第101話 冬が来る前に
ルイスとモニカが元気になるまで結界で充電、4人でたくさんお肉を食べたよ。シモンさんとテラ様を招待した焼肉パーティーも楽しかった。
気力と体力を回復した私たちはドライフルーツを持って北部に向かっている。北部はすっかり秋めいており、空気も景色も素晴らしい馬車の旅だ。
「今日はここで野営しよう」
御者を務めていたルイスが馬車を停めた。いつものように馬たちの世話をしてから自分たちのご飯。
「日が落ちると涼しいね」
「風も出てきたわね、今日は温かいものにしましょう」
「うん!」
ルイスとモニカが煮込みハンバーグとロールキャベツを作ってくれた。メインが2つとは予想外だったけど2人が元気になって嬉しい。ロールキャベツはクリーム煮でハンバーグはトマソースで煮込んである。
「味付けを変えて正解ね!」
「交互に食べると、いつもより多く食べられるな!」
いつも通りのルイスとモニカで嬉しい。
「ウィルコの炒めものも美味しいね」
「そう?ありがとうカレン」
ウィルコがインゲンとアスパラを塩胡椒で炒めてくれた。一緒に炒めた桜エビの香りがいい、シンプルで美味しい。
「また作ってね」
「ねえ半径50km以内に誰もいないよ」
食後、焚き火を囲んでいたらウィルコのサーチに人がヒットしないという。
「じゃあ戻るぞ」
ルイスとモニカがボフン!と狼化した。相変わらずモフモフだし、なんだったら冬毛が伸びてきてフワフワが増している気がする。
2人の毛皮に見惚れていたらルイスが私の襟を後ろから咥えて持ち上げ、自分の腹に落とした。
「ずるいわよルイスったら」
「姉ちゃんは明日な!」
「仕方ないわね」
お気に入りのぬいぐるみを取り合う犬の姉弟のような争いが始まったと思ったらルイス狼が私をペロペロしたり、鼻先で突いたり、フワフワの頬毛でスリスリしたりする。
「ちょっとルイス…」
小さな子供の手で大きなルイス狼の顔を突っ張るが叶わない。私の抵抗をものともせずにペロペロして、鼻先で突ついて、フワフワの頬毛でスリスリしてくる。
── 生前、愛犬のマロンちゃん(豆柴)を抱きしめてスリスリすると、最初は喜んでくれるけど途中から抵抗されて、それでも止めないと諦めのクソデカため息を吐かれたものだ。
嫌がっても離さなくてごめんよマロンちゃん…。嫌そうな鼻息まで可愛いとかバカな飼い主でごめん、いま反省してる。
モニカが助けてくれないかな…と思ったら、可愛い弟が小さな生き物を可愛がっていて微笑ましいわ…って表情でルイスと私を見ていた。時々ルイスの顔をペロってしてるし。
モニカとルイスって仲良し姉弟なんだよね…ルイスも姉ちゃん大好きだし。モニカもルイスのお願いは絶対に断らないし。
ルイスの言葉通り、翌日はモニカ狼にペロペロされて、鼻先で突つかれて、フワフワの頬毛でスリスリされた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます