第225話 グラマラッカ
「グラマラッカはGula Melaka。ココナッツの樹液を煮詰めて作るお砂糖だよ」
ウィルコの顔がパアアアアアアと晴れ渡る。
「未精製なお砂糖で白砂糖とは違う黒っぽいお砂糖だけど、黒糖よりも栄養価が高いんだって。地球では煮詰めた樹液を竹筒に入れて作っていたから丸い筒状だったよ。お土産でもらって、そのまま削って食べてみたらシャリシャリしてミネラル!って感じの黒糖っぽい甘さだったよ」
「食べてみたい!」
「マレーシアから出前しようか」
「うん!」
通販アプリを起動してグラマラッカとカヤジャムを購入、出前アプリを起動してチェンドルを取り寄せた。
「これがグラマラッカ。チェンドルは細長い緑色のゼリーを乗せた甘いかき氷だよ。この瓶詰めはカヤジャム。ココナッツミルクで作られたジャムだよ」
「かき氷からいただくね」
緑色のゼリー、小豆、たっぷりのココナッツミルク、グラマラッカのシロップを乗せたかき氷だ。
「見た目がアレね」
「色もちょっとな」
モニカ狼とルイス狼には緑のゼリーが不評だ。食べる?って聞いたら首を振られた。2人はもともと甘いもの好きじゃないもんね。
「この緑色のゼリーがチェンドルなんだよ。このかき氷の本体といってもいいかな」
ルイス狼とモニカ狼の顔がマジか…と歪む。
「ゼリーの色と香りは東南アジアのバニラエッセンスとも呼ばれるパンダンリーフ由来だよ」
「バニラってカルダモンより高価なスパイス?」
「そうだよ」
ルイス狼とモニカ狼がびっくり顔だ。
「美味しい!」
「ウィルコは気に入った?」
「うん、香りがいいね。甘くて美味しいよ」
ウィルコが一息にかき氷を完食した。
「ジャムも試していい?」
「マレーシアっぽく食べてみようか、ちょっと待ってて」
よく焼いた薄切りパンをトーストしてカヤジャムを塗ったらもう一度焼いてカリッとさせる。その上に3mmくらいにスライスした有塩バターを乗せて、もう一枚のトーストで挟む。
「本場では高温の炭火で食パンの両面を焼き色がつくまでしっかり焼くんだって、トーストのカリカリが特徴みたい」
「さあどうぞ」
カヤジャムとバターを挟んだカヤトーストと温泉卵をウィルコに差し出す。
「卵?」
「うん、ここに胡椒を振ってお醤油を1回し垂らして卵を崩しながらトーストをディップして食べるんだよ」
「…本当に?」
「本当だってば!温泉卵が一緒に出てこないレストランもあるけど」
あの素直なウィルコが疑うなんて…。
「……うん。慣れるとクセになるかも?なるかな?」
疑問系なんだ。
「バターが入るからリッチなトーストになるね」
「カヤトースト、温泉卵、コンデンスミルク入りのコピっていう甘いコーヒーの組み合わせで提供するレストランが多いんだって」
「僕は全部別々に食べたいかな。ばらばらに食べると美味しいよ!」
ウィルコは別々に完食した。旅行で食べてハマったという人が意外と多い定番メニューなんだけどな。
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