第173話 メープルシロップ
北部で保存食や手荒れに効く軟膏を販売して1月が終わり、南部から持ち帰ったサトウキビ黒糖に加工する方法をパーシーさんに教えてパーシーさんを送り出したら2月が終わりそうだ。
私たちが持ち帰った黒糖はパーシーさんが戻ったら、改めて適正な価格を決めて販路を整理してから一緒に販売する予定だ。
「パーシーさんたちは南部へ、トーマスさんたちは北部へ。俺たちもそろそろ北部か?」
「うん、甜菜とメープルシロップ!」
「メープルシロップ採取のタイミングは3月上旬から4月中旬で甜菜(ビート、または砂糖大根とも呼ばれる)は4月下旬に植付けして収穫は10~11月だったわね」
「まずはメープルシロップだね!」
「メープルシロップが採れるシュガーメープル、レッドメープル、ブラックメープルなんかの糖度の高い品種は北東部のあちこちに自生しているんだ。順番に回ろうよ」
シュガーメープル、レッドメープル、ブラックメープル…これらの樹液を煮詰めて凝縮させたものがメープルシロップ、さらに煮詰めたらメープルシュガーやメープルスプレッドになる。
「ねえカレン、地球のカナダ産のメープルシロップをカナダっぽく食べてみたいな」
ウィルコがキラキラしてる。これは断れないよね!
「じゃあメープルシロップをボトルで取り寄せようか、料理はカナダから出前しよう」
タブレットを起動してインターネット通販のアプリを立ち上げてメープルシロップを検索…どれがいいか分からないので瓶が可愛いやつにしよう。
あとはミックスナッツと美味しいカマンベールチーズ。
出前アプリでカナダからパンケーキを出前。パンケーキにカリカリベーコンとメープルシロップ。
ルイスとモニカから苦情が来そうだからメープルシロップ以外のメニューも出前しよう。カナダっぽい肉料理をポチポチっと。
「まずはメープルシロップね、これはカマンベールのメープルナッツがけ。カマンベールチーズにミックスナッツを散らしてメープルシロップをかけただけなんだけど塩気と甘さが美味しいよ」
「僕、これ好き!」
ウィルコがご満悦だけどルイスとモニカの反応は普通だな。
「次は出前ね」
「パンケーキが良い!」
「まずはパンケーキね」
注文ボタンをタップするとテーブルに人数分のパンケーキが現れた。
「パンケーキにカリカリベーコンとメープルシロップの組み合わせ!ハリウッド映画でも観たことあるよ!」
ウィルコが大興奮だがルイスとモニカの反応は普通だ。
「メープルシロップのメニューってそんなに無いから次はカナダっぽいメニューね。これはモントリオール・スモーク・ミート・サンドウィッチ」
溢れるほどスモーク・ミートを挟んだボリューム満点のサンドウィッチが現れた。テーブルに届いた瞬間、ルイスとモニカの目がカッと見開かれた。
「美味い!」
「肉が8割でパンが2割のバランスね!」
良かった…ルイスとモニカが喜んでくれて。
「次はクラフトディナー」
「マッケンチーズだ!」
そう。カナダの国民食クラフトディナーの正体はウィルコの大好物であるマカロニチーズだ。マカロニチーズの中でもクラフト社が販売しているマカロニチーズがカナダでは大人気なのだ。
「カナダといえばこれ!プーティン」
山盛りのフライドポテトにチーズカードとグレービーソースがたっぷりかかったカナダ人に大人気の高カロリーなジャンクフードが届いた。
「ソースが美味い!」
「お肉料理の付け合わせっぽいわね」
グレービーソースがかかっているのでルイスとモニカも気に入ったようだ。
お腹いっぱいになった3人がやる気になった。明日からの北東部の旅が楽しみだ。
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