【番外編】バッファローチキンウィング

「アメリカの肉を食いたい。豪快に」


 私が獣口病けものくちびょうで寝込んだ後、育児疲れでボロボロになったルイスが肉肉うるさい。

育児疲れじゃない時も肉肉言ってるから通常通りのルイスだ。食欲があって元気なのは良いことなのでアメリカっぽい肉料理を検索した。お酒を飲めるようになったからビールに合うお肉がいいな。


「バッファローチキンウィングは?」

辛旨くてビールに合うやつだ。


「あれは旨いな!」

ルイス狼の耳がピコンと立ち上がった。


「チキンですって?」

チキンと聞いてモニカ狼がドスドスやってきた。


「ビールに合う肉料理の日にしたくなっちゃった。バッファローチキンウィングの他にビヤホールから出前を取り寄せてご飯にしようか」


「ビヤホール?」

「ちょっと待ってね」

銀座にある有名なビヤホールのメニューを表示させた。


「見える?」

ルイス狼が右肩から、モニカ狼が左肩からのぞいてきた。頬毛がくすぐったい。


「立派なローストビーフね!」

「姉ちゃん、このソーセージ盛合せも美味そうだぞ」

「このビヤホールの煮込みは生ビールに合うおつまみとして考案された牛すじ煮込みですって!大盛りで取り寄せてちょうだい」

「ポークスペアリブとビーフシチューとアイスバインも大盛りな!」


 ルイス狼とモニカ狼のリクエストの肉料理は食べる直前にビールと一緒に取り寄せることになった。



「じゃあバッファローチキンウィングを作ろうね。モニカ好みの辛いのとルイス好みの普通の!」

「いいな!」

「お肉はたくさん買ってね!」

 ルイス狼が元気になった。モニカ狼も嬉しそうで可愛い。



 人型に変化したルイスとモニカと一緒に下拵え。

鶏手羽元は水分をふきとってから塩胡椒をふって下味をつけたらカラリときつね色になるまで油で揚げる。今日はモニカが揚げてくれた。


 その間にルイスとソース作り。すりおろしニンニク、ケチャップ、バター、チリーパウダー、ホットソースを合わせて火にかけて出来上がり。

 ホットソースを辛いのと普通のと2種類用意した。辛旨い方はモニカが気にいるはず。


 油をきった鶏手羽元をソースに絡めたら出来上がり。

その間にルイスがサラダを用意してくれた。以前は自分から野菜を用意することなんて無かったのに子育てに目覚めたルイスは育児書を読み込んで私に栄養バランスの良い食事をさせるよう考えてくれるし、野菜の飾り切りも上手だ。



「全部揚がったわよ」

「ご飯にしよう!」


 ヨルと神様も揃ったので、どんどん出前を頼んだ。モニカとルイスが食べたがったお肉料理と、私が飲みたかった生ビール!みんなはジョッキで私はグラス。すぐにお腹いっぱいになるちびっ子ボディが残念だ。



「旨辛で美味しいわ!」

モニカの好みに合ったようでよかった。

「普通のも旨いぜ姉ちゃん」

 私に栄養バランス良く料理を取り分けたルイスが肉料理を平らげる。


── 私も辛いのをいただこうっと


旨辛いチキンに食らいついてビールをグイッと…。

「美味しいー!」

ビールに合う。満足だ。


 ヨルも神様も美味しそうに食べている。みんなで食べるご飯は今日も美味しい。みんなと一緒に飲むビールはもっと美味しい。


生まれ変わって良かったー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る