【番外編】カニクリームコロッケ
「カニクリームコロッケで腹いっぱいになりたい」
ルイス狼がアホな小学生のようなことを言い出した。
真夏に揚げ物で腹いっぱいって聞いただけで胸焼けしそうだ。揚げるのも暑いし出前で済ませようか…
「冷凍の揚げるだけのやつじゃなくて、洋食屋の出前じゃないやつだ」
…そうきたか。
「一緒に作るぞ」
ルイス狼に言われるがまま材料を買った。
「まずは玉ねぎのみじん切りを炒めて、ホワイトソース作りだな!俺の得意な作業だ」
クリーム系のソースが好物のルイスが作るホワイトソースは絶品だ。
バターを焦がさないよう、ゆっくり溶かしたら小麦粉を加え、木べらで鍋底から全体に大きくかき混ぜ、牛乳を加えては木べらでゆっくりと混ぜて馴染ませる。表面につやが出て滑らかなクリーム状になるまでじっくりと混ぜる。
「今日はカニクリームコロッケだから固めに仕上げるぞ」
ルイス好みの固さに仕上げてナツメグと塩胡椒で味を整えた。
ルイスがホワイトソースを作っている間に私はゆで卵をたくさん作って殻をむいてエッグスライサーで輪切りにして90度ずらしてもう一度スライス、賽の目にした。
ホワイトソースに炒めた玉ねぎのみじん切りと賽の目のゆで卵、ほぐした蟹缶を混ぜたら平たい容器に移して粗熱を取って冷ます。蟹缶は多めに入れた。
ゆで卵入りのレシピはホワイトソースとゆで卵の組み合わせが好きな私のオリジナルなので冷凍食品や出前で見かけない。しかしルイスのお気に入りなので我が家ではよく作る。
「モニカの好きなトンカツも揚げようね」
「そうだな」
トンカツは揚げるだけのやつをインターネット通販で買った。ルイスと2人で選んで美味しい専門店から取り寄せたから喜んで貰えると思う。
冷めたら俵形に成形する。小麦粉、溶き卵、パン粉の順につけて180℃の油でこんがり揚げたら出来上がり。
「美味しそうに揚がったね」
ルイスの揚げものはカラッとして美味しいのだ。
「姉ちゃんたちを呼んできてくれるか?」
「私ならここにいるわ」
真後ろにモニカ狼がいた。神様もいた。
「手伝おう」
人型のヨルが見事な包丁捌きで千切りキャベツやサラダを作ってくれた。揚げ物には酸味の効いたドレッシングで食べるサラダが合うよね。
「食べようぜ」
待ちきれないモニカとルイスがカニクリームコロッケやトンカツに齧り付く。
「ルイスが揚げるトンカツは美味しいわね」
ルイスとモニカは今日も仲がいい。
── 私はお味噌汁からいただこうかな。
ずずー。
シジミのお味噌汁が美味しい。
「カニクリームコロッケとトンカツとお味噌汁って幸せだねえ」
「美味しい組み合わせだよね」
コロッケとお味噌汁の献立は神様に似合う。洋食にお味噌汁を合わせるのは私の影響だ。
……北欧モデルっぽいイケメンなヨルにコロッケとお味噌汁の組み合わせでご飯を食べさせるのは申し訳ない気持ちがある…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます