第224話 しょんぼりウィルコ

「お茶、イマイチな反応だったね」


 結界の定例会議でウィルコがしょんぼりだ。



「お茶は贅沢品だし受け入れられるのに時間がかかるかもね」

「甘かったらもっと受け入れられるのに」

 モニカ狼とルイス狼が心配そうにウィルコの頬を舌で撫でる。


「この辺りにサトウキビは生えていないの?」

「うん、無いんだ。無理に生やすことも考えたんだけど長い目で見ると今の環境を破壊することになるから止めたんだ」


 ウィルコと一緒に、改めてこの世界の地図を眺める。


「もう少し南に行くと熱帯気候区と温帯気候区の境界なんだね」

「マルワル村は標高が高いしギリギリ温帯かな、これ以上南に行くとルイスやモニカが耐えられない気温になるよ」


「ココヤシを栽培出来ないかな?」

「ココヤシ?」

「ココナツのことだよ」


 地球でココナツの自生北限は最寒月の平均気温が18℃のラインだ。


「マルワル村でも栽培出来ないかな?」

「マルワル村でも成長出来るようにすればいいの?」

「出来るの!?」

「ココヤシの成長に適する気温をちょっと変更するくらいなら大丈夫だよ」


「マルワル村の近くの海岸に生えてたらいいな!」

「じゃあ少し広げようか」

 元々ちょっと南に行けば生えているらしく、広げても問題ないとのことだった。


「ココナツをどうするの?」

「グラマラッカだよ!」

「グラマラッカ?」


 ウィルコとモニカ狼とルイス狼が揃って首を傾げた。とても可愛い。

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