【番外編】もう1つの世界 2
「これに着替えてね。品質を良くしてあるから肌触りは悪くないと思うよ」
ウィルコから渡された服は中世っぽいシンプルなワンピースとマントだった。モニカもワンピースでルイスたちはシャツとズボンにマント。
「マントは暑いかも」
薄手のマントだけど、着たら暑そうだ。
「どれ俺が持っておこう」
「ありがと」
ルイスが父ちゃんっぽい。
「獣人は珍しいから僕が御者を務めるよ。カレンは中に入っててね」
「うん」
隠れているのは残念だなと思ったけど荷台の窓から外をのぞいてみたら普通の田舎道だった。ウィルコの世界と似てる。
「そろそろエスカルに着くよ。街に入る時に調べられるからマントを着てね」
街に入る順番が来たらルイスが私にマントを着せてくれた。
「ウィルコか、久しぶりだな」
「今回はどこに行っていたんだ?」
ウィルコは若手の商人という設定らしい。
「狼獣人の集落で仕入れをしてきたよ。美味しい干し肉とか冬に向けて良い保存食が手に入ったよ」
門番たちが騒ついた。
「獣人の集落だと」
「それはまた凄いな。獣人に会ったことのある人間なんて滅多にいないぞ」
「会えるよ。みんなー」
呼ばれたので揃って顔を出した。マントのフードはかぶっている。
「こんにちは!」
「はい、こんにちは」
「可愛いな、旅して来たのかい」
「この子はカレン。狼獣人の集落で僕がお世話なったルイスの愛娘だよ。こちらはルイスの姉のモニカとモニカの伴侶のヨル」
「もしかして…」
「まさか…」
ヨルがフードをずらして耳を見せた。
「本当だ…」
「普通に旅してきて大丈夫なのか…」
「これ暑いよ」
子供な私は大人よりも暑がりなのでマントもフードも我慢出来なくてフードをずらした。顔で風を感じて気持ちいい。
「可愛いな!」
「可愛い過ぎて危険だ」
「ああ隠した方が良い」
門番たちの反応に焦ったルイスが私にフードをかぶせる。
「暑いよ…」
「かわいそうだが外に出る時はマントをかぶった方がいいぞ」
「しかしこの気候でマントの集団は警戒されるんじゃないか」
門番たちが相談を始めた。
「エスカルに滞在される間、警護させてほしい」
「もちろん我が街に、それほどの悪人はいない。しかし獣人の存在というのは珍しすぎる」
「ウィルコがいるが不要なトラブルを防ぎたい」
この街のウィルコの家に滞在する予定だけど都合の良いことにウィルコの家は街中にある兵たちの詰所の隣だった。
しばらく門番さんたちの詰所で足止めされた。
「待たせてすまない」
「警護のスケジュールとメンバーの調整ができたから行こう」
私たちがトラブルに巻き込まれないよう、常に2名の兵隊さんが一緒に行動してくれることになった。今日の当番の兵隊さんと一緒にウィルコの家に向かった。
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