしい。


素直な笑顔を見せて

人懐っこい仕草の美波は


俺がずっと愛していた美波だった。




「う・・・そ‼」

夏歌は一将の浴室の前の脱衣場に、

タバコの買い置きを見つけた。


秘書さんだろう。

タバコを浴室の前の棚に箱買?



煙草おいておきます。


そうメモがあった。

なんで浴室の前にと思ったが


備え付けの扉をあけると、

ソープ、ペーパー洗濯洗剤、

除菌シート

はぶらし、シャンプー、ボディソープ

色々な買い置きが並べてあった。


冷蔵庫の中も沢山、野菜から肉、魚

冷凍室も高級食材からアイス

パンパンに入っていた。


一将に電話したけど出ない。

慌てて夏歌はマンションからコンビニ

へと走った。


「何にも買わなくていい。

もはやアイスなんて冷蔵庫に入れる

場所が無い‼」


多分一将の言いつけで業者の人が

買い置きしてくれたのだろうか?

・・・社員さんかなぁ?


一人で頭の中で考えながら走る。

相変わらず携帯には出てくれない。

こりゃあ、チャリ必要だワ


ハアハアハア・・・

ぁ…ぁれッ?

前のマンション迄来た時・・・?

女の人と話し込む一将が見えた。


ただの知り合いと思って、

話が終わる迄待ったけど、

2人は前住んでいた

マンションの中へと腕を絡ませ、

仲良く入って行った。



夏歌は二人を見送るようにボー立ち‼

頭ガーン☠️⚡️


( ꒪⌓꒪)は?

「なんだよ、それ‼」


夏歌は、ボソッと呟いた。

タワマンの2つくらい社長様には

何でも無いんだ‼


夏歌の物差しでは、測れない程

一将は儲かっていたのか?




夏歌はトボトボと、ダッシュして

来た道を肩を落として歩いて

帰った。


追いかけて来なきゃ良かった。

知らないままなら未だ幸せで

いられた。



タワマンか・・・

だよね。ハハハちょっチー ショック

天下の前田家の御曹司だ﹏w

私とは、別世界の住人だワ

タワマンの一つや二つ何でもないか

こっちはクーラー買うか買わないか

3年も悩んでいるつーの‼


急に一将が遠く感じて

寂しい。



2時間しても一将は帰って来なかった。


「一将は嘘つきなんだなー!

直ぐ帰るって言ってたのに・・・」


浮気癖って治らない?

いやいやコレは浮気とは、違うな!

責めあげる類いの物とはちがう。


優里タンと関係したなら、浮気だけど

コレは違う。

優里タンとの浮気を心配していたけど

そ れ以上の強者の、元カノ・・・


二人は、ちゃんとキレて無かったの?。


マンションも変えて茉莉奈さんへの

思いが、消えたと安心していたのに

・・・まさに


アレが茉莉奈さんの言ってた彼女か‼

一将が一途に惚れていたって言う

女性、たしか大学の後輩?‼


本当に、美人可愛い系

一将が夢中になるのも分かるかな


・・・

でも、胸は夏歌と、あんまし

変わらん太さに何故か安心した。



「美波は一将に一途に愛されて

羨ましかったわ。」


茉莉奈さんの言葉を思いだす。


茉莉奈さんのメロン級の胸でも

負けたのか・・・



胸は、茉莉奈さんの方が

デカくね?

元カノは、着痩せしてるのか?

ペチャパイにしか見えない!


たしか別れて、茉莉奈さんにチャンス

が来たような事言っていたっけ!


又、復活したのか?


そっか・・・


「一途に愛してた・・・か

まさかヨリが戻ったの?

イヤイヤそんなはずは?」


何で別れたんだろうか?

拗ねていたか?怒っていたか?

喧嘩したか?

何か反対されて別れたか?

一将が諦める程の障害があった

のだろう。


頭の中はぐちゃぐちゃで

色んな事を順番無しで考える。


あの一将の彼女を見る目が

優しいのは一途に思っていたからか?

明らかに優しい顔をしてた、


私とは・・・喧嘩ばかりだ‼

厳つい顔は良く見たな‼

後・・・意地悪ばかりしてくれたヨナ﹏w



フゥ…


一将に後悔させたくないなぁ

迷わせたくもない。


私も一将が好きだ。


一途に思っている人がいるなら

私も同じ、一将の気持ちが分かるよ。

一将の気持ちを考えたら


身を引くべきじゃなかろうか!

彼に好きな子がいるのに私と

付き合うってどうなの?・・・

又二番目カヨ ‼

翔馬も言っていたなぁ


「夏歌が嫌いになったわけじゃない」

って・・・

それは一番好きな人がいるって事

だよね。﹏w

私は二番


ヤッパリ二番目は嫌だなぁ

一番に愛されていたいよ。


酷いょ一将‼(┯_┯)ウルルルルル


出てかなきゃなあココ!

一将、彼女に会えて嬉しそうに

してたもん。


トボトボ歩きながら一将と彼女の

入って行ったマンションをみる。



アッチが1号のマンションで

ココが2号のマンションか?


彼女の事未だ好きなんだろうなー

タワマンふたつもいらないっしょ‼

私のために買ったつもりなら

無駄遣い‼


ちゃんと築50年の立派な

風情のあるアパートが私を待って

いるし・・・

タワマンなんて必要ない‼


でも一将の愛情は、私もヒシヒシと

感じていた、万が一私の方を好きで

いてくれるかもしれないじゃん。

微かな期待が頭をもちあげる。


コッチが一号かもしんないじゃん?



そうだし、絶対‼♬〜‼

マンション買ったくらいだし

子供部屋まであったし、私との

将来を考えてるって事じゃん。


何を根拠にそう思ったかは・・・


・・・理由はないけど、けど

大丈夫。


┣¨‡ ┣¨‡しながら一将にラインを

送ってみる。

直ぐマンションに、帰って来たら

私を取ってくれる妙な自信が

あった。


そうしたら許してあげよう。


「一将、お風呂のお湯の出し方が

分んない。」


「そうか、ゴメン待ってろ‼」

一将﹏

一将は私を選んだんだー

歴代の彼女に勝ったー✨


ピンポーン

「一将おかえり・・・?」


「フロントから来ました。

お湯の出し方を御説明致します。」

きちんとしたスーツを来た男性と

これまたキチンとしたスーツを着た

女性が現れた。




「あ‼ アハハ分かりましたから

大丈夫です。

ありがとうございました。」

パネル越しに断った。




えーっえーっ一将じゃないの・・・


┣¨キ┣¨キし

ている、ビックリ過ぎて‼


「一将まだ帰らないの?」

待ちくたびれてLINEを送る、

あれから2時間が過ぎた。


「ゴメン夏歌、コンビニで中の良い

友達に会って、飲みに行ってくる。

遅くなるから寝てて。」


結果出ました

元カノに完敗です。

「分かった。

先に ねるよ、お休みなさい。」


「おう。」



そう、返って来たラインをみて、

バックを握りしめた。

「電気を消して」

そう声を出すと電気が消えた。


「カラ喜びか」


私の手に負える男じゃないなー

頑張ったけどなー

もう、疲れた。


そのうち優里タンとも接触して

いくんだろう。


そして又疲れるんだ。

あの話方は、つまみ食いぐらい

やりそうだ。


早く離れた方がいい。

夏歌はそう思った。



マンションを出てタクシーを拾って

築50年のオンボロアパートに帰る


一将のマンションの様にエレベーター

はなくコンシェルジュもいない

その代わり



「おや、おかえり。」

近所のおばちゃん、

「今日は残業でしたか?」

疲れ果てたような顔をみて

夏歌はいつものようにご挨拶。


「月末だからねー

忙しいのよー」


「今日は暑かったですねー」


「本当にねぇー」



自転車置き場から長い階段をカツン

カツンと上がる。


ギギギギーと開くドア

一将の所のオートロックじゃ無い、


だけどインターホン並に

流れるドアが奏でるサウンド

ギギギギギー少しドアを持ち上げて

ピタンと閉めるのがコツ。


何度か一将も来ていたから

一将もこのコツをクリアしてる。



ドアを開けると全部見える。

なんたつて1DK

一将のマンションはドアを開けると

ひんやり冷えた風が吹く!

玄関があって廊下を抜けると広い

リビング。


部屋が幾つもあって眺め最高



夏歌のアパートは開けた途端

灼熱地獄ブワツ部屋の中から

暑さがドーンと押してくる。

ヒエーツ違う冷や汗がドーッ‼

眺めは町工場が邪魔して屋根しか

みえない。


住めば都



窓を開ければ生温い風が吹く

虫コナー〇を沢山吊るしてあり

扇風機をかける。


お決まりの

あ“あ“あ“あ“あ“ー┏(((卍)))

部屋を冷やして一風呂浴びて

就寝。

嫌な事があった日は、早く寝るにかぎる。


リセット、リセット

「ボーナスも出たしクーラー買うか

安いヤツで充分。

帰ってからクーラーがあれば

頑張れる気がする。」



一将は怨んでいない!


彼も寂しかったんだろうな!

あんなに好きな彼女がいたのに

打算で私を選んだのカモ


いやいや、私を選ばないアイツが

馬鹿と言う事にしとこ‼



私と結婚しても私は何時までも

2番目、

そんな事にならなくて良かったー


2番目を一生続けて生きて行くなんて

私にはできましぇーん。


あー暑い

あー暑い。

ウチワでパタパタ

そーだそーだ頭冷やして寝よう。


冷蔵庫だけは大きい。

買いだめしなきゃいけないから。

冷凍室からアイスノ〇を取り出し

ギャツ〇ーを体に塗りまくる。


一将の冷蔵庫は色んなものが詰まって

いた。アイスもいっぱいあったなぁ

羨ましい。


こちとらギリギリの生活‼

贅沢に慣れたら破滅‼

贅沢は敵


時間は気付けば0:00

一将からの連絡は入っていない。


えらーく とーいコンビニだったな‼

何処のコンビニに行きやがったんだ?


アイツに会ったらこんな嫌味も

言えるのにか、か、帰ってグスン

グスン来ないじゃんか。


ウッウッウッ ウッウッウッ ウッウッウッ






あんまり眠れなかった。

目が爛々と冴え渡り結局は朝だ。


外からラジオ体操の音楽が

聞こえて来た。


町は動きだしている。

眠たい目を擦りベッドから飛び出た。

今日は土曜日

ビン、カン出さなきゃ〜

バタバタと階段を降り又バタバタと

駆け上がっていく。


あんなに食べて太らないのは

この階段のおかげかも知れない。

結果運動してるもんね。



朝七時一将からようやく連絡が来た。


「夏歌ゴメン気がつけば朝だった

今から帰るから。」

又ブロックしょうと思ったが

やめた。

話をつけなければ彼は苦しんだ

ままだ、私に悪いと思うだろう。


「あれ?夏歌仕事行った?

早くない?」


「ううん、今起きたよ。

今日も挨拶回りなんだ。」


「えーっ、アパート帰ったの?

なんで?」


「一将が1番知ってるでしょ。」


「・・・ゴメン夏歌を一人にした事

怒ってるのか?」


「ううん、怒ってないよ。

彼女とヨリが戻ったんでしょ。」


「は?だから・・・茉莉奈は結婚したんだよ。」


「茉莉奈さんじゃないよ

美波・・・さんだっけ!!

昨日仲良くマンションに入って

行ったじゃない。


おめでとう

ヨリが戻ったんだね。」


「・・・夏歌‼ みてたのか?」


「うん。

準備忙しいから又ね。

仕事いかないと、


謝罪はいいよ。

ずっと想っていた彼女でしょ。

大事にしないとね。

私が身を引くよ!


さぁてとぉー仕事、仕事

貧乏暇無し、じゃあね〜

ブチッ!」


一将は何か言いたそうだったが

もう聞かなくて大丈夫。


言い訳なんて聞いても事実が変わる

訳も無い。


フウッなんか今の電話で疲れたー‼

あいつは疫病神か?


人に会って疲れが半端ない時は

その人にとって、それは疫病神と

聞いたことがある。ナルホドナ

それは偉い会社の偉い人の言葉


本当か?嘘かは分からない笑

又ケーキ食い損なった。


今日はケーキホールで買うぞ!

明日はクーラー買いに行くぞ


金いるから仕事頑張らなきゃな‼

男運も無さそうだし・・・‼

老後の資金も貯めといた方が

良さそう。


ショボーン。


でも、幸せな事に仕事はある。

サイテーな男運だけど

仕事運はある。

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