第94話 カレンの達成率

 お腹いっぱいカレーを食べて満足したタイミングでシモンさんが切り出した。


「カレンさんの達成率ですが、食糧の長期保存方法の普及…干したりオイル漬けにしたり瓶詰め、燻製などですね、それでこれまで廃棄されていた食品を救ったこと。

 これまで食糧とみなされなかった乳製品の普及。小麦やジャガイモの寒さに強い品種の普及などで食糧自給率を急激にアップさせましたね。北部地域にヒヨコを運んだことも評価対象です。

 元々の食糧自給率が30%で現在は94%にアップしましたよ」


「今年の冬は安心てこと?」

「未来のことは分かりませんが、去年の冬ほどひもじく侘しい思いをする国民はいないでしょうね」

 それを聞いたウィルコがポロポロと涙をこぼす。

「良かったね!」

 嬉しくて後ろからウィルコの背中に飛びついた。


「治安指数は12%から92%に。倫理観の指数は18%から56%にアップ。前回よりも大幅にアップしているのは選挙に向けて神託を出しながら、国民に自ら考えるよう促していることが大きいでしょう。倫理観や治安などあらゆる面で良い影響が見られます」

 これは嬉しいな、選挙に向けて頑張るモチベーションになるよ。


「教会で義務教育を施す取り組みで、教育指数が42%から55%にアップしましたが、これは前回と変わらず。まだまだ地方には行き渡っていませんので今後の課題ですね」

 確かにここはまだ手を入れられていない。


「合計で115%、100%を超えましたよ。今すぐに転生を選ぶことも出来ます」



 ウィルコとルイス狼とモニカ狼が不安そうに私を見ている。


「まだまだ、これからだよ?」

「現時点では転生をしないで、さらにポイントを貯めると言うことですね?」

「うん。まだ始まったばかりだもん」

「…カレンさんが納得するまでやり切ったら神にもなれるかもしれませんね」


── それはヤダ。なんか宗教っぽいのは遠慮したい。ウィルコ教とかウィルコを知ってるだけに…なんか……アレだし…。


 遠い目をしていたら喜んだルイス狼とモニカ狼に確保されてペロペロされた。



「ほら、機嫌を直して」


 ルイス狼とモニカ狼にペロペロされすぎて仏頂面の私をウィルコがタオルで拭いてくれる。お風呂に直行したかったがテラ様が話があると言うので拭いてもらっている。


 ルイス狼とモニカ狼はニコニコ顔で尻尾を振っており、私が不機嫌な理由は気にしていないようだ。ルイス狼とモニカ狼に前脚でお腹を踏みつけられて逃げられない状態で爆舐めされて不機嫌なのだ。


「カレンちゃん」

「なあにテラ様」

「ここまで立て直したカレンちゃんに何かご褒美をあげたいわ。欲しいものはある?」


 欲しいもの……ほとんどの物や情報はインターネットで手に入るし…ネット通販でも手に入らないものなんて…………あった。あったわ。


「何でもいいの?」

「ええ。もちろんよ」

「私が食べたい時に、いつでも出前を取りたい!」


「出前?」

「うん。通販されていないもので食べたくても食べられなくて苦しいものが、結構あってね。まだしばらくはこの世界で立て直しでしょう?そんな時に出前したいの!」

「…いいんじゃないですか。許可は下りましたよ」

「シモンさんの上司?」

「はい。テラが良ければOKだと」

「私も構わないわ。でもいいの?他にも何かあるんじゃない?」

「地球の出前が良い!」

「カレンちゃんが良いなら…」

「やった!ありがとうテラ様!」


「じゃあ明日も同じ時間に集合でいいですか?」

「そうね、カレンちゃんがそこまで食べたいと思ったものが気になるわ」



明日も集まることになってた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る