第124話 選挙まで半月

 食後のお茶をいただきながら半月後に迫った選挙の話になった。


「もう準備は出来ていますから、投票日が早まっても対応可能なくらいですよ」

「国民も投票に向けて気が済むまで議論してだいたい気持ちが固まったみたい」


シモンさんとウィルコの間で連携もバッチリだ。


「年明けから新政権か?」

「うん」

「犯罪奴隷たちに建設させている新しい都市で行政と政治と商業を再スタートさせるのよね?」

「うん」


 犯罪奴隷たちに建設してもらっている都市の完成度は60〜70パーセントくらいだけど、どれも充分使えるので問題ない。残りの部分は使いながら建設を続けるし、必要に応じて拡張して行く。


 年明け以降、新しい都市の建設は刑期を終えた人たちが請け負うことになっている。

最後までやり遂げたいとか、完成に立ち合いたいという理由で出所後も建設を続けたい人が多かった。


 もともと罪の重い受刑者には鉱山や農場など建設以外の労働を割り当てていたので問題ない。都市の建設が終わったら街道整備をする予定なんだけど、早くも立候補してる人達がいて頼もしい。

 引き続き建設の仕事をしたい理由はホワイトな職場だからって理由が多い。天気が悪い日は屋外労働なし、休憩も充分あって福利厚生もばっちりで固定給を補償されてて有給もある。

 犯罪組織で嫌な仕事をさせられてた人たちからすると天国に感じるみたいだ。



「すべてが予定通りのようですね」

「うん」

「では投票日の前日に集合しましょう」

「前日に投票所を設置するんだよね」

「はい、翌日は朝7時から投票開始。17時には終了して開票です」

「開票はシモンさんとウィルコが自動でやってくれるんだよね」

「ええ早送りで開票します。各投票所のスクリーンに開票状況を投影して18時には結果が出ますよ」


全員ですべての手順を確認した。問題なく投票日を迎えられるだろう。



「見てくれシモン、テラ」

「カレンが注文したのよ」

 振り返るとルイス狼とモニカ狼が、2頭にそっくりなぬいぐるみを咥えていた。


「カレンは俺たちのことが好きだからな」

「私たちにそっくりな、ぬいぐるみを抱いて眠るカレンは可愛いのよ」


「そっくりねえ!地球にオーダーしたの?」

「カレンが俺たちの写真を撮りまくっていたぞ」

 ルイス狼とモニカ狼が誇らしげに胸を反らす。テラ様も地球の技術が誇らしそうだ。


「…カレンさんにも可愛いらしいところがあるんですねえ」

 シモンさんがニヤニヤしてる…ムカつく…選挙前でシモンさんの力を借りたいタイミングでさえなければシモンさんをブン殴ってやりたい…。


 真っ赤になって俯くカレンがプルプルと震えていると、カレンを可愛く思うルイス狼とモニカ狼の感情が限界突破し、ルイス狼がカレンの襟を咥えて持ち上げた。

「ちょ!ルイス!」

抵抗出来ないままモニカ狼のお腹に乗せられた。

「モニカ?」


べろん!


ルイス狼とモニカ狼に爆舐めされてスリスリされた。

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