第211話 旅を再開
「旅を再開しようぜ!」
元気になったルイス狼が元気よく尻尾を振る。
ミノスさんとスタブロスさんと一緒に野営した夜に結界に戻って休んだ時にルイスが小児インフルエンザに感染したから、戻ったら野営明けの朝だった。
一緒に朝食を食べてお別れした。
「良い旅を!」
ミノスさん、スタブロスさんとお互いに笑顔で挨拶して反対方向へ馬車を走らせる。
「この道をまっすぐ進むんだっけ?」
「そう。でも途中の何もない地域はスキップしようよ」
ウィルコの力でかなりの距離を一瞬で移動した。
「木の生え方…植生も少し変わったね」
「もう少し行くとカバルって村だよ。カバルはまだ国内で地球に例えるとギリシャとブルガリアとトルコをミックスしたような地域なんだよ」
「それは楽しみだね!それにミノスさんたちから仕入れたコモティ村のハチミツがさっそく売れるかもね」
*******
カバル村では順調にハチミツとワインが売れた。コモティ村の話をしたら交易にも前向きだった。特にワインを仕入れたいと村人たちが盛り上がっていた。
「カバル村も豊かな村だったね、気候や地形に恵まれた南部で王都から離れた村は北部よりも安定しているみたい」
「なあに北部はこれからだ」
「僕も同じ考えだよ、きっとアイスクリームが世界を変えるよ!」
「そうね、ウィルコの甜菜糖と牛乳のスイーツが広まったら変わるわよ」
確かにアイスクリームなんかが広まったら北部のミルクと甜菜糖は引っ張りだこだと思う。
カバル村での販売を終えてカッポカッポと馬車を走らせながらこれからの話をしたら希望しか感じられなくてソワソワしてきた。
ウィルコの喜びようが可愛いくてルイスもモニカもご機嫌だ。
「そろそろ国境だよ」
「少し前から空気が乾いてきたね」
「さらに進むとブルサルって拠点があるよ、ブルサルは遊牧民が拠点としてて今の時期は滞在している家族がいるはずだよ」
遊牧民て現実には苦労も多いだろうけど憧れる気持ちもあるよね。アラビアのロレンスって名作映画があったなあ。ちょっと楽しみだな。
「近くに誰もいない時は思いっきり走れそうね!」
「俺も走りたい!駱駝や羊がいそうだし」
「ルイスは無理しないで」
「大丈夫だ、カレンは心配し過ぎだぞ」
ルイスが私を安心させるように頭を撫でてくる。
「ちょっと待って」
ウィルコがモニカとルイスの腕を強く掴んだ。
「走るのはいいけど遊牧民が放牧している家畜を狩るのはダメだからね」
「わ、分かってるわよ」
「そそそ、そうだぜ…」
警告しなかったら狩ってたな…という雰囲気だった。
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