第229話 久しぶりの野営
「モッツァレラ・チーズも好評で良かったな!」
「ルイスの一押しはモッツァレラ・チーズよりも副産物のホエーで作ったクリームシチューでしょう?」
「姉ちゃんは鋭いな!」
「もう!紅茶を忘れられちゃうかも知れないじゃない」
「大丈夫だ、紅茶のパウンドケーキも好評だっただろう。それに契約したしな」
「そうよ、ウィルコったら心配し過ぎよ」
元々の目的はお茶だったのに!と、釈然としない表情のウィルコが珍しく拗ねている。
「でもパームシュガーやモッツァレラ・チーズを受け入れてもらえて良かったよね?」
「まあ…そりゃあ発展しそうで嬉しいけどさ」
「ねえ、今日はこの近くで野営しない?最近は結界でご飯が続いていたし」
「いいな!」
「焚き火で肉を焼きたいわ」
ルイスが病み上がりだから野営を控えていたけれど解禁だ。
「せっかくだからシャルワル村やトリワル村、キリワル村で仕入れたスパイスを使ってカレーも作ろうか」
良かった、ウィルコの気分が切り替わった。
「足りないスパイスはインターネット通販で取り寄せるね」
まだカレー粉を完成させるにはスパイスが足りていなかった。
野営地に着いたら私たちより先に着いていた人達が居た。
2人組でマヘンドラさんとシカールさん。挨拶して馬たちの世話をしてから自分たちの食事の準備を始めた。
みんなで相談して今日はシャシリク(羊肉の串焼き)とカレーを作ってナンを焼くことになった。
おろし玉ねぎに漬けて柔らかくしたラム肉に粉末にしたコリアンダーシードとクミンシード、パプリカパウダー、唐辛子、すりおろしニンニク、塩胡椒を揉み込む。
2〜3cm角に切った野菜と交互に串に刺したら焚き火で焼いて出来上がり。野菜は今日は玉ねぎ、ピーマン、赤パプリカだ。
「カレンはこのくらい?」
肉と野菜を串に刺していたモニカが小さめな串を見せてくれた。
「うん、そのくらい。ありがとモニカ」
みんなの分は大きなお肉で大量に。私の分は子供用。
ナンを焼くのはルイスの担当。インド料理店みたいに立派なナンが出来そうだ。
「カレンはこのくらい食べられそうか?」
ルイスが小さく広げた焼く前のナンを見せてくれた。
「うん、そのくらい。ありがとルイス」
「カレンも早く私たちくらい食べられるようになるといいわね」
「そうだな、少食ってのは呪いみたいだな」
子供なら普通だってば。
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