第7話 御先祖様VS一輝

昨日、ずつと夏歌をアパート前で

待った。


大家さんに菓子折りを持って夏歌の

兄とゆう事にして車を駐車場に

入れさせてもらった。


夏歌に遠距離の男でも

いるのだろうか?


それより高速道路はクリアしたんだ

ろうか?ああだこうだと考えたら

どうも気になって仕方がない。


着拒された今、確かめる術がない!


高速使って会いに行く相手って

誰?俺より良い男か?


いやいやいや、俺に何が出来る?


俺は美波・・・が好きなんだから。

美波にプロポーズするつもりで

いるんだから・・・


しかし、夜中になっても帰って

来ない。

夏歌は何処に行つた?




その頃夏歌は・・・


「いいかい、土用干って言って

梅雨が上がった頃漬けた梅を

干すんだよ。」


「え?せっかく漬けたのに?」


「ハハハ色付きも良くなるし

風味も増すし、日光消毒も兼ねて

やるのよ。

何でもひと手間が大事、美味しい

物は手がかかってるんだよ。」


「へえ〜。じゃお手伝いに来ます

ね土用干しの‼。」


「夏歌よく梅干し食べるしね。

うふふふふ、頼もうかなぁ。」


「喜んでニッコリ‼」


「もうすぐ、6月だね。

雨の時期だよ。夏歌6月は

来たらダメだよ。


心配だからね。

梅雨が開けたら又、顔を見せに

おいでね。」


「分かりました。

じゃ今日の♡晩御飯なんですか?

いーっぱい食べます。」


「ハチク山から取ってきてあるから

お煮しめにしようか?」

(ハチク、タケノコの旬が終わる頃

出回る細いタケノコ)


「わぁーい。」

それから、干し椎茸と昆布で出汁を

とり油揚げの肉厚のヤツとハチク

里芋、人参、竹輪を出汁を使って

コトコトと煮た。


椎茸の香りが広がる。

ご飯を炊いて、お豆腐とクズ野菜を

入れてお味噌汁。

新ごぼうが顔を出し始めたので

きんぴらごぼう。


おばあちゃんの味の夜ご飯。

夏歌はご飯のお代わりを三杯

夏歌の、お腹がパンパンになった。

軽く妊娠7ヶ月分膨れた♬


おばあちゃん、腹ごなしに

お風呂はいりましょ。

背中流しますよ。


「ああ、先に入っておくれ、

私はちょっと目を通す資料が

あるから、後で入るから・・・」


「はーい。」

夏歌は、ルン((´I `*))ルン♬鼻歌を歌いながら浴室へ向かった。


おばあちゃんちの浴室は外が竹林で

そこにハチクが沢山頭を上げていた。


まるで京都の風景の様に綺麗に並んだ竹林を見ながら入るお風呂は

サイコー

ついつい長湯してしまう。

YouTu〇〇見ながら1時間は普通‼




「母さんいますか?」


玄関から男の人が入ってきた。

篤子はすすっていたお茶を

コトンとおいて振り返った。




「おや、珍しい一輝じやないか?」


「いや、お手伝いさんが噂を

していたんで、来たんですよ。」


「おばあちゃん、お風呂お先

でしたー。」


夏歌がタオルで髪や頬を拭きながら

リビングに入って来たら、一将の

おじいちゃんにそっくりな

人が立っていた。



撫で付けた髪は黒黒とツヤをだし

上下のスーツは品があり

身長は一将と変わらぬ180越え‼


銀縁メガネの奥から見える一将が

怒った時に見せる表情と同じ

刺すような眼差し・・・


「あ、あのぉ‼

こ、こんばんは、お邪魔して

おります。」

多少ビビってしまう。



「君か?一将の連れて来た娘って・・・」


「え‼ はい、すみません。」


夏歌は悪い事をしたのかな?

家の人に断りも無く図々しいと

思われていたのかな?と思い

つい、謝ってしまった。


「謝るこたあ無いよ

夏歌は私が呼んでるんだから

一将は、関係ない‼。」


「夏歌さんというのか?・・・


ふぅ➰

どんなつもりか知りませんが

こう言う事はやめてもらえないか?


実は、一将には婚約者が

いるようなんですよ。


しかし、私は反対してるんです。

こちらの土地の女性と見合いさせま

してね、あなたに、あんまり来て

もらうとせっかくの縁談が

破談になりかねない。


分かってもらえませんか?」


「えっ・・・と‼」

夏歌は戸惑いながらチラリと

篤子を見た。


篤子は・・・

「お前、偉くなったな‼

屋敷の者に聞いてなかったのかい?

夏歌は私が呼んでるんだよ‼


だから夏歌は休み返上でこの

バーさんの話相手に来てるんだよ。

それを偉そうに💢

夏歌に来るなって?


夏歌は私が呼んだんだ、一将は

関係無い‼

現に一将は居ないだろう。」


「しかし、大事な跡取りに変な

噂がたちますよ。

黙って居られませんよ。」


ワナワナと怒りを露わにする一将の

父親は夏歌を又睨みつけた。


夏歌は2人の喧嘩が自分が原因

なんだと申し訳無く思い


「すっ、すみません。

一将さんを狙ってる訳でもありま

せん。


お怒りはご最もです。

お見合いされたのも

婚約者がいらっしゃる事も存じて

おります。


ですから・・・

一将さんとは何でもありません。

御安心下さい。」



「じゃあ、何で毎週きてるんです?

屋敷の者も変に思って、色々

噂してますよ。


見合い相手の耳にでも入ったら

どうしてくれる?


破談なんだぞ‼」


夏歌は確かに軽はずみな行動を

取っていたと反省した。


しょんぼりと項垂れる夏歌をみた

篤子はブチ切れた。



「ちょっと待て‼

もう一回言うよ‼

夏歌を呼び寄せているのは一将じゃ

なくて、わ、た、し‼



私はまだ会長を退いて居ない

んだよ・・・‼

一輝に養われてもいない。‼

あんたはまだ、会長、だ、い、り‼

代理なんだからね。


私は給料払っているし

もらってもいる。


お前の世話にはなっていない💢


税金の何億、誰が払っている?

長者番付に載る名前はあんたかい

一輝‼」


おばあちゃん、いえ篤子さんは

緩やかな態度とは違う厳しい目を

して一将の父親を射抜いた。

夏歌に見せる表情とはまるで別人。


一輝さんは、動揺しながら

「母さんが騙されないか心配なんだよ。

屋敷の者達も心配しているんだ。」



「じゃあ、仏壇に尋ねてみなさい

この子は先祖が認めた子だよ。

何らかのお達しが降りて来るさ。


前田家の祖先はまとめて、使用人も

先祖も昔あった屋敷あとの家に

まだいる。

そして、前田家を守っている。」


夏歌は確かにそうだと思った。

私は御先祖様が選んでくれたの?


でも御先祖様に選ばれても

肝心の一将に

選ばれ無かった。チャンチャン


一将の父親一輝は口惜しそうに

夏歌を睨んで言った。


「分かりました。

今日は帰ります。


君、母にどうやっで取り入った、

かは知らないが、一将との事よく

考えてください。


それからプッ、ハハハハハ前田家の祖先が

何処から見つけてきたんです?


ꉂꉂアハハハハ!


母さん、遂にボケはじめたんですか?

そこら辺で言いふらしたりしたら

笑いもんですよ‼

馬鹿馬鹿しい‼💥💢💥」


そう言うと一輝さんは足早に

大笑いしながら出て行かれた。


「昔はあんな子じゃ無かったのに

会社を任せてから少しづつ

変わってしまった。


だからまだ譲れないんだ‼」


「そーなんですか?」


それ以上は篤子さんが黙ったので

何事も無かった様にテレビを見た。



そんな事があったのも忘れてしまう

ほど夏歌と篤子は仲良しだ。


楽しく農作業をして、時給自足の

食事をたらふく食べた。


いつものように夏歌は次の夕方

車には沢山の野菜を積み、

篤子に見送られ夏歌は、都内へ

と帰って行った。


そうして、梅雨に入り夏歌の足は

前田家から遠のいていた。



前田家は、その家の当主が、仏間

を開け、神棚に水、イリコ、米

を毎朝お供えする風習があった。


いつもの様に、当主が仏間に行こう

と使用人をつれ、戸を開けようとした。


ウーンヨーイショット、ん?

オウリャャャー

ヨイショーッ


しかし、押せど引けど戸は

開かなかった。


ずーっと開かず、会社の株も若干

下がりはじめた。


☔雨の季節を迎え

1週間が過ぎ、2週間が過ぎ

どうしたことか一輝の運営する

マーケットは徐々に下降して行った

株も比例する様に徐々に加速を増して下がって行った。



「まさか、まさかな!」


一輝は母篤子の言った言葉が脳裏を

何度も過ぎ去って行った。


篤子も戸を開けに行ったがビクとも

しない。


「御先祖様達は夏歌を気にいって

いたからね。」


篤子はꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)あははは

と笑い飛ばした。


不思議な顔をする一輝と、一将の母

里葎子に、この間の話をした。


2人は信じられないと言う顔をして


「夢でも見たんでしょう。

なら何故、僕と里葎子には

現れないんですか?

馬鹿らしい!」


2人は篤子を馬鹿にする様に

笑い飛ばした。


「そりゃ里葎子さんは

お前が探してきた嫁だからだよ‼

祖先が探した訳でも無いから

問題外さ‼」



「ァハハッ ꉂꉂアハハハ

死んだ人がどうやって探すんです?

ププ━ッッ!!!

聞いた事が無い‼」

一輝の妻、里葎子も遂に吹き出した。


「お母様、お堅い方と思って

いましたのに、ご冗談も

おっしゃいますのね。」


篤子はついイラッと来て

「必ず、何か起きるよ!

覚悟しときな‼」


篤子の威圧感の凄さに2人は

ビビリ、下屋敷から退散した。



一輝が笑い飛ばした日から余計戸は

ガチッと釘でも打たれたように固くしまった。


「まさか、まさかな!」


一輝は何度も繰り返し、呟いた。

大工を呼んで調整仕様としたら

大工が病気だったり、都合が悪く

なったり、噂は噂を呼んで

仏間に近寄る者は、居なくなった。


次第に悪い噂がたち始め取り引き

先も徐々に減って行った。


御先祖様が先に折れるか

現世の当主が先に折れるか

先祖前田家VS現世前田家

の嫁取り合戦が始まった。

夏歌VS見合い令嬢テキな‼



長い梅雨も開け始め、梅雨明け宣言

を待つ頃、

祈祷師を呼ぶ事になった。


祈祷師が言うには夏歌と一将を呼べ

それ以外道は無い‼


この前田家の領地には噂が噂を

呼び嫁取り合戦が本人抜きで

大盛り上がり


以上に盛り上がっていたが

流石御先祖様、商売には抜け目が無い。


観光客が増え、採れたて野菜

温泉とは又違う分野で売上が

上がって行った。


農民や領地のもの達には負担はなく

もはや売上上昇で儲かっていた。


一輝の運営する会社だけ売上が

下がりっ放しだ。


地方のテレビ局も、噂を聞き付け

取材も来たが断り続けた。


夏歌も一将も何も知らない。

未だ2人には何も知らされて

いなかった。


梅雨が開けて約束の土用干しの日

いや土用干しは梅雨の中にあるが

夏歌の運転を心配した篤子が梅雨の

開けた頃を指定した。


晴れた日に三日干せば何時で

あろうが梅干しに、問題はない。


夏歌は自信満々で

前田家の下屋敷、篤子の離れへと

車を走らせた。


家の前には見覚えある馬を連れた

人人人が出迎えていた。


木を切り倒した時に使っていた

馬だろうか・・・。

軽く30頭はいる。

ぶひひーんぶひひーんと泣いている。


車を本家のある上屋敷の方へ

と指を指している。

一言も喋らないって事は・・・

だよね多分‼、服装を見れば夏歌

にはわかる。

江戸時代から昭和初期・・・


今度はなんなんだー

何があったんだー

勘弁しちくりー

夏歌はブツブツ言いながらハンドル

を切る。


おばあちゃんの駐車場には

もっと、馬が沢山繋がれて車を

入れられない。


「どうしょう。」


悩んだ挙句、上屋敷の方へ車を

進めた。軽だもん、少しの

スペースは開けて貰おうかな。


車を付けると待ってましたとばかり

変なオバサンが飛び出して来た。∑(๑ºдº๑)!!


真っ白の着物を着て紫のケサを首から垂らしゴニョニョゴニョニョ

つい車をバックして逃げる


オバサンは信じられない速さで

ピタッっとフロントガラスに

飛びつきゴラァとして

家に入るように言った。


「は、は、ハイΣ(꒪◊꒪ ;)」



仕方なく入ると見覚えのある

三人のオバサンが又選手交代の様に

出て来た。

一将を連れ去ったオバチャン達だ‼



ギエーッ夏歌は叫び声を上げた。

一将を担ぎあげた前田家御用人だ

夏歌を担ぐのなんてチョロイチョロイ‼


夏歌は、ひ…ひえぇぇぇぇと悲鳴を

上げ逃げ出したが速攻で


「確保ー」


なんかわからん場所に担ぎこまれ

ポイッと座らされた。


広い廊下には現世の使用人が

ズラーりと正座して、御数珠を

持って待ち構えていた。


「な、何事?」

夏歌はもうブッタマゲー


さっきの白装束のオバチャンが

📣ゴニョニョゴニョニョゴニョニョ

(何?何教?)ゴニョニョ

キエーッ、エイツ エイツ エーイッ‼


は、はぁぁー

夏歌はもう勢いに巻かれ唖然!!


「夏歌様をお連れ致しました。」

ハアハアハアハア

仏間の襖に向いデカイ声で叫んだ!


一同の視線が集中



「夏歌様、仏間の襖を、お開け

くださいませ。」


「エッ、エッ開けるだけ?

これだけの為に連れてこられたの?

この大掛かりな志向は襖開けるだけ?」



70代ぐらいのお婆ちゃん祈祷師は

大真面目な顔をして頷く!


「前田家の一大事なのデッス‼

ゴニョニョ言わず開けらっしゃい

💥💢💥


前田家は由緒あるうんぬんかんぬん

・・・etc1時間の訳分からん説教

その説教の意味もわからない。



「はい夏歌様、開けてみて下さい。」


「ハイハイ開けりゃいいんでしょー」

夏歌が手をそえて開けるとスンナリと

襖は開いた。


('ロ')'ロ')'ロ')'ロ')!!!('ロ'('ロ'('ロ'('ロ' )オー

一同ビックリ、あんなに開かなかった

襖がスンナリと空いたのだ。


夏歌の到着を聞きつけた一輝が走り

混んできた。


「どうやった?どうやって開けたんだ。」



夏歌は襖に手を当てて

「え、こうやってあけましたケド?」

スパーンスパーンスパーン


一同の首は右にビューン

左にビューン

ビューン、ビューン、ビューン


あっち行きこっち行きする襖の

音に👂を塞ぎ一輝はさけんだ。

「も、もう分かった、分かった。」


夏歌は何をビビっているのか

わからなかった。


一輝はふにゃふにゃと崩れ落ちた。

襖が開いた途端

株も急上昇をはじめた。


一輝は偶然だ、そんなはずは無い

信じない!と呟いた。


夏歌はなんの事かわからず


「用が済んだなら

下屋敷に行きますからね。

おばあちゃん待ってるし・・・

土用干しをするんで・・・

お手伝いしても、いいですか?」


そう言うと一輝は項垂れウンウンと、

頷いて シッシッと手を振った。


下屋敷の駐車場に馬の姿はなく

ただっぴろーい敷地がいっものように

広がっていた。


ただ、馬がいた事を裏付けるように

沢山の人の足跡と馬の蹄の足跡が

数えられない程沢山残っていた。


前田家の一大事を放って置けなかっ

たのだろう。


昔の人の繋がりを夏歌は関心して

前田家って凄いんだ

そう感じていた。


これは上手く行けば、御先祖が

一将と・・・ムヒョヒ

へへへへー



ってナーンて

上手い事は無いかー

一将は他の女性(ひと)の者なんだ。

今頃は楽しくやってるハズ‼


寂しいって言っても

どうなる訳でもありませーん。

夏歌は独り言を、呟きながら下屋敷

へと🚘ブウーンと、走らせた。


「えへへへへー

お昼ご飯何かな〜❤」ウキウキ


今の夏歌のお楽しみは

お昼ご飯❤


お昼ご飯しか勝たん!

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