【番外編】もう1つの世界 4

「今日は朝市で朝食にしよう」


 ウィルコの案内で朝市に行くことになった。外に出ると昨日と違う兵隊さんがいた。


「おはよう」

「今日は朝市だったな、歩いてすぐだぞ」


 朝市は人が多いので4人着いて来てくれるそうだ。ありがたや。


「それにしても美男美女揃いだな」

「獣人の特徴なのか?狼獣人だけか?美貌はトラブルの原因になることがあるぞ」


「モニカは俺のつがいだから手出し無用だぞ」

さっそくヨルが牽制した。

「美男美女の夫婦だな!」

ヨルはフェンリルですからね!



そんな話をしていたらすぐに着いた。


「いま保存食しかないから朝食を食べたら新鮮な野菜を買おう」

 

 兵隊さんたちが美味しい屋台を教えてくれて一緒に食べた。ルイスとモニカとヨルが大きな串焼きをもりもり食べる。

やっぱり狼獣人は肉なんだな!って感心されてる。私は小ぶりな焼き魚とフルーツの串をたべた。フルーツがみずみずしくて美味しい。


「美味しかったね!」

「ああ、肉の味付けもいいな」


「少し先にアイスクリームがあるよ」

「食べたい!」

 ウィルコと私だけアイスクリームを食べることになった。アイスクリームはウィルコが広めたらしい。


 尻尾ブンブンでアイスクリーム屋台に移動して2つ注文。メニューはバニラ一択だったがバニラ大好きなので大歓迎だ。


「どうぞ、落とさないようにね」

「ありがと」

 ヘラですくって堅焼きクッキーのコーンに乗せてくれた。ジェラートっぽい見た目だ。


美味おーいしーい!」

 作りたてのジェラートは滑らかで美味しい。尻尾が休まる暇が無い。


「可愛いねえ」

 アイスクリームの屋台のおばさんがニコニコしてるので私も笑い返した。



「カレン、マントを着ろ」

「嫌だよ暑いもん」

「しかし…」

 ルイスが困った様子で周りを見るので私も周囲を見渡せば、めちゃくちゃ見られていた。見られていることに気づいた瞬間、毛が逆立って尻尾が膨らんでしまった。


「一般の方々に視線で脅威を与えるなよー」

「立ち止まるなよー」

 同行してくれた兵隊さんたちが一般客の移動を促す。


「ごめんごめん」

「あんまり可愛くてな」

「じっと見ちゃって悪かったね」

一般の皆さんが謝りながら通過して行った。


「悪かったね、ゆっくり食べていっておくれ」

 耳と尻尾が垂れてしまい、アイスクリーム屋台のおばさんに謝られてしまった。

「大丈夫、見られててビックリしただけ。アイスクリーム美味しいね」


 少しだけ尻尾に元気が戻って、そよそよ揺れた。



 食べ終わって移動する時にルイスが両手を差し出してきたので素直に抱っこされて買い物した。ルイスにギュッとしがみついて耳と尻尾は垂れたままだ。


「ほらカレン、パイナップルがあるぞ」

 素直に甘えるカレンにデレデレなルイスが優しく声をかけてくる。


「1つ買っていきましょうね」

「マンゴーとパパイヤもどうだ?」

「あとでヨーグルトも買おうね、美味しいヨーグルトを作っている評判の農家があるんだよ」


 私の元気が無くなったからか、モニカとヨルとウィルコが新鮮な野菜の他にフルーツやヨーグルトも買ってくれた。兵隊さんたちもお店の人も優しかった。



「獣人が珍しいだけだから訪れる獣人が増えれば見られることも無くなると思うけど…」

「子供を連れて来るのは控えた方が良いかもな」



 その後、ウィルコと一緒に干し肉を売りに行ったりヒューマンの街でないと入手出来ない野菜の種子を仕入れに行ったり、あちこち出掛けたら、どこに行っても私ばっかり見られた。


 モニカもヨルも美形なのに、見られるのはいつも私だった。私の尻尾が下を向きっ放しだったし、その度にマントを持ったルイスが私の横でオロオロだった。


 視線で私が消耗した結果、当分の間は身体能力が高い種族の中高年男性の交流から始めることになった。

身体能力の高い成人男性の獣人て毛深いムキムキ体型が多いので暑苦しい交流になりそうだ。

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