第152話 水耕栽培
いったん結界に戻って作戦会議だ。
「みんな元気そうだったし、今年の冬はしっかりと準備をできたと聞いていたけど…」
「そういえば野菜不足だと言っていたわね」
「人間て不便だな」
肉さえあれば良いモニカとルイスの感想は置いておいて…。
「室内で栽培出来る野菜について調べたよ。たっぷりの水が必要だったり、しっかりと根を張る野菜は室内栽培に向かないんだって」
小さなプランターや水耕栽培で出来る野菜をリストアップした。小カブや小松菜、水菜、ほうれん草、ラディッシュ、ネギ、ルッコラなどがいいらしい。
「じゃあ次の村には、これらの種を持っていこうか」
「そうだね、これからもっと北へ行くし。北部に行くほど冬が長いもんね」
ウィルコと私の間で相談がまとまったので、私がインターネット接続で種を購入、届いた種のパッケージをウィルコがこの世界に合わせて変換すると素朴なハンドメイドっぽいパッケージに一瞬で変わった。
「いいじゃない!」
「北部の人間の幸福度が上がるといいな!」
野菜について鈍感だが人間の幸福度には敏感なモニカとルイスもニコニコだ。これで明日からの北部回りも捗る。
「じゃあ私たちもご飯にしようよ」
「今日はどうする?」
「ホットプレートで作りながら食べようよ」
1つめのホットプレートでハンバーグを焼いて、2つめのホットプレートでビビンバ、汁物はポトフに決まった。今日は寒かったから熱々のご飯が食べたかったんだ。
みんなで下ごしらえ。野菜と肉類をカットしてポトフは煮込むだけ。電気鍋を使うから出来上がりまでほったらかしだ。
ルイスとモニカがハンバーグの準備をしてくれているのでウィルコと一緒にビビンバの支度をする。
野菜はにんじん、ほうれん草、もやし。野菜はごま油、おろしにんにく、塩、すりごまで和えておく。
砂糖、しょう油、おろしにんにく、ごま油を揉み込んだ牛肉の薄切りはたっぷり。牛肉の味付けは気持ち濃いめに。炊きたてご飯もたっぷり。
「モニカとルイスも焼くだけ?じゃあテーブルで仕上げながら食べようよ!」
みんなでテーブルに移動してモニカとルイスがホットプレートで大きなハンバーグを焼く。牛肉100%だから中がレアでも大丈夫。
その隣のホットプレートでビビンバを作る。ホットプレートにごま油をひいて炊きたてごはんを平らに広げる。
その上に牛肉と野菜を並べてコチュジャンを乗せて熱して、ご飯が焼けてきたところで、全体を混ぜる。おこげができるくらい火が通るのが好き。
4人なので4箇所に凹みを作って半熟卵を乗せたら完成だ。
「出来たよ!」
「僕はポトフを配るよ」
「こっちもいいぞ」
「1つめはそのまま食べましょう。2つめはチーズを乗せて、3つめは目玉焼きを乗せるわよ」
ルイスとモニカはハンバーグのタネを山盛り作っていた。
「ハンバーグ美味しいね!」
「本当だ!お肉の旨味が凄いね!」
私とウィルコがハンバーグの美味しさに驚く。
「お肉の味を楽しみたくて味付けを控えめにしたのよ」
「焼き方も工夫したからな!」
モニカとルイスが得意そうだ、確かに美味しい。
「ウィルコとカレンが作ったポトフとビビンバも美味しいぞ」
「お肉が入ると野菜が美味しくなるわね、卵もいいわ」
お肉を多めに入れて良かった。
ウィルコと私はハンバーグを控えめにいただいた。チーズや目玉焼きのハンバーグも食べたいから、ここでお腹いっぱいになるわけにはいかないのだ。
「残りは俺と姉ちゃんで食おう」
ホットプレートに残ったハンバーグを二等分にして1つをモニカのお皿に、もう1つを自分のお皿に乗せる。
ルイスがモニカのお皿のハンバーグが2段重ねになった。
「びっくりド○キーの親子バーグディッシュみたいだね」
「カレン、それは何だ?」
「ハンバーグ専門のチェーン店のメニューでね、150gと300gのハンバーグを二段重ねにしてあるんだよ」
「ハンバーグ専門のお店ですって?」
モニカの目が光った。
「あ…」
「カレン、出しなさい」
タブレットにび○くりドンキーのメニュー一覧を表示させた。
「フォンデュ風チーズバーグステーキって美味そうだな!」
「ハンバーグ&コロコロステーキもいいわね!」
「ランチについてくるのは味噌汁なんだな、でも俺たちの今日の飯にはポトフだからな!」
「そうね、私たちご飯の方が上ね!」
ルイスとモニカの機嫌が急上昇した。ポトフを作って良かった。
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