第230話 カレー
「じゃあカレーを作っていくよ!」
シナモン、クローブ、ナツメグ、カルダモン、胡椒、クミン、ベイリーフを粉末にしてガラムマサラを作っていたウィルコが調理を始めた。
ガラムマサラの他に使うスパイスはシャルワル村のカルダモン、トリワル村のターメリック、キリワル村のクミン。
インターネット通販で買った赤唐辛子、コリアンダーシード、シナモン、塩、胡椒、生姜とニンニクだ。
シナモンは国内の南部にも自生していたが、この辺りの地域でも何ヶ所か自生していおり、コリアンダーはもう少し南に行った村にある。美味しいスパイスだと認識してもらえたら栽培してもらえるだろう。
ルイスとモニカを連れてこれ以上南へ行けないから別の商人に任せたい。遠すぎてトーマスさんたちには頼みにくいので、誰に任せるかは今後の課題かな。
ウィルコがもも肉を食べやすい大きさに切る。今日はウィルコが好きなチキンカレーだ。玉ねぎはみじん切り、トマトは湯むきしてざく切り。
大きなダッチオーブンで油を熱して、もも肉を焼き色がつく程度に焼いて皿に取っておく。
ダッチオーブンに玉ねぎ、おろししょうが、おろしニンニクを入れて炒める。スパイス類、トマト、プレーンヨーグルト、塩を加えてさらに炒めたらもも肉を戻して、弱火で煮込む。
モニカの串焼き、ルイスのナンもいい感じに焼き上がってきた。
── 視線を感じる。私たちより先に野営地に来てご飯を済ませていた2人が見てる。カレーの匂いってたまらないよね。
ルイスたちと目を合わせて肯き合う。ご招待決定だ。
モニカが焼き上がった大量の串焼きを簡易テーブルに運んでお茶の準備を始め、ルイスが焼き上がった大量のナンを簡易テーブルに運ぶ。
「カレン」
ルイスに呼ばれたので手を繋いで先に野営を始めていた2人のところへ向かう。
「こんばんは!」
「はい、こんばんは」
「料理上手な匂いをさせてるねえ」
「私たちこれからご飯なんです、一緒にいかがですか?」
「…えっと」
「いいのかい?」
「たくさん作りましたし、我々は家族で行商をしているのですが、この辺りは初めてなので話を聞かせて欲しいのです」
「俺たちで答えられることなら何でも聞いてくれ!」
交渉成立だ。
「そちらに座って、お茶は行き渡っているわね。ナンと串焼きのお皿をどうぞ」
「カレーをどうぞ、今日はチキンカレーだよ」
「ナンと串焼きはテーブルの真ん中に積んであるから、どんどん食ってくれ」
「お代わりする時にチキンカレーを温め直すから言ってね」
「いただきまーす!」
まずは串焼きから。
「モニカの串焼き美味しいね!」
「そう?嬉しいわ」
私の好きな味付けだ。お肉と野菜のバランスも良い。
「ナンとカレーの組み合わせは最高だな」
ルイスがモリモリ食べている。食べるっていうか、ごくごく飲んでるって感じだな。カレーは飲み物って名言を思い出すな。
「これは…」
「美味しいです…すっごく美味しいです!」
マヘンドラさんとシカールさんがチキンカレーに夢中だ。
「ナンをもっと食え」
「カレーのお代わりをどうぞ」
ルイスとウィルコがお代わりを勧めまくる。わんこそば…わんこカレー状態で食べさせ過ぎだよ。
マヘンドラさんとシカールさんが限界まで食べた。…ルイスとウィルコに食べさせられてた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます