第234話 モニカまで!
「おはようルイス」
「おはようカレン、姉ちゃんは?」
「まだ起きてこないんだよね」
「今日は東へ行こうって、昨日の夕飯の時に張り切っていたのにね」
なんだか心配だ。
「私、見てくるね」
控えめにノックしてドアを開ける。
「モニカ?」
ベッドで眠るモニカ狼の胸が上下している。気持ちよく眠っているようだ。
そっと近づいてモニカを撫でると寝息が聞こえた。気持ちよく眠っているみたいなので邪魔しないでおこうとドアまで戻る。
「すやすや規則正しい寝息が聞こえるから、そっとしておこう」
ドアの外で待機してしていたルイス狼とウィルコに伝えるとルイス狼の目がカッと見開かれた。
「ね、姉ちゃん!」
「ルイス?」
振り返ったらモニカがシュワシュワと小さくなっているところだった。
「モニカも小児インフルエンザ?」
「多分な」
「僕、シモンに連絡してくる」
人型になったルイスが小さくなったモニカを優しく抱き抱えているとモニカが目を覚ました。
「モニカ起きた?」
「姉ちゃん、怠いか?」
「お水を飲む?」
「…おみず」
モニカが欲しいだけお水を飲ませるとルイスがモニカを抱え直す。
「ルイス?」
「姉ちゃん…」
「変ね、カレンが大きいわ」
「姉ちゃんが小さくなったんだ」
「まさか…」
「そのまさかだと思うぞ、姉ちゃん」
「シモンは呼んじゃダメよ」
「さっき僕が呼んだよ」
「……」
モニカとウィルコが見つめ合う。
「モニちゃん!」
もにちゃん?
声のした方を振り返ると心配顔のシモンさんがいた。
「…ああ、確かに小さい頃のモニちゃんですね」
もにちゃん?
「早かったねシモン」
「心配ですからね」
「そういえばルイスの時も早く来てくれたよね」
「当然です」
ウィルコと話しながらシモンさんが注射の準備をした。
「さあモニちゃん、すぐに楽になりますよ」
シュタッ!
シモンさんの注射針をモニちゃんが真剣白刃取りで受け止めた。
「モニ、これ嫌い。引っ込めて」
── そんなこと言ってもシモンさんは容赦なく…
コトン。
── ことん?
シモンさんが注射器をトレーに置いた。
「シモン、打たないの?」
「何言っているんですかウィルコ、そんなことしたら私がモニちゃんに嫌われてしまうじゃありませんか」
シモンさんはモニちゃんの言いなりだった。
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