第105話 モニカとお揃い

 明日は亜麻が特産のトラカイ村を再訪する。

ヨナスさんが作る個性的なリネンを私が気に入って、何着かモニカとお揃いでお仕立てして貰った服はどれも素敵で、再訪を楽しみにしていたのだ。


「モニカ、明日はワインレッド色の服にしてね!」

 お風呂からあがって髪も乾かしてから、もう一度リビングに来てモニカに念を押した。


「はいはい、カレンとお揃いにするのよね」

「うん、あの色は特にモニカに似合うからヨナスさんが喜ぶよ!」

「忘れていないから大丈夫よ」

「うん。じゃあ、おやすみなさいモニカ」

モニカ狼をギュッとした。

 ついでにウィルコにも寝る前の挨拶をして、ルイス狼もギュッとしてやった。寝前のモフモフ最高。



── カレンったら子狼みたいで可愛いわね


── 生前に愛犬のマロンちゃんとお揃いはしたことないけどモニカとお揃いは嬉しいな。私はワンコにお洋服って反対だったんだよね。マロンちゃんも服を着せられるのを嫌うタイプだったし。モニカ狼じゃなくて人型のモニカとお揃いだけど。


 お互いにお互いをペット感覚なモニカとカレンだった。



 次の日、トラカイ村に着いたら門番はユルギスさんとマルクさんだった。前回の訪問時に門番として出会った2人だ。

 私たちが野営していた広場に鍋持参で訪ねて来てくれてトラカイ村の伝統的な茹でザリガニを食べさせてくれたんだよね、美味しかったな。


「久しぶりだな!」

「あれから王都の商人が来たぞ」


 ダッチオーブンやチーズのお披露目販売でもお世話になったトーマスさんが来たんだ!モニカと私がお揃いの服を着ているのに目をつけて、すぐに仕入れに旅立っていたもんね。


「トーマスなら知り合いだ」

「この村のリネンについて教えたわ」


「そうそうトーマスさん!あちこちのリネン農家で仕入れていたぞ。おかげで資金が潤沢で村全体で冬支度が捗っている」

「その服、ヨナスのだろう?」


 ヨナスさんのリネンは強い色で個性的だから分かりやすいよね。

「この色、モニカに似合うよね!」


 美人でスタイル抜群なモニカが着ているのを見た王都の人たちがヨナスさんのリネンを欲しがったんだよね。スーパーモデルというか…誰もがモニカのように着こなせる訳じゃ無いけど憧れる気持ちは分かる。自分で着てみて、『あれ?ちょっと違う?なんで?』ってなるところまで想像できる。


 私も早く大人に戻りたいよ。ムチムチの手足に寸胴なお腹…自分の子供体型を見下ろすとため息が出る。モニカにくっついているとマスコットみたいだ。


「商人のトーマスさんが大人用と子供服のために…って言っていたらしいが分かるな」

「可愛いぞ。迷子の防止にもいいな」


 門番のユルギスさんとマルクさんに頭を撫でられた。やっぱりマスコット扱いだ。っていうか迷子って言ったな、中身は大人なんだから!

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