第95話 出前解禁
うふふ、出前ですよ!
諦めていたローカルグルメとか、いろいろな物を取り寄せ出来ちゃうよ!
世界的チェーンのフライドチキンは確定で、あとはどうしよう。名古屋飯の台湾ラーメンも食べたかったんだよね。ラーメンなら味噌やトンコツ、家系もいいな…全部は無理だし…。
出前といえばお寿司とかお蕎麦もいいよね。鰻も食べたいなあ…。
昨日からずっと悩んでいる。シモンさんから渡されているスマホやタブレット、PCには新しく出前のアイコンが増えていた。アイコンをタップして検索画面。
・ジャンルから検索しますか?
・エリアから検索しますか?
ジャンルでファストフードを選択、フライドチキンチェーンを選択、メニューを開く。
オリジナルチキン8ピースパック(4名様向け)を人数分の出前は確定だな。ルイスとモニカとシモンさんとテラ様、ウィルコで5つ。私はウィルコのバケツから1つ分けて貰おう。オリジナルチキンが8ピースとサイドメニューが4つ入ったセット。
問題は麺だよね。麺は確定なんだ。私の胃が麺を受け止めるつもりになってるから。ラーメン…いや、大好きだったお蕎麦屋さん…いやいや白いカレーうどん…。
・ジャンルから検索しますか?
・エリアから検索しますか?
エリアを選択、世界地図から日本を選択して、さらに名古屋を選択して…ここからジャンル選択に切り替わるのか。ご当地グルメってジャンルがあった、もちろん選ぶよ。
スガ○ヤ、世界の山○ゃん、あんかけスパゲッティ、味噌カツ、味噌煮込みうどん、きしめん、ひつまぶし、台湾まぜそば、台湾ラーメン、ベトコンラーメン、天むす、大きなエビフライ…… 台湾ラーメン。
やっぱり台湾ラーメンだな。ベトコンラーメンはやめておこう。美味しいけどニンニクがすごいから食べた後2〜3日は匂うんだよね。私たちは結界に篭ればいいけどシモンさんとテラ様が困るよね。
台湾ラーメンを食べたかったんだ… 台湾ラーメンの具を流用した汁なしの台湾まぜそばも好きだけど猛烈に食べたいのは台湾ラーメンだ。でもみんなにはトンコツや塩、家系も取り寄せよう。
昼になり、シモンさんとテラ様が来た。
「いらっしゃい、待ってたよ!」
早く食べたかったんだよね。
「じゃあ出前を頼むね、まずはフライドチキン」
オリジナルチキン8ピースパック(4名様向け)が5セット届いた。
「1人1セットね、ウィルコのバケツから1つ私に分けてね」
「うん」
「あとはラーメン!私は台湾ラーメンが食べたいんだけど、トンコツとか塩とかいろいろ頼むから小皿に取って自由に食べよう。足りなくなったら追加で頼むね。一度に頼むと伸びちゃうから」
定番から流行りのタイプまで様々なラーメンがテーブルに並んだ。
「取り皿も行き渡った?じゃあいただきまーす」
ウィルコが私のお皿にチキンを乗せてくれた。
「ありがと」
でも最初は台湾ラーメンだ。取り皿にとって…ずぞぞぞぞー。
「美味しい…」
豚挽き肉とニラ、ネギ、モヤシを辛く味付けした具を醤油ラーメンに乗せた台湾ラーメンは名古屋発祥だ。名古屋で台湾料理店を営んでいた台湾出身の店主が生み出した、賄いから始まったメニューなんだって。
「このフライドチキンはどうやって味付けしているんだ?」
「それは企業秘密だから誰にも分からないの、だから再現出来なくて。でもずっと食べたかったんだ」
「分かるわ、この味を知ってしまったら、食べる前には戻れないわね」
「ラーメンも美味しいですね、これはスープを味わう料理ですね」
「シモンったら、麺と一緒に食べるから美味しいのよ。お店ごとに縮れ麺とか太麺とか違うの、小麦の配合やゆで加減もこだわりがあるんだから」
先日作った自家製チャーシューを大皿で出した。
「良かったらチャーシュー麺にしてね。ラーメンを追加で注文する?」
「カレンは良い子ね」
モニカとルイスが自分の取り皿にチャーシューを追加する。
「ラーメンは違うお店のものを取りましょう。醤油でいろいろ比べてみれば分かるわ」
テラ様が選んでくれたラーメンの出前を頼んだ。
「喜多方ラーメン、佐野ラーメン、高山ラーメン、尾道ラーメンよ。頼みすぎても伸びてしまうから、ほんの一部よ。この他にも種類がたくさんあるの」
みんなで試食した。
「確かにどれも見た目は似ているが味わいは違いますね」
シモンさんが感心しているとテラ様が嬉しそうだ。
「全部の、美味しいよ」
ウィルコも気に入ったみたい。
「どれも美味いが俺はトンコツが1番だな」
「私は家系や辛いのが好きよ」
「今度、全国のチャーシュー麺を出前して食べ比べしようね、ルイスとモニカは好きだと思うよ」
「私も呼んでください」
「私もよ」
シモンさんとテラ様も来てくれるって。
「カレンは台湾ラーメンが1番好きなの?」
「1番ていうと悩ましいな…こうジャンクでクセになるんだよね。時々無性に食べたくなるの」
「分かるわ」
「ベトコンラーメンも食べたかったんだけど今回はやめたんだ」
「カレンちゃん?」
「カレンさん?」
シモンさんとテラ様がなぜだ?と問いかけてくる。
「ニンニクがすごいから…2〜3日匂うの。私たちはここに篭ればいいけどシモンさんとテラ様が困ると思って…」
「構いません」
シモンさんが眼鏡をクイっとした。
「ええ、出前を取りましょう。5人前ね。カレンちゃんとウィルコは2人でシェアするといいわ」
一人前を完食する気ですか。匂ってもいいんですね?そうですか、分かりました。
「これがカレンさんお気に入りの…」
「食欲をそそるわ」
低温の油で揚げたホクホクのニンニクが1杯に10カケ近く入っていますよー?ニンニクを揚げた油でモヤシとニラ、豚肉を炒めているんですよー。野菜もニンニクが匂いますからねー!
これらの具をウマ辛く味付けして醤油ラーメンに乗せたらベトコンラーメンだ。疲労回復や風邪のひき始めに効果があるからベストコンディションでベトコンラーメンて聞いたことがある。ベスコンじゃないのかって思ったな。
ウィルコとシェアして…ずぞぞぞぞー。
── 美味しい…。食べたかったから嬉しい。
「パンチが効いてて美味いな」
「肉は少ないけど食べ応えがあるわね」
ルイスとモニカは具に肉が少ないと気づいた。
「でも美味しいよ。僕も好きだな」
ウィルコが上品にすすっている。
「ずぞぞぞぞー!」
「ずぞぞぞぞー!」
シモンさんとテラ様は無言ですすって汁まで飲み干した。
「美味しいですね」
「明日は有給にするわ」
シモンさんとテラ様の味覚って似てるよね。また食べに来ると言ってシモンさんとテラ様が帰って行った。帰り際に気休めだけどミントガムをボトルで渡した。
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