第179話 ウィルコの設定
イルカイト村でメープルシロップの作り方を教えたように、メープルシロップが採取できるシュガーメープル、レッドメープル、ブラックメープルが自生する村をひと回りした。
「全部の村で少しずつ売ってくれたから結構な量になったね」
「メープルシロップのことは王都に戻ってトーマスさんやパーシーさんと相談しよう」
「甜菜のことはどう説明する?」
「甜菜は4月に植付けして収穫は10~11月ごろだから、まだ先になるけど…」
ルイスやモニカの疑問はもっともだ。
「メープルシロップと同じように僕の故郷の村で作っていたことにしようよ。サボルグ村や周辺の村で甜菜の種を押し売りしたのは僕だし」
僕の世界にチョコレートを!って野望に燃えたウィルコがグイグイ押し売りして甜菜の種を買わせ…買ってもらったのだ。
「これまで具体的にしてこなかった僕の故郷の設定を決めちゃおうよ。僕の故郷の村は甜菜糖とメープルシロップの産地だったけど僕が子供の頃に砂糖をめぐる貴族の争いに巻き込まれて多数の死者が出て廃村になったって設定はどう?」
「甘いものに意欲的なウィルコにぴったりじゃないかしら?」
「家族を殺されて村を滅ぼされて彷徨っているところを傭兵だったルイスに拾われたことにしようよ」
「辻褄が合いそうだな!」
「トーマスさんたちがチーズやリネンを買い付けに行っている間に、もっと遠い地域で甜菜を仕込んでメープルシロップを持ち帰ったこととか時間の計算が合わないけど細かいところは僕の強制力でスルーされるように設定しておくね!」
「いいわね!」
「いいんじゃないか!」
全員賛成でウィルコのザルなシナリオが採用された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます