第4話 美波と俺、そして夏歌との出会い。
朝カチャカチャと音がする。
昨日の夜の疲れも見せず、美波は
朝食を用意していた。
美波は、某食品会社の令嬢で
大学が一緒だった、俺の愛する彼女
美波は俺の後輩だ。
美波はグルメだった。そんな美波の作る朝食は
こだわりの店の焼きたてパン
ハーブを混ぜた生ハムのサラダ
高級スープのお取り寄せ。
勿論其れは文句の付けようが
ない程美味かった。
洗い物は食洗機
「今日髪切りに行きたいなぁ」
えっ、俺は長いのが好み
だし、美波長い方が可愛いぞ!」
「ヤダーなんで、一将の好みに
合わせるの一将が私に合わせてよ。」
「わーかったよ、ハイハイ。」
美波はこうと言い出したら後には
引かない。
付き合って5年、大学で
知り合い、キャンプや合宿
俺達はテニスサークルのメンバー
美波は綺麗で、俺以外の男もいた。
俺の卒業で美波とは離れて
しまったが半年後、街で偶然
出会い俺が猛アタックして
付き合い始めた。
しかし、学生時代のサークルの先輩や、ホストと美波は遊ぶ‼
彼女は男に不自由していなかった。
考えようじゃ俺じゃないと美波の
彼氏はつとまらない!
アッチコッチで、遊んでいる。
遊ぶ金は充分持っている。
しかし俺は美波に
ゾッコン惚れていた。
大学の頃から好意を持っていたんだ。
本当に大好きだった。
だから多少の遊びは許してしまう。
美波に惚れていたから、やっと手に
入れた美波を、俺の束縛で失うのは
・・・嫌だった。
美波は束縛を嫌う
そんな事をしたらすぐ別れ話に
なってしまう。
俺はそれが一番嫌だった。
惚れた弱みってやつだ。
勿論、俺も遊んだし、美波もそれを
理解していた。
心は美波にあったし、美波も
当然そうだと思った。
ワガママな所も可愛くて・・・
俺達は若い、色んな経験も
必要だと思っていた。
木曜日の夜、俺は美波のマンション
へ向かっていた。
車をマンションの近くの
パーキングに止め、近所の
和菓子屋でモッチリした米粉で
中にはアンコを混ぜたホイップ
クリームが挟んである梅園支店の
ドラ焼きを1箱購入
疲れを取るには甘い物が一番だ。
彼女のマンションに入り玄関を開けた。
玄関には真っ赤な薔薇が生けてある
花屋さんが週一で来てくれている
美波は目立つ花を好んでいた。
そんな薔薇の甘い香りの隙間から
抱き合ってキスをする男女の姿が
見えた。
「なぁ‼ 彼氏帰ってこないの?」
「うん。彼も違う子と遊んで
るのよ。浮気は私達のルールで、
OKなの‼」
「へえーお前の彼、変わってんなー
俺、彼女浮気したら許せねーよ‼」
「自分は浮気してるじゃない。
私と‼」
「あれ?コレ浮気?」
「そうでしょ。」
「サークルの延長だろ‼」
ふふふ「そうか﹏ そう言えば
いい運動だよね。」
美波は俺をチラッと見たはず
なのにベッドに連れ込んだ男と
抱き合ってかなり濃厚な感じだった。
美波は俺だけでは満足出来ない。
同じ男の匂いだけでは
つまらない。
が口癖
俺は事が終わる迄リビングで
テレビを見ていた。
ただ眺めるだけだ・・・
すると中年のタレントが複数の
彼女と浮気した報道が流れた。
その男の顔が画面に写った。
色んな誹謗中傷があげられていた。
女を馬鹿にしている。
扱いが雑・・・etc
俺はそれを見て自分と重ねた。
俺は普通の男だから、
噂で済んでいる‼
世間一般から見れば呆れる程
馬鹿な行動なのだ。
そうだ‼ こんな事はやめよう。
美波に合わせてどうする‼
美波にもこんな馬鹿な事は辞めさせる‼
美波一筋に生きよう。
そう決心をした。
「チュッ❤美波、またな‼」
浮気男はソファに座る俺を見て
「あ‼」
と、気まずそうにしていたが
ベッドに疲れて眠る美波を
チラッと見て
「あんた、変わってんなー」
そう言って浮気男は、出て行った。
俺の顔を知らないみたいだから
美波の後輩か?
歳下まで手をだしてるのか?
俺達にはちゃんとしたルールがある
それを破ったら美波は俺から離れて
しまうのか?
未だ結婚に縛り付けるのは
美波には、早いのか?。
俺も自分が傷つかない様に
気が合う女、重くならない女を
選んで遊ぶのをまだ、続けるのか?。
美波が気が引けないように
これも優しさなんだろうか?
俺達は結婚するんだから、美波は
いずれは俺のモノだと、それ迄の
辛抱なんだと自分を納得させていた。
卒業して美波は自分の父親の
会社に秘書として就職している。
俺は大学を卒業して、
外資系企業に務めていた勿論、
何年かして父親が引退を考える頃は
跡を取ることを約束して
いた。
しかし去年から、親父の会社に
入り、今年から本格的に
動き出した。
それ迄は自由に好きな仕事に着い
て、色々勉強していた。
遊び惚けていた学生時代とは違い
仕事には責任があり学生時代の様に
頻繁には会えない時が過ぎた。
その頃、美波の男遊びは
益々激しくなっていた。
放ったらかしでいる訳ではないが
結果寂しい思いをさせてしまった
のかも 知れない。
そう思えば、寂しさに男に走るのは
仕方ない。
そう、見て見ぬふりをしていた。
なあなあと付き合っている
ように思われていた俺も、
彼女の父親に呼び出された。
其れは日本一のホテルの
レストランで食事をしながら
彼女も交えて話し合った。
「前田君と言ったね。
私は父親の松木勇次だ。
・・・娘とはどうゆう付き合いなのかね。」
彼女の父親は、肉にフォークを
刺しながら聞いてきた。
「お父様、一将はね。」
俺もフォークとナイフを置いて
美波の声を遮っていった。
「結婚したいと思っています。」
俺は一気に口にだした。
美波は黙り込んだ。
「うーんそうか・・・
君はあの前田財閥の跡取り
らしいな‼
ウチは跡を継ぐ男子が欲しい
んだよ。
結婚は・・・むつかしくはないか?」
「美波を諦めろと言う事ですか?」
俺はテーブルを乗り出して聞いた。
「そうは言っていない
娘も君が好きなようだし!
話はご両親とつけてくれ、その後
お互いに話あおう。
娘も24歳だ・・・」
美波の父親はそう言うと
「ウチの会社の跡取りが必要なんだ
学歴といい、家柄といい
君は充分みたしている。
しかし君の家も跡取り問題は
やはり苦しくはないかね。」
「・・・。」
「2年、2年ください。
跡取りは俺じゃなくても
良いように2年で解決しますから・・・」
俺は美波を愛していたし、誰にも
渡したく無かった。
必死の俺の説得に彼が条件付きで
降りるとゆう流れになった。
「分かった。
2年だぞ‼
それ以上は待てない。
娘もその話は了承している。」
美波は何も弁解せず俺の前から
父親と帰ってしまった。
早い話が俺に婿養子に入れと言う
事で、美波もそうしたいと言う事
なのだろう。
そんなクリスマスランチの後、
夏歌に出会った。
俺の予約していたレストランの
ディナーをキャンセルして美波は
何処に行ったのか?
そう言えばホストクラブに
お気に入りの男がいるって
言ってたなぁ
俺はホスト以下の彼氏に成り下がっ
てしまったのか?
ホストとクリパで楽しんで
いるのが濃厚だ。
「クリスマスパーティーは
皆で楽しみたいのー
賑やかに過ごしたい。」
そう言ってカンタンにキャンセルした。
そんな虚しさと戦いながら車
を走らせた。
珈琲でも飲んで気持ちを落ち着かせ
ようとコンビニに寄った。
すると、母からの着信‼
そこで夏歌に会った。
夏歌は結婚したくないようで
俺も母親に史智を、
跡取として任せ、俺を跡継ぎにと
願う母を諦めさせる2年が必要だった。
美波は強気で母とも
気性が合わないのは何となく
分かっていた。
安心させる為、彼女代理として
夏歌を頼る事を思い付く‼。
ただ名前を貸して貰うだけだ、
どうのこうのと拗れる事は
したくなかった。
2年の期間 嘘の 婚約者として親に
合わせて、その期間美波との結婚
準備をする。
その準備の中には他の男とは
切れて貰う事も入っている。
どうせ夏歌は未だ、結婚したくない
と言っていた。
夏歌の事は、俺が気にする事じゃ
無い‼
彼女は彼女の人生だ‼
だから母親と気が合わなくても
俺が気にする事は何も無い‼
その間に従兄弟の史智(みち)を
跡取りとして家に入れる計画を
立てるつもりだ。
史智は俺の従兄弟で良い奴だし
跡取りとしての条件はみたしている。
今は外国に留学しているが、来年
には帰国する。
俺によく似ているせいか父親も
母親もよく可愛がっていた。
史智なら適任だ。
この2年で絶対史智を跡取りにする。
俺は決めていた。
松木家の、婿養子にはいる。
夏歌と会った日、美波はホストと
遊び呆けているのは間違いなかった。
虚しさと切なさからか、つい夏歌を
マンションに誘っていた。
寂しさに勝てなかった。
ただ酒を飲む相手として誘った
つもりだった。
可愛らしくクルクルした目は
新鮮で、窓から見える牡丹雪にさえ
感激していた。
美波と違いはっきりと物を言う。
美波は俺がゾッコン惚れていると
知っているから、思わせぶりな
態度をとる。
俺が傷付くような事も平気で言う。
「昨日のカレは・・・
今日は駅前で待ち合わせてるの・・・
帰りはココによるから・・・」
いい加減にシロ‼💢
そう叫びたいが グツ と我慢する。
誰にも理解して貰えないが
それでも美波が離れて行くのが
嫌だった。
俺には我慢する以外選択肢は
無かったんだ。
聞けば夏歌も、今日彼氏と
別れたばかりだと聞いた。
彼女も寂しかったのか?誘いに
乗ってきた。
同情したのかもしれない。
「そんな男、忘れさせて
やろうか?」
夏歌も静かに頷いた。
そんな夏歌に何故か愛おしいと
言う感情が湧いて、離したく
なくなった。
だから・・・
だから・・・迷っていた、契約彼女の
話を振ってみた。
以外にアッサリOKしてくれた。
ほんとに健気で愛おしい。
夏歌に対してそう思った。
未だこんな感情が未だ残って
いたのかと不思議だった。
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