第15話 茉莉奈の執着愛
夏歌はビルの6階までエレベーター
に乗る。
外側に設置されたエレベーターは
外から見えるように硝子張りで
上昇すると、街の様子がよく
見える。
道行くバスや自動車がミニチュアの
様に動いている。
真っ直ぐ社長室へと足を進める。
自販機前に何度か見た事のある
紺のスーツにブルーのワイシャツ
ワインカラーのネクタイをした
背はスッと高い。
髪はきちんと七三に分けて
銀縁メガネをした35歳くらいの
頭の良さそうな人が立っていた。
「紺藤様ですか?」
「ん?様付き?・・・はい、紺藤です。」
夏歌は不審に思いながら社長室の
分厚いドアを秘書さんの後をついて
入って行った。
「オーオー君が紺藤君か?
成程可愛らしい。」
ポカーン‼﹏w
「は?」
「いやぁー前田社長の婚約者と
聞いていますよ。
ハハハハハ 」
「いえ、社長、彼とは友達で
《《いやいやいやまたまたー
隠さなくても☝️大丈夫‼》》
えーっ( ; 0ᾥ0 )違いますって・・・‼」
社長は丸いお腹をポンポン叩きながら
えーと今日は帰りなさい。
なんか、色々あるらしいな
'`,、`,、'`,、'`,、
若い、結構、帰ってよし‼
社長命令‼」
「は?」
困った顔をした夏歌に秘書さんが
「ここは穏便に、何とぞ
穏便にお願いします。」
秘書さんに背中を押され、社長室
を出る。
﹏ウーまた係長に何か言われそー
木之本部長に営業に連れ出される
時も・・・
「紺藤くん、営業に移動したら?
とか・・・
人気者は仕事も疎かで良いネー
とか・・・」
足取り重く係長の前に行くと
メガネの奥の丸い目が(=_=)ジロ
と見上げてくる。
「あのぉ💦
仕方なく、ちょっと用事が出来て
半休もらって帰ります。💦」
係長は、
「ちょっと困るな!
ちゃんと次からは仕事してくれ‼」
とイヤミを言われた。
くっそオーオー๑一将のせいでっ‼
「今から行くから
待っテロ‼۹(◦`H´◦)۶プンスカ!」
一将にLINEを送る。
当然既読無視って奴だ‼
プンスカプンプンスカプン
駅前までバスに乗り一将のマンション
迄やって来た‼
「どーゆーつもりだよっ‼」
ガニ股で頭から湯気だし
プンプン💢プンプン
マンションのエントランスに入ると
茉莉奈さんがいた。
ぷぷぷーと膨らんだホッペが
プシュプシュプシューっと縮んでいく。
一将のマンションは下にフロントがありフィットネスクラブやカフェや
図書館、公園もある。
茉莉奈は夏歌に気付くとニッコリ
微笑みなら夏歌に近づいて来た。
「あなたを待っていたの‼」
ニッコリと微笑みクルリとした
巻き毛が肩からおちる。
うわ‼ 大人‼
「えーと‼一将は?」
夏歌は秘書である茉莉奈に社長の
居場所を知るのは秘書の仕事と
思い聞いてみた。
「今、体を鍛えに行ってるわ。
少し話しましょう。」
茉莉奈は近くのカフェへと移動する
夏歌は、大人しく彼女に従った。
夏歌は🍧を、茉莉奈はホットコーヒーを頼んだ。
見ると夏歌が飲めないブラック珈琲
少し顔にかかる前髪が又又色っぽい
「この間は見苦しい所見せて
ごめんなさい。
毛布もありがとう。」
「あ・・・はい。」
コトッ☕
沈黙
茉莉奈さんは口にした珈琲を置いて
一将との馴れ初めを話はじめた。
「私大学時代に一将と知り合ってね
ずっと好きだったのよ。
あの頃私は奥手でね。
中々言い出せなくて、彼の気を引く
為に好きでも無い人と付き合ったりも
したのよ。
でも彼は彼氏が出来たのか
良かったな〜
なんて言うの馬鹿らしくて付き合っ
た人ともあんまり続かなかった。
「お前一将が好きなんだろ‼」
って、責められて
すぐバレちゃうのに当人の一将には分かって貰えなかった。
でも振られるくらいなら
友達でいようと思っていた。
彼も多少遊んでいたし・・・
後輩の美波が現れて彼は
変わった。
遊びも酷くなったし、彼が
壊れるんじゃないかと心配した。
美波の男癖の悪さに一将は悩んでいたのよ。
必死で別れるように説得したけど彼は聞いてくれなかった。
私には・・・目もくれなかったのよ。
美波は一将に一途に愛されていて
凄く羨ましかった。」
「はあー。
そうでしたか」
沈黙
🍧パクッ・・・💦
「やっと、一将が女として見て
くれるようになって、貴方も知って
る通り一将は本気じゃないけど
お酒が入ると
たまに抱いてくれるようになった。
もう11年もたってからね。
やっと、やっと彼に、私の想いが
とどいたのよ。」
「は・・・あえ〜想いがガーン
とどいたって?・・・そ、そうデスカ💦。」
「でね!彼から手を引いて欲しいの
貴方は若いし、綺麗。
私には娘がいて、父親を欲しがって
毎日、一将が父親かと聞いてくるの」
夏歌は🍧をすくって
口付けようとして、!!!ハッ!!!!
として茉莉奈を見た。
「その子って一将の子ですか?」
茉莉奈は首を横に振った
残念だけど違う人との子供
よ。
でも娘も一将が父親になる事を
心待ちにしてるの。」
「私に言われても・・・💦
一将に
言わないんですか?」
「振られた。」
「・・・ そ、 そうですか!
パクッ」
「私・・・一将との子供が欲しいの
あなたから説得してくれない?
一将まで奪わない、好きな人の
子どもが欲しいだけなの!
約束する・・・一将を、絶対奪わないわ。」
夏歌の手を握り必死こいて
見つめて来る茉莉奈さん。
迫り来る入道雲の様に黙々と
膨れ上がる彼女の気持ちがわかる!
つい、うん、いいヨー。
と頷きたくなるような目をして
彼女の気持ちが、嘘では無いことを
思い知らされる。
茉莉奈さんは珈琲をスプーンで
クルクル回しながら
「美波の時も思っていた。
あの子より私の方が先に好きに
なっていたのに・・・
貴方もそう
貴方より私の方が先に好きに
なっていたのよ。
一将とは何回か寝た‼
凄く嬉しかった、幸せな気持ちよ
好きな人に抱かれるのが
こんなに幸せなんて思わなかった。
秘書免許も取って、彼の父親の
会社に就職して気に入られるように
努力した。
そして一将が、前の企業を辞める
様に、社長と二人説得して
やっと、やっと一将付きの秘書に
なれたのよ。
我ながら頑張ったわ、何もかも
彼の為に‼
でも﹏‼
どんなに尽くしても彼には届かない
彼は美波に魂を売っていた。
こんなに彼の為に耐えて耐えて
頑張って来たのに!」
彼女の悔しさが滲み出ていた。
本当に頑張ったんだなぁ
夏歌は茉莉奈の気持ちが哀れで
しかたがなかった。
「そして・・・」
彼女は夏歌を真っ直ぐ見て
睨み付けるような眼差しで言った。
夏歌はゴクッΣ(ㅎωㅎ;)生唾を飲む
彼女の┣¨迫力に怯んだ。
「皮肉にも彼の目を覚まさせ
たのが夏歌さん、あなただった。
あなたが現れなければ
一将は私の物だったのに・・・」
「へ?・・・す、すみません。」
「今更よ?‼
いい?私一将の子供が欲しいの
それはゆずれない。
貴方はどうなの?
そんな覚悟があるの?
今一将の子供を産みたい?」
「えっ、ええ﹏ ?後後は欲しいです。
でも、今は・・・急すぎです。💦」
「😏✨なら、決定ね。
一将を説得して、一将は奪わないわ
ただ彼の子供が欲しい。
それだけよ、約束するから・・・」
「え--つ‼
そんな重大な事出来ません。
人の一生がかかって来るんです。
それに子供の人生だって・・・
それに娘さんが父親を欲しがって
いるんでしょう。
子供産むなら、ちゃんと父親に
しないと、それに一将の人生ですよ
私の人生じゃない。」
「じゃあ、一将を誘って
乗って来たら一将と別れて欲し
いの、私が一将を説得する。
恨みっこ無しで・・・」
「そんな﹏‼」
茉莉奈さんは続けて言った。
「子供は1人じゃできないわ。
お酒が入ったときは・・・
手を付けるかも知れないけど
シラフの時は一将は、中々堅いのよ。
中々誘っても乗って来ないの‼
今日はシラフよ。
彼がその気になったら
私の事も好きだと証明にもなる。
そう思わない?
私も好きな人の子供が欲しい
一将の子供が欲しい。」
沈黙
「私・・・
一将を信じます。
でも一将があなたと関係を持つ
ようなだらしない男だったら、
生涯を共に過ごすのは・・・💦
無理だと思います。
あなたの気持ちは良くわかりました。」
茉莉奈さんはどんなに一将の事を
愛して来たか、どんなに尽くして
来たか、それは大学生の頃からの
熱い思いを吐き出すかの様に夏歌に
話した。
彼女も今にかけているんだ。
悲しい女の性(さが)が
見え隠れしていた。
必死だ‼
「もうすぐ、彼がフィットネス
クラブから帰って来るわ。
失礼します。
彼と話し合う時間が欲しいの
しばらく2人にしてね。
私には梨花の為にももう1人
弟か、妹を作ってあげたいのよ。
年齢的な事もあるし・・・💦
あなたは若いからいいでしょうけど
貴方も女なんだから好きな人の
子供産みたい気持ち分かるわよね。」
(▽ω▽)ギラッニッコリ
茉莉奈さんはスッと立ち、トドメの
微笑を夏歌の胸に突き刺し
分かったわね💢とでも言う様に。
夏歌はそのまま動け無かった。
会計をカードでサラッと終わらせ
高いヒールのカッカッカッと
大人の足音を響かせ出て行った。
茉莉奈は一将のマンションの部屋へ
向かった、しばらく部屋には来るなと
言わんばかりに・・・
彼と話す時間が欲しい、しばらく
2人にしてね。
と言った。
夏歌は茉莉奈が見えなくなるまで
動かなかったが、ハッとして
立ち上がり、又ドスンと座り
こんだ。
茉莉奈に勝負かけられた。
子供を引き合いに出されては
何も言えないじゃない。
話し合う時間ってどんだけなの?
あとは一将が選ぶ事だ‼
私には決定権は無い‼
一将が茉莉奈さんと今日関係を
持つのなら・・・💦
もう本当に終わりだ‼
一将がエレベーターに乗るのが
見えた。
白Tに、青の短パン、人呼び付け
といてなんなん?
呑気に運動ですかい・・・
そして今からベッドで茉莉奈さんと
運動再開か?
夏歌はお昼を食べていなかった
とりあえず何か食べようと
思い、ふとメニューに気付くが
ピンクのツヤツヤしたホック付
きのノートが目に入った。
ととと?・・・腰を屈めてノートを拾う。
ん?・・・
スケジュール帳かな?
茉莉奈さんの忘れものか?
パラパラとめくったが何も書いて
無い。・・・が、赤い♥、ピンクの💓
と色分けされていた。
毎日の体温も記入
グラフもある。
赤い♥には小さく卵のシール
ピンクの💓には一将と一夜の記入
赤とピンクが重なった今日の
日付。
「これ・・・💦って、基礎体温・・・
この、グラフは?・・・
赤は排卵日
ピンクは行為した日?」
何回やっとんのかいムカつきながら
かぞえてみる。
これを見る限り何年も前から
ヤッっている様子。
茉莉奈さんは本気で
一将は遊び・だったんだろうか?・・
7月22日って今日じゃん。
昨日のグラフは急降下そして今日は
急上昇‼
排卵が、あり今日は予定日?なのか?
昨日も体温が下がった時点で
狙っていたんだぁー🐣
オギノ式、妊娠方
茉莉奈さんは、煮えない一将の
気持ちに、とうとう痺れを切らし
行動をおこしたのか?
多分そうだ‼
「ピンポイントで、狙ってる。
ねだっても貰えないDNA
なら・・・強硬手段
昨日もそのつもりで・・・😵
今日再勝負する気だ‼」
いやいやいや、一将を信じる
信じる。
はて?
一将は・・・信・・・じられるか?
それは無理な話じゃあ・・・
昨日、ヨロヨロしながらも私のアパート
迄来た、茉莉奈さんを残して・・・💦
それって私を好きって事じゃないの‼
ꉂꉂあははは
「だったら、大丈夫 大丈夫
😖・・・かな?」
兎に角何か食おう。
腹が減っては、戦はできん。
メニューをバーコードでスキャン
Σ(ΘДΘ;)高っ‼ 出るに出られず・・・
一番安い野菜サラダをオーダー
あーあ山羊かよー
草ばっか‼
ムシャムシャ食べるが飲み込めない
チラチラ🥕とラディッシュで
味を変える。
W﹏一将まずい鶏のエササラダ
良く食べれたなぁ。
・・・・・・🥕もガリガリ食って
くれたし、まん丸レタスも
バリバリ食べてくれた
あれって、
あれって・・・
やっぱり愛情だよね。
ガタン
ヤッパリDNAは分けられない、
前田家のDNAは、一滴も譲れ無い。
腹は減ってるけど一将のマンション
には、味噌ラーメンも塩ラーメン
も、パスタも買い置きしてる。
牛乳もあればプリンも冷蔵庫に
入ってるハズ‼
ここで、無理に今食わなくて
いい事に気がついた。
夏歌は¥2000を現金で出して
バババババ……シタタタッ ヘ(*¨)ノ
一将の部屋へと向かった。
まるで🐰を捕まえに行くような
狙った獲物を追い込んで捕まえる
ような変な興奮があった。
┣¨‡┣¨‡┣¨‡┣¨‡┣¨‡┣¨‡
鍵がブルブル震えて入らない。
ロック番号を押す。
ブルブルブルブル👉ピッ ブルブル
ピッ ピッ ピッ
ピタンと閉じたドアをゆっくり
開ける。
オートロックだが番号押さなくて
良いように鍵もある。
一将は2つしかない🔑の一つを
私にくれていた。
ソ━━━━━━━━━ツと開ける。
┣¨‡ ┣¨‡┣¨キ┣¨キ
リビングに二人の姿はない。
いやいやそんなはずは無い。
ゲストルームを開ける、
ここにも二人の姿は無い。
ヤッパそうなんすか?
一将は茉莉奈さんを選んだのか?
彼女の事好きなのか?
Loveなのか?
今日から10ヶ月後一将によく似た
ベイビーが生まれてくるぞ!
夏歌いいの!?
自分に問いかける。
一将は奪わない!
一将の子供が欲しいの・・・💦
そんな嬉しい事を言われれば
一将だって・・・
それに、茉莉奈さんが身ごもったら
平気で一将と付き合えない。
一将は奪わないと言ってたけど
こっちからノシ付けて献上するよ。
子供から父親は奪えない。
前田家の御先祖の墓参りに行って
謝ろう。
せっかくの御縁、なくなりました。
って、私が至りませんでした・・・が
もっといい嫁を一将が見つけました。
って謝ろう。
夏歌は諦めの気持ちが湧き上がり
ハ━━━━━━ッ( ̄‥ ̄)深呼吸。
覚悟を決め寝室を
๑ΘдΘ๑┣¨キ┣¨キ*しながらそ〜っと
OPEN・・・The DOR
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