第16話 嘘と後悔‼

チュッチュチュッチュチュッ

寝室のドアを


OPEN



唖然ガ、ガーン…。

マジカー


夏歌はワナワナワナ

震える手で、履いていたスリッパ

を鷲掴み怒りをこめて━━━━━💢

おりゃゃゃあゃゃ━━━━━━💢

ハエ叩きの要領で‼

一将をおもいっきし


パコーンイテッ


夏歌はもう一発‼ 今度は団扇扇ぎの

要領で一将めがけスリッパを

スパアアアン( `皿´)キーッ!!====)∵)・∴'.

二回目の(´×ω×`)イタッ


一将はほっぺを抑えベッドにダイブ

ボョ〜ン ボョ〜ン ボョ﹏ンw

スプリングで体が上下


茉莉奈の頭をスコーンイテ


「アンタ、何やってんのよ‼」


夏歌は鬼の形相で一将を

一喝‼ 驚いた一将はタジタジ



💦「いや、あの、その」



それはついさっきの事‼




「๑¯ω¯๑アレェ…アッ!?どうしたんだ

茉莉奈‼帰ったんじゃないのか?」


茉莉奈は部屋の前に立っていた。

コンシェルジュには一将の秘書だと

説明してあったからすんなりスルー


「うん、一将を待ってたの‼

お願いがあって‼」


「分かった、茉莉奈の為なら

何だってやるよ。

中で話そう。」


すんなりと一将はドアを開け、茉莉奈を招き入れた。

冷蔵庫へと真っ直ぐ進んで


「茉莉奈何か飲む?」

そう聞いてきた。


「ううん、要らない。

今カフェで珈琲飲んで来たの!」


そう茉莉奈が答えると冷蔵庫から

ミネラルウォーターを取り出し

バタンと冷蔵庫を閉めた。


何回か来て、何回か泊まった一将の

部屋には茉莉奈の物は一切無い。


わざと置いて帰ったピアスも

化粧水も処分されていた。

そんなモンモンとした茉莉奈の

思いも気にもしない一将は

優しいのか、冷酷なのか分からない。



壁に掛けてある時計を眺め

「チッ夏歌の奴おせー」

と一言呟きながら携帯をチェック

し始めた。


携帯をスクロールしながら

「で‼なに?茉莉奈の話って?」


黙って何も言わない茉莉奈を

不思議に思って、一将は顔を

上げて茉莉奈を見た。


茉莉奈は言う決心はして来たのだか

なんとなく当惑していたが、

思い切って口を開いた。


「最後に思い出として抱いて‼」


「は?


ゴクッ


何言ってんの?

茉莉奈?」


咄嗟の申し出に唖然としてしまう。


「もう二度とこんな事言わない‼

一将の事リセットして

前向きに生きる。


最後にするから、お願い

仕事もちゃんとする・・・

プライベートと仕事は別

駄目?」


茉莉奈は一将に食い下がり

必死に頼み込んだ



「え? は?本気?」


ゴクゴクゴクゴク

一将はミネラルウォーター

を一気に飲んだ。



「さっき夏歌さんと会ったわ

カフェで話をしたのよ‼

彼女も最後ならって許して

くれた。」



「え、夏歌が?本当に・・・



マジ?・・・で‼」

信じられない、あの夏歌が?」


茉莉奈は一将に微笑みながら

呟いた。



「うん、最後にするならいいよ

って、渋々だけど言ってくれた。」



「最後? そうか‼」


夏歌は二度とこんな事をしないと

言う条件を出して折れたのか?

そこ迄考えて

・・・くれたてたのか・・・


しばらく考えていた一将は

決心したように顔をあげた。



分かった。最後だからな

このマンションに来るのも最後に

してくれよ。

夏歌とは、もう揉めたく無いんだ。


約束は守れよ。」



「・・・うん。」




夏歌は呆れてポカーン


しばらくボーゼン



「で‼

おっぱじめたのか?


お、ま、え、は、馬鹿か?

ヤレヤレ

ホトホト呆れますワ

な、わけなかろう。」

つい爺さん口調になる。


お人好しな一将に呆れてしまった。

馬鹿過ぎて、情けをかけて性交する

なんて考えられない。

どこのお殿様デスカーァ‼」


男の人は愛が無くてもヤレると

聞いた事はあるがここまでアホとは・・・

涙が出る。


「夏歌許してくれたんじゃ

ないのか?」


「は‼な、わけなかろうが💢

だれが好きな男、DNAごと

貸すかい‼馬鹿か?


アンタ私が、あの人にぃ〜

好き好きいわれたぁー

1回したら諦めるからって言われたからちょっとヤッて来る‼

待っててネ❤


お前👉»»»

許すか?

ヤラすんか?あ‼あ‼あ‼」



「・・・は?💢な、な、な、💢

許すわけ無いだろ‼」




「プィッ!ダロ‼

普通に考えろよ。


デモ‼


ハイハイ、許します!

今許します。

もう私には二度と連絡しないで!

これが、私が許すって言う事よ‼


もう顔も見たくない!

へどが出る。」


狼狽えた一将は

「 夏歌まて‼まて‼」

声を裏返しながら夏歌に近寄り


「ギャャャャャャーキタナーイ

気持ちワルー

触るなーペシペシ‼」


夏歌の腕を握る一将をまるで

汚物でも見るような顔をして

夏歌は気持ち悪がった。


夏歌はマンションの入口に落ちて

いたスケジュールノートを投げて


「ついでにコレ見てみ

ハート❤赤い♥重なった印の所‼

アンタとヤル日排卵日にかぶってる

所、何ヶ所かあるよ。

関係した日にち、場所ぜ〜んぶ

書いてア、ル、ヨ‼


しかも

今日排卵日になってるよ!


上手くあんたのDNAが彼女の

お腹に入ったらパパーーだよっ‼

いい加減勉強しろっ‼


あんたがパパになる気あるなら

頑張ってやったらぁ﹏


あ‼そーだ、おばあちゃんにも

報告しとくからね


一将は、違う人と結ばれました

ってね‼」


茉莉奈はスリッパで叩かれた

頭を押さえ(`ーωー´)チッ


一将は青くなって夏歌に

必死にあやまった。


「夏歌‼ 悪かった、もう二度と

しない約束する。」


「(´-д-`)フウ〜

何回目、二度ってのは一回の次よ?

今何回目よ‼


いい事教えてあ、げ、ま、す。

裏切られた身になって考えて

行動したら・・・一将


私が貴方を裏切る事は無かったけど

ここまでやられたら

私も他の男とやってみたくなったワ

勿論愛情がある人とね。


私に “愛情“ を持ってくれる人と

ねっ‼

アンタのした事と、同じ事。


ハイハイ、お邪魔しました〜」


夏歌は捨て台詞を残してマンション

を後にした。


夏歌は8月31日が誕生日だ

一将は誕生日さえ知らない。


ま‼私も知らないけど(๑>ᴗ<๑)テヘ

お互いさまかー‼


夏歌は青い空を見上げて、暑い

そう叫んだ。


淡いブルーのブラウスが

夏風に揺れた。


一将は自分の馬鹿さ加減に呆れて

一言も言い返せ無かった。


茉莉奈もバツ悪そうにしていたが


「一将、謝らないから

あなたの事本気だから・・・。」


一将は何も喋らない。

不気味さを漂わせながら

茉莉奈を見た。


茉莉奈は息を飲む

さっき迄抱き合ってキスをしていた

相手とは思え無いほど

般若な顔をしていた。


茉莉奈はブルブルカタ:カタと震える一将の

体を見ながらゾッとした。


こんな一将を見たのは初めてだった。

一将はドアを\バァァン/と開けて


「帰れ、俺の前に姿を見せるな‼

早く出て行かないと

生きて帰れなくなるぞ‼」

聞いた事の無い低音を響かせた。


目は血走って(✧"✧)ギラリと光る


茉莉奈は恐ろしくなって

マンションを飛び出した。

タクシーを拾ったがガタガタと

震えていた。


気がつくと自分のマンションの

入口にいた。


よろける様に鍵を開け中に入る。


「ママ、どうしたの?

パパはなんて言ってたの?」ฅ


小さな娘が、自分の身長ぐらいの

🐻のぬいぐるみを抱え、柔らかい

声でソファーから立ち上がり

飛び付いてきた。


🐻これは娘の誕生日に父親である

松崎部長が贈ってくれたものだ。



茉莉奈は自分のマンションで留守番

させていた3歳の娘を抱きしめ


「ごめん、梨花に1人で

お留守番までさせていたのに・・・

ママの一番大好きだったパパは・・・

来てくれないのよ。

ごめんね。


寂しかった?」


「うん。ママが頑張っているから

だいじょうぶ‼

梨花もがんばれるゅよ。

ママの好きなパパが来るまで待つよ。」


茉莉奈が顔を上げると

ソファーの横のテーブルには

ジュースのカンと菓子パンの袋が

あった。


これはもう男に狂った女の虐待に

値すると、茉莉奈は思った。


3歳の子を一晩置きっぱなし

餌の様に菓子パンを置き、

飲み物を置いて出た。


「これだけ・・・じゃ

お腹空いたよね。」


「うん。パンは半分づつ食べるの

又お腹空いて我慢出来ない時に

又残りを食べるんだよ。

そしたらママが帰って来る頃に

丁度いいんだよぅ。」


娘の言葉に寒気が走った。

自分はなんて事をしていたのだろう。

梨花はパンを半分しかいつも

食べなかった、食事も何時も

半分残していた


茉莉奈は、少食だと思っていた。

そう言えば・・・


「ママ、後から必ず

食べるから、取って置いてね。」


あまりにしつこく言うから

夜中出かける時はテーブルに

置いていた。

帰ったときは、お皿は洗って

テーブルに置いてあった。


洗剤を使った様子はなく

ベタベタしていた事を思い出した。


その時は何とも思わなかった。

梨花が小さい手でお皿を洗って

いた事も気にも止めなかった。



茉莉奈はよろ着いてすわりこんだ

涙が後から後から流れ出てきた



「ううっ💦ごめん、ごめん梨花‼」

何度も繰り返して謝った。


すると梨花も母親が泣いたのを見て

うわーん、うわーん


と泣き出した。

茉莉奈は小さい梨花を抱きしめて

又謝った。


一将が美波と別れたと聞いた時

母親の感情は飛んでいき大学時代の

独身の娘の様な感情に戻っていたの

だろう。


これで一将が手に入る

長年の想いが報われる

そう思って有頂天になっていた。


松崎から充分な養育費は一括で

振り込んで有るのに毎月彼は

又10万振り込んでくれている。


もう充分だからと言ったが

彼は振り込み続けてくれた。

彼は責任感のある良い人だ。


幹部飲み会の時についそんな気に

なって関係した。


一将とは、子供が出来なかったが

松崎とは、お互い1回の遊びで

妊娠した。


毎日が忙し過ぎて病院に行ったら

4ヶ月だった。


エコーに映る梨花が可愛らしく

愛おしく思え、産んでしまった。


松崎にはバレないと思ったが

バレていた。

当時関係した人物は彼しかいなかった。


彼は既婚者で結婚は出来ないが

君たちは自分が守ると言い出した。


丁重に断ったが梨花を私生児には

できないと説得され、

認知と養育費をもらった。


金額は一千万一括でもらえた。

今の自分の稼ぎで大丈夫だったが

部長は一歩も引かなかった。


離婚の話が持ち上がったが

茉莉奈が部長とは金輪際合わない

と約束をして部長夫婦は、

再構築をした。



贅沢さえしなければ、梨花と二人

暮らせ無い訳では無い。


茉莉奈の稼ぎも男には劣らない。


悲しそうに抱きつく娘のサラサラと

した髪を撫でながら

泣いた。


「パパはグスッもうちょい待って

くれるウッウッ?」


「ママ、何で、何で泣いてるの?

パパが来てくれないから?」


「・・・泣かないで、うわーん💦」


「梨花」


小さな紅葉のような可愛らしい手で

茉莉奈の頬をゴシゴシ!


梨花は一生懸命なきやんでいたが

「うわーん、痛いの痛いの

アッチのおちょらへちょんでけー

ママの痛いのちょんだけー」

と大声を出して又泣いた。


私の事をこんなに心配してくれる

私の為に泣いてくれる。

たった1人の小さな娘。



しばらくして2人で泣き止んだ。

「ママ見て痛いの痛いのが、

ちょんで行ったよー」


小さな口を大きく開けて

梨花は、まめらない口で茉莉奈を

慰めていた。


茉莉奈は涙を拭いて、ニッコリ

笑うと

「梨花、オムライスつくるね。

お着替えして待っていてね。」


ヤッター

💕

梨花は久しぶりの母の手料理に

大喜び。


小さな口を大きく開けて

黙ってガツガツと食事をとる梨花を

見たら又泣けてきた。


何時ものように半分迄食べると

梨花はくらい影を落として

黄色い🐰さんのスプーンをおいた。


「ごちちょうさまでしたぁー

ママ、後から食べるから残して

おいてね。絶対たべるゅから」


「梨花・・・

全部たべなさい。


全部食べていいよ。


ママ今日からお出かけしないから

梨花とグスッい・・・るからぁ

食べ・・・て梨花

もう、お腹は空かさせないから

食べて・・・梨花」


「ママ、たべるゅから

泣かないでーぇ」


茉莉奈は梨花の顔を見ながら

ウンウンと無理に笑ってみせた。


梨花は大喜びでペロリとたいらげた。

丸く膨らんだお腹を見せて


「たぬゅきさんになった〜」


とひょうきんな顔をして茉莉奈を

笑わせた。


それからお風呂に入った。

梨花は大急ぎで服を脱ぎ急いで

体を洗った。


「梨花、ゆっくり入っていいよ。」


今迄急ぐあまり背中をゴシゴシ

擦っていた。

痛く無かったんだろうか?


「ゆつくり?

ゆっくりってどうやるの?」


又茉莉奈は泣けてきた。

「ゆっくり、お湯につかつてね。

体は泡で洗うのよ。

ほら、ママを真似してごらん。」


梨花は不思議そうな顔をして

いいち、にい、さん、しー、ごぉ

ろぉく、しちぃ、はちぃ、く、じゅう


赤い顔をしてお湯から上がる。

シャンプーをしてあげると

梨花は目をシッカリ瞑り我慢している。


こんなに良い子に育って来たのに

こんな母親じゃいけない。


我儘で子供は私だ‼


ベッドに入るとゴロンゴロン

落ち着かない。


「どうしたの梨花?」

茉莉奈は聞いてみた。


「わたち、リビングがいい

トイレちかいし、テレビあるし

毛布あればどこでもいられるし

ママが帰って来たら

すぐ起きてママに会えるし・・・💦」


「梨花・・・💦

ママはいるよ!もう何処にも

行かない。

トイレは起こしてね。

ほらトレーニングパンツ履いてる

から大丈夫だよ。


ママとベッドで寝よう。」


そう言うと安心したのか梨花は

茉莉奈の腕に抱かれながら眠った。


夜中何回か大きな声で

ママー ママーと呼んだ

茉莉奈がその度抱きしめて

「ママはいるよ、安心してね。」

そう呟くと涙を流して又眠った。




子供は親を選べない。

もし選べるのならこんな私の所に

梨花は生まれてこない。


私なら絶対選ばない!

そう茉莉奈は思った。

これからは梨花にママの子供に

生まれて良かったと言われたい。

梨花は、我儘を言わない

欲しい物を何一つねだらない。


みんなが持っているもので

梨花に無いのは父親だけ・・・💦

小さな思いは茉莉奈を決心させた。


梨花の父親の分も寂しがらせ

無いように私が強く守ろう。

父親の分も愛情をたっぷり

与えよう。

そしてシッカリと育てよう、

大事な娘、私の娘




茉莉奈は梨花が小学校に上がるまで

パートに切り替え秘書を降りる

事にした、いやあの一将の事だ

もう話は人事部に進んで解雇に

なっているだろう。


秘書の後釜は既に決定しているに

違いない!


次の日


梨花の手を引いて保育園に送って

行った。


「ママ、頑張れー」



小さな梨花の大きい声援を受け

ながら昨日書いた退職願いを

持って出社した。



「社長は不在です。

代わりに私が受け取ります。」


茉莉奈の想像通り秘書はもう

決まっていた。

一将は会おうともしなかった。


「退職金は大幅に弾んで

後日振り込まれます。」


茉莉奈は

「お世話になりました。

社長の事宜しくお願いいたします。

社長にも宜しくお伝えくださいませ‼」


最後に秘書らしく丁寧に挨拶をした。



「はい、私も精一杯勤めさせて

いただきます。


今迄社長を支えて頂き

ありがとうございました。」

新しい秘書の村神も丁寧に頭をさげた。



茉莉奈はやっと気付いた、自分が

どんなに、一将に狂っていたかを、


娘が小さいながらもお腹が空いて

堪らない時間を

乗り越える工夫をしながら

過ごさねばならなかった悲しい

現実‼


そんな事をさせて来た自分の罪を


茉莉奈は自覚の無いまま

幼児虐待をしていた事を悔やんだ。


夜は1人マンションで留守番

大きくなったとは言え未だ三歳

冷蔵庫は大きくて開けれない。


「喉が渇いたらどうしてたの?」


「洗面台のお水飲んでた。

台所は高くて届かないの‼」


「え・・・洗面台の水?」


「うん、うがいするコップで

飲んでたよー

ちゃんと洗ってるょー

あそこなら手届くんだよー」


「もしかして・・・お皿もそこで

洗ってくれてたの?」


娘はニコニコしながら



茉莉奈はうつ伏せで泣いた

声を出すと梨花が心配して

又泣き出すから声を殺して

泣いた。


1人でいるのさえ怖かったんだろう。

床には梨花お気に入りのDVDが

散らばっていた。


母親である事より女である事を

無意識に選んで行動していた。


そう。

何より一将の傍にいる事を

優先させていた。




娘の言葉に頭を殴られた気がした。

そんな事を思い出しながら




会社の玄関に、回ると


「ママーママーー」


保育園に送ったはずの梨花が

走ってきた。


“パパがー、迎えに来たんだよ

パパだよっ‼“


梨花は振り返り指をさして

宝物を発見したように茉莉奈に

自慢気な顔を見せた。


梨花ね、保育園のお友達に

自慢したんらよー

ね‼ パパ」


嬉しそうにはしゃぐ梨花の

後ろには総務課の松崎部長が

立っていた。


「保育園なかなか信じて貰えなくて

免許証から君の実家まで連絡

されて、やっと信じて貰えた。


君との写真を見せたり・・・

大変だったんだぞ‼」



「部長・・・。」


茉莉奈は無邪気に喜ぶ梨花を

抱きしめた。


松崎は、そんな2人を抱きしめて


「梨花、茉莉奈すまなかった。」

そんな言葉をかけてくれる。

久しぶりに聞いた思いやりの

詰まった言葉・・・

素直に嬉しいと感じた。


梨花の誕生日と、私の誕生日には

必ず贈り物をしてくれていた。


一将からのプレゼントには大喜びし

部長からのプレゼントは只嬉しかった

だけだった。


それでも彼は私の誕生日を

覚えていた。

あの夜1度だけ口にしただけなのに

しかも凄く酔っていたはずなのに。


自分達の事をずっと、気にかけて

くれる優しい人がいたんだと、

茉莉奈は思った。


追いかけるばかりの恋愛をずっと

続けて来た。

見返りのない悲しい愛情。


今からは梨花の為に生きて

この人を愛して行こう

それが今の自分が梨花にして

あげられる精一杯の償いだと

思った。


母として妻として・・・

何よりパパ、パパと前に後ろに

走り回る梨花を松崎も目を細めて

喜んでいる。



仲良く帰る三人の姿を、自慢の

双眼鏡で、眺めながら


「今までありがとう。

許さないけど感謝はしている。

梨花への、俺からのギフトだ。」



小さな梨花の喜ぶ姿を見て

それ以上の制裁が出来なかった。

小さな梨花を苦しめたくない、

3歳の子供が背負う悲しみなど見たくない!


「子供はヤッパリ

元気で遊ばないとなー!」


「ハイ、ごもっともです。」


新しい秘書は男性だった。

真面目で家庭持ち、会社が倒産して

働き口をさがしていた。


ハローワークに行った時偶然

出会った。


と言うのは面接前に人柄が知りたかったからいっもこっそり、自分の会社を希望する人物には、すれ違いでも

何でも関わりを持って見る事にしている。面接は面接官に任せてそれ以前調べている。

採用の仕方は人それぞれ

だと思う。


紙に印刷されたものだけでは

俺は納得しない。


偶然子供がぶつかって来た

まだ小さい5歳くらいの男の子だった。


すみませんと大きなお腹で謝る女性

に駆け寄る男は、この彼女の夫で

物腰が柔らかく、人間味があった。


聞けば彼の元会社は誰もが知っている

企業だった。


大学も俺と同じで一つ下の

後輩だった。


一将は父親の秘書を探している事

しばらく期間はあるが採用したい

事を話していた。


あの日、カフェで待ち合わせした時

父親に頼まれていた。

すぐ茉莉奈と2人でハロワに出向いた。


彼家族は大喜びで2つ返事でOK

して、思えば、茉莉奈も一緒に居て

彼を気にいっていた

それぐらい彼はいい人ぽかった。





一将が父親に探してくれと頼まれていた秘書が、まさか自分の秘書に抜擢するとは人生どうなるかわからない。



ともあれ茉莉奈以上の右腕は居ないと

思っていたが彼も、茉莉奈と

同じくらい優秀な男だった。



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