第240話 さらに東へ
「次は味噌と醤油だな!」
「ウィルコの世界で豚肉の生姜焼きや豚肉の味噌漬けを食べられるようになるわね」
元気よく尻尾を振るルイス狼とモニカ狼が可愛いので抱きついてモフってやった。
「じゃあ出掛けようか」
醤油と味噌の近くに転移したら海岸沿いの街道のような道だった。
馬車の御者席にはルイスと私。醤油や味噌のある地方の風景に興味津々なので御者席に座ると我儘を言ってしまった。
まだ村も何も無いから日本ぽいかどうかも分からないけど、そういうつもりで見れば浦島太郎の海岸ぽく感じられない事もない。
「キョロキョロして落ちるなよ」
「うん」
遠くに村っぽいものが見えてきた。特に門番はいないようだ、この辺りは平和そうだな。家が木造だ!畑に人がいる!
「こんにちは!」
「やあ、旅人かい?」
畑仕事をしていた第一村人に話しかけると、にこやかに答えてくれる。
木綿の着物っぽい服を身体に纏う第一村人を見てカレンは確信した。
── ある!ここには醤油も味噌もある!
「ずいぶん遠くから行商に来たんだな」
「平和で安全になったからな」
「以前から来てみたかったのよ」
今、私たちに村のことを教えてくれているのは第一村人の与平さん。
「どんな物を扱っているんだ?」
「保存食や香辛料、チーズ、病気や寒さに強い穀物や野菜の種子、甜菜糖やワイン」
「あとは鍋とか雑貨類ね」
村へ案内してくれる与平さんの質問にルイスとモニカが答える。
「村長!行商の方ですよ」
与平さんが村長さんに紹介してくれた。村長さんの名前は孫次郎さん。
「これはこれは牛若村へようこそ」
村長の孫次郎さんは昔話に出てきそうな温厚そうな初老の男性だった。
「俺たちは遠い西の王国だったところから来た。国の体制が変わって自由が出来たので国のものや旅の途中で仕入れたものを扱っている」
「販売もだけど仕入れもしたいわ」
「ええ、是非お願いします」
孫次郎村長の許可もいただいて明日の午前からデモ販売することになった。とりあえず今日は村の広場で野営だ。さっそく醤油って味噌を使うよ、楽しみだな。
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