第147話 異世界の新年

 新年の朝はウィルコに起こされた。


「……いまなんじ」

ショボショボの目が開かない…。

「8時だよ!早くないよね?」


 お昼近くまで眠っているつもりだったのに起こされてしまった。横にルイス狼とモニカ狼がいるし抵抗しても無駄だと悟り、起きた。


「あけましておめでとう」

「おはようカレン」

「おめでとう」

「新年おめでとう」


 顔を洗って身支度を整えてリビングに向かい、新年の挨拶ついでにモニカ狼とルイス狼をモフった。


「朝ごはんにしようよ!」

「新年は特別なんだろう?」

「お肉よね?」

 期待に満ちたウィルコとルイス狼とモニカ狼が可愛い。


「うん、注文していたお節料理が届いているから。その前にお雑煮を作ろうよ。新年はお雑煮を食べるんだよ、みんなお餅は何個食べる?」

「お餅って、あの伸びるやつ?」

「よくわからないけど2個!」

「私も2個」

「僕も」


 正体不明なものを2個も食べるのか、なかなかのチャレンジャーだな。鶏肉を多めに入れてあげよう。


 カレンのお雑煮はすまし汁に焼いた角餅の関東風だ。角餅をもち網で両面こんがりと焼き色がつくまで焼いて、ニンジンもお正月っぽく飾り切りで仕上げた。


「これがお雑煮。モニカとルイスの分は小皿に柚子の皮があるでしょう?もし嫌じゃなかったらお雑煮に入れてね」

「けっこう強い匂いね」

「嫌いじゃないぞ」

 それは良かった。ミントは刺激が強すぎて2人に大ダメージだったから別盛りにしてみたけど気に入ってくれたみたい。



「お正月はお雑煮とお節料理を食べるんだよみんなには肉料理専門店の肉のお節を買ったよ」

3人の前に重箱を出す。


「開けてみて!」

3人がパカっとフタを開けるとローストビーフの他にハンバーグ、ヒレステーキ、イチボステーキ、特上カルビなど、肉づくしだった。


「…なんて美味しそうなの!」

「いろんな肉の詰め合わせじゃないか!」

「朝から豪華だねえ」

 モニカとルイスが感動で震えている。ウィルコもニコニコだ。


「お正月だから!おめでたいし!」


 この1年、一緒に頑張ったみんなの喜ぶ顔を見ることができて私も嬉しい。私用に注文した海鮮お節も美味しいし大満足のお正月だ。



── 今年も一緒に頑張ろうね。

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