【番外編】ルイス狼の夜歩き
真夜中に目が覚めたらルイス狼がいなかった。
ルイス狼の気配を求めてゴロゴロ転がっていたら神様のお腹に乗せられた。神様のお腹はポニョポニョしてて寝心地が良いので、すぐに眠ってしまった。
そんなことが何度かあった。
「ねえ神様、夜にルイスが出かけているみたいなんだけど気づいてる?」
「あー…どうせ続かないから気にしなくていいよ」
「どういうこと?」
「ほら、ルイス君にもロマンスがあってもいいじゃない?」
「そういうこと!?お相手は?どんな人?」
ワクワクしてたずねてみれば神様が渋い顔だ。
「ルイス君は女の趣味が悪い」
はっきり言いよった。
「ルイス君はボン!キュ!ボン!でナイスバディで頭の軽い金髪ギャルに弱いんだ」
「そういえば私の産みの母親もそういうタイプだっけ」
「そう…野心家のプレイメイトで次々と付き合う相手を変えていく悪女だよ。相手を変えるたびに相手の総資産が倍々ゲームで増えていく女性だ」
そりゃー凄い。
「いつもルイス君はコロリと騙されて…。お金を騙し取られたりしてないから黙っているけど」
神様がため息をついた。
「ルイスは家で好きなお肉を焼いて好きなだけ食べられたら幸せだもんね。そういうタイプの彼女とは合わなそう」
「野心家の金髪ギャルは豪華なヨットでクルージングとか自家用ジェットで海外旅行や宝石のプレゼントを欲しがるけど、ルイス君はそういうものに価値を見出せないからね」
「合わないよねえ」
「今度の彼女もそんなタイプだよ。どうせすぐに別れるよ」
神様がため息をつく。
「ねえ、ルイスの好みに合う容姿でルイスと性格が合う女の人はいないかな?」
「ルイス君の好みのタイプで堅実…」
神様が遠い目をした。
「あのさ…いずれ私にも彼氏とか出来るでしょ?その頃にはルイスにもパートナーがいて欲しいんだ。私の味方になってくれそうな人がいいな」
「ああー…カレンちゃんの気持ちは分かるよ。ルイス君はカレンちゃんに過保護だもんね」
そう、彼氏が出来たら絶対に邪魔されそうなのだ。
「僕もルイス君には幸せになってもらいたいから気にしておくよ。でも気長に待ってほしいな」
「それだけ困難てこと…?」
カレンの耳が倒れて尻尾が下を向いた。
「カレンちゃんが大きくなるまでには、なんとかしようね」
「うん!」
1週間後、ルイス狼が頻繁にため息をついていた。どうやらボン!キュ!ボン!な彼女にふられたらしい。
神様と一緒にルイスの好きなカルボナーラやクリームドスピナッチやグラタンを作っていたら、ルイスは彼女のことをすぐに忘れたようだ。この引きずらない前向きさはルイスの長所だと思う。
「早くルイス! 私、もう眠い」
神様のベッドの上で仁王立ちの子狼な私。態度は偉そうだが言ってる内容は情け無い。
『1人で眠れないから添い寝してください』だ。
「分かった。分かった」
ルイス狼がひょいっとベッドに上がってきたので密着して寝た。
真夜中に目が覚めたが、すぐ側にルイス狼の気配があったのでゴロっと転がってルイス狼に密着した。
もうしばらくはルイスに彼女がいなくてもいいなと思った。
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