第122話 追加注文

 チョリソーを(大量に)食べられなかったルイスとモニカが目に見えて落ち込んでいる。夜になって結界に戻るや、狼化して悲しそうに丸くなってしまった。


「お土産に包んでくれたから明日も食べられるよ」

 ウィルコがチョリソーの包みをルイスとモニカに見せるが2頭の元気は戻らない。


「クッべは美味しかったけど…」

「腹いっぱい気が済むまで食ったけど…」

お腹いっぱい食べた自覚はあるんじゃん。


「チョリソーは別腹なのよ…」

「本当ならもっと食えたんだ…」

 チョリソーを(気が済むまで)食べられなかったと嘆くルイス狼とモニカ狼。


「お土産のチョリソーを明日お腹いっぱい食べようよ」

「…その量じゃ無理よ」

「俺と姉ちゃんで一口ひとくちだ」

 お腹いっぱいにならない量だと主張するルイス狼とモニカ狼がプイってした。

…ワガママ狼が可愛いな。


 仕方ない、地球のチョリソーをインターネット通販で取り寄せるか…。


「…それは……だから………カレン、僕は忠告したからね?」

──ウィルコが何か言ってるな…。あ!これも美味しそう。お気に入りに追加っと。

「僕はお風呂を沸かしてくるよ」


 タブレットをポチポチしてチョリソーを検索、ユーザーレビューを確認して評判の良いものをお気に入りに入れる。ある程度お気に入りに入れたら、そこからさらに選別。選ばれたチョリソーたちを注文した。


ドサッ!


 大きな荷物が現れた音で丸まっていたルイス狼とモニカ狼が起き上がった。

 カレンが段ボールをメリメリ開けると真空パックのチョリソーが山ほど出てきた。


「明日は地球のチョリソーも食べようよ、これ全部チョリソーね」


「カレン!」

「カ、カレン…」


どすどすどす…

 素早く起き上がったルイス狼とモニカ狼がカレンに迫る。


どす!

どす!

ルイス狼とモニカ狼が前脚でカレンのお腹を踏んだ。


「ちょ!ダメ!っぷ…」

逃げられない状態で爆舐めされた。



「だから言ったじゃない、…お風呂は沸いてるよ」

「……入ってくる」


お風呂に向かうカレンの背後でルイス狼とモニカ狼が尻尾をぶん回しながら段ボールの中をのぞいていた。

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