番外編:手料理食べないと出られない部屋
「これは……死刑宣告か……?」
俺、英城ことジョーは、永田と共に「手料理食べないと出られない部屋」に閉じ込められている。
しかし、永田は超がつくほど馬鹿舌で、この世のものとは思えない味を生み出すのだ……
永田はいそいそとエプロンをつけ、調理器具を取り出している。
「ジョー、作るの、何がいい……?」
「え、えっと、カップ麺とか、一緒に作ろうぜ!」
「うーん……お互い、相手がつくたのじゃないと出られないっぽい……」
「なんでそんなことわかるんだよ」
「説明書……」
永田は説明書、と大きく書かれたプリントを取り出した。残酷なことに、そのことはしっかり書かれていた。
どうする俺、このままだと確実に腹を壊すぞ。
俺は頭を抱える。その間にも、永田は準備を進めていく。取り出した食材は、人参、玉ねぎ、じゃがいも、トマト、カレーのルウ、コオロギ、デスソース、チョコチップクッキー、ソーダ……
「ちょっと待て、何作る気だ?」
「……ん、カレー……」
「なんでコオロギとかチョコチップクッキーとかがいるんだよ!」
「肉が無かった……隠し味のチョコも……」
俺は背筋の凍る思いだった。
俺は必死に提案した。
「そんな凝ったのじゃなくても、握り飯とかでよくないか?」
「んー……そうだね……カレーは時間かかっちゃうし……」
「ヨッシャ決まりィ!」
俺は光の速さで米を炊いた。永田の気が変わらないうちに、一刻も早く。
あとは米に塩をふって、梅干しとか昆布とか、具を包んで握ったら完成だ。世界一安全安心の握り飯を食べ、万事解決だ。
「完成だ!」
「僕も……」
いっただっきまーす!と手を合わせて、永田の握り飯にかぶりついた。
「って、甘ああああっ!しかも、なんか変な汁と種が出てきたあああ!」
「あ、ごめん……塩と砂糖間違えた……あと、具はトマト……」
「なんでだよおお!」
こうして俺達は、「生トマトおにぎり〜砂糖を添えて〜」を食べ、無事に部屋から出ましたとさ。
めでたし、めでた……くはねえな……
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