第233話 ペリペリソース

「僕の世界にカレーが出来るよ!」

「良かったわね」

「いずれカツカレーもキーマカレーもカレーパンも作れるようになるな」


 今日は休養日、結界でウィルコを囲んでキャッキャしている。モニカ狼もルイス狼も嬉しそうだ。


 スパイスの産地は遠いし安定して生産出来るようになるまで時間も掛かるだろうから、王都でカレーを食べられるようになるには10年はかかりそうだけどオッケーだ。だってもう存在するんですから!

 

「お祝いに今日のご飯はカツカレーと言いたいところだけど最近カレーが続いて流石に飽きてきたわね」

「普通に肉で祝おうぜ」


相変わらずお肉に夢中で可愛い。


「ウィルコは?」

「パンやご飯に合うお肉がいいかな?」

 炭水化物大好きウィルコらしい意見だな。デザートにアメリカのキーライムパイを出前してあげよう。


「じゃあペリペリソースでお肉を焼こうか?」

「ペリペリソース?」

 ウィルコとモニカ狼とルイス狼が揃って首を傾げて可愛い。



「ペリペリ(Peri peri)っていうアフリカ原産の唐辛子が由来のソースだよ…南アフリカにあるナ○ドス(Nan○o's)っていうレストランのナン○スペリペリソースが有名なの」


 タブレットでペリペリソースの検索結果を見せる。

「ナ○ドスの1号店はヨハネスブルグにあるんだけど美味しくて人気で世界30カ国以上に出店するようになったんだよ。これは市販されているナ○ドスのソース」


「ボトルのデザインがいいわね」

「アフリカの鮮やかな布を思い出す素敵なデザインだよね」


「どうやって食べるんだ?」

「チキンを24時間ペリペリソースに漬け込んで炭火焼き。ソースの辛さはエクストラマイルドからエキストラホットまであるよ。あとはガーリックとかレモン&ハーブとか。ソースたっぷりで野菜と一緒にピタパンに挟んで食べようよ」


「いいな!」

「私は辛いソースがいいわ」

「チキンもいいけど豚肉も焼こうよ」


 ウィルコの豚肉案はルイス狼とモニカ狼に熱狂的に受け入れられた。


「じゃあさっそくお肉を買いましょう。…お肉が足りないわ、もっとよ」

「ソースも全種類な!」

 モニカ狼とルイス狼が左右から覗き込んでくるので言われるがまま買った。


 届いたお肉を4人で丁寧に下処理してソースに漬ける。


「モニカ、ルイス、お願い」


 漬け込みはモニカとルイスの担当だ。2人がモミモミすると24時漬け込んだように美味しくなる。神の技の無駄遣いだ。


「美味しく漬かった?じゃあ焼いていこうか」

我が家の業務用オーブンで一斉に焼いた。


 焼いている間にスープやサラダ、フライドポテトの準備をした。ナ○ドスチキンの付け合わせにフライドポテトは欠かせないのだ。


 いつものようにルイス狼とモニカ狼はオーブンの前から動かない。



 オーブンがチンと鳴った。焼き上がりだ。

ウィルコが手早くお肉をテーブルに運んでくれ、ルイスとモニカも人型になった。


「いただきましょう!」

「焼いている匂いが堪らなかったぞ!」

「僕も焼き上がりが楽しみだった!」


── まずはそのまま… ピリッと辛い唐辛子が効いた酸味のあるスパイシーなソースが染みたチキンが美味しい。


「ソースが染みてて美味しいね」

「酸味と辛味とスパイスって合うのね。1番辛いのが美味しいわ」

「俺はミディアムが気に入った。バーベキュー味とガーリック味もいいな」

「僕はマイルドとレモン&ハーブ」


── みんな気に入ってくれて良かった。ペリペリソースは美味しいよね。このソースをディップして食べるポテトも美味しいんだよね。



今日のご飯も美味しかった。

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