第169話 魯肉飯《ルーロウハン》

「肉!」

「ラフテー!」

魯肉飯ルーロウハン!」


 結界に戻るなり狼に戻ったルイスとモニカが肉!肉!と騒ぎ出す。


「2人ともサン・ポル島では我慢してくれてありがとう、豚肉を買うね」

 タブレットで通販アプリを起動して豚肉をポチポチすると結界の居間に大きなダンボールが届いた。



 ダンボールを囲んで尻尾を振り回してはしゃいだルイスとモニカが人型に変化した。


「まずはラフテーよ!」

「大賛成だよ姉ちゃん」

 散々レシピ動画をみていた2人に肉は任せた。

 豚肉をたっぷりの湯で茹でる。流水で肉を洗って灰汁と脂肪を取り除いたら3~4cm角にカット。茹で汁は捨てずにとっておく。


 お鍋に茹で汁と豚肉を入れてひと煮立ちしたら黒糖、泡盛、醤油を入れる。再び煮立ったら落とし蓋をして弱火で煮込む。途中で煮汁が足りなくなったら茹で汁を加える。美味しそうに煮えたら出来上がり。



「ラフテーを煮込んでいる間に魯肉飯ルーロウハンよ」


「じゃあ俺が肉を切るよ」

 ルイスが豚肉を1cm角の大きさにカットする。

「私はゆで卵を作るわ」

モニカがゆで卵を作って殻をむく。


 お鍋にサラダ油を入れて熱し、切った豚肉を入れて焼く。余分な油を拭き取ったら黒糖を加えて馴染んだらお酒と醤油、水を加えて沸騰したらゆで卵を入れ、余分な油や灰汁をとりながら煮る。


「煮込むのは姉ちゃんに任せていいか?」

「こっちは大丈夫よ」

「じゃあ俺が揚げ玉ねぎを作るぜ」


 ルイスが玉ねぎを薄切りにして薄力粉をまぶす。フライパンに油を入れて熱し、玉ねぎを揚げる。薄く色づきはじめたら引き上げて油を切り、煮込んでいる鍋に加える。

 オイスターソースと五香粉を加えてさらに煮込んで完成。



「出来たぞ!」

「ご飯は1升炊いたよ」

「さすがウィルコね」

「分かっているな!」

 モニカとルイスの目が光った。相当食べるつもりのようだ。


 2人が肉を煮込んでいる間にウィルコと一緒に白いご飯を炊いて魯肉飯ルーロウハンに乗せて食べたい刻みネギを用意した。


 副菜は台湾小皿料理店から出前を頼んだ。いろんな種類の野菜をいろいろな味付けで楽しめるので台湾小皿料理店は大好きなタイプのお店だ。

 今日はたまごスープ、大根もち、蛤蜊絲瓜ガーリースーグァー、セロリとイカ炒め、私の大好物の空心菜炒め。干し大根入りの卵焼きの菜脯蛋ツァイボーナン


 さっそくテーブルに移動して温かいご飯を器に盛り、煮玉子と肉を乗せて煮汁をかけて魯肉飯ルーロウハンの出来上がり!


「いただきまーす!」


── 美味しーい!


魯肉飯ルーロウハン美味しいね!」

「うん。僕も好き!これは白米泥棒だね……1升で足りるかな」


 ルイスとモニカをみて不安がるウィルコ。2人からカッ!カッ!カッ!と良い音がする。丼からのレンゲ運びのリズムの良さよ。


「足りなくなったら白いご飯も出前しようよ」

「そうだね、今日は仕方ないよね。ラフテーも美味しそうだよ」

「私も食べる!」

もちろんラフテーも美味しい。


 出前で取り寄せた小皿料理も美味しい。大好きでよく行ってた台湾小皿料理のお店から取り寄せ出来るなんて幸せ。


 菜脯蛋ツァイボーナンは台湾の切り干し大根の塩漬け入り卵焼き。外はサクカリで中はふわふわで美味しいんだよね。中の切り干し大根はコリコリと歯応えがあって食べ応えあるし。


 蛤蜊絲瓜ガーリースーグァーはヘチマとハマグリ。水を加えずに生姜と一緒に蒸してあるからヘチマの水分で蒸されたハマグリの出汁がジューシーで最高。


「どれも美味しいねえ」

「ウィルコも気に入った?」

「うん、ヘチマって美味しいんだねえ」

「それはハマグリの出汁の美味しさかも」

「そうなんだ」


「ルイスとモニカも食べてみて!」

「お肉の合間に食べるとリセットされて、さらにお肉が美味しく感じられるよ」

 ウィルコの言葉に素直に従うルイスとモニカ。


「どれも美味しいわ」

「続けて肉を食べると美味いな!」

肉!副菜、肉!副菜のループに入ったルイスとモニカのために小皿料理を追加する。



 ルイスとモニカが魯肉飯ルーロウハンとラフテーで白いお米を1升たいらげた。食後の腹ポコ狼を遠慮なくモフってやった。

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