【番外編】もう1つの世界 3

 兵隊さんたちと一緒にウィルコの家に着いた。敷地の中に入ったので馬車から出る許可が出た。


「長旅だったね、お疲れさま」

「ありがとウィルコ」


「じゃあ俺らは兵舎から簡易テーブルと椅子を出してすぐ外にいるから」

「何かあったら声をかけてな」


「ありがとう」

 兵隊さんたちが兵舎に戻って行った。


「今日のところは何も無いと思うよ。自由に外に出たら何か反応があるかもしれないけど…モニカとヨルが伴侶じゃ無かったらモニカに求婚が殺到しそうだね」

「あらやだウィルコったら」


 モニカは満更じゃない雰囲気だけどヨルがピリピリしてる。

「ヨルもモテそうだよね」

 ヨルは人型になると北欧美形モデルっぽい。


「姉ちゃんとヨルはくっついててくれよな」

 ルイスの提案にヨルがうなずいた。ヨルはモニカを大切にしてるんだよね。ルイスもお姉ちゃんを取られて淋しく思うより、ヨルならお姉ちゃんに相応しいと認めている感じ。



「ねえ兵隊さんたちは、直射日光の下で見張っててくれるのかな?」

「そう言っていたな」


 季節は夏だし、それはキツいだろう…という事でインターネット通販でタープを買った。


「じゃあこの世界の技術レベルに変換するよ」

 ウィルコが変換してくれたのでウィルコとルイスと一緒に差し入れることにした。


 表に出てみるとギラギラと照りつける太陽の下で簡易テーブルと椅子を出して先程の2人が暑そうに座っていた。


「これはいいな!」

「雨の日も濡れないな」

さっそく設置してみたら好評だった。


「これもどうぞ」

 大きなピッチャーにレモンの輪切り入りの冷えた水を持ってきた。

「ありがたいな」


「無理しないで交代してね、水分も塩分も取ってね」


 マントが暑いので用が済んだら家に戻った。兵隊さんたちに手を振ったらニコニコ振り返してくれた。



「良い人たちだね」

「獣人を差別する雰囲気も感じないぞ」

「お互いに存在に慣れたら共存出来そうじゃない」

私たちの感想は今のところ好感触だ。


「そうだね、明日は朝市に行ってみない?」

「いいね!」

「マント無しで反応を見てみよう」


 この日の晩ごはんは、粉からピッツァを作った。ウィルコが獣人の集落で仕入れた保存食のチーズやキノコのオイル漬けを乗せて美味しくできた。干し肉のスープも良い出汁が出て美味しかった。


 神様は1人で大丈夫かな?と思ったらセレネさんからメッセージが届いた。

この機会に滞っていた業務を進めるから、私たちには最低でも1週間はウィルコの世界にいて欲しいって…涙目の神様が目に浮かんだ。

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