第86話 ピーテル村のキャビア
お酒を飲めない子供な身体でキャビアを美味しく食べる方法を朝からずっと検索している。
── 飲みたい…。どれもお酒に合うレシピばっかりだよ!
リッツ・パーティーとかロシアの小さなパンケーキに乗せたり前菜の上にちょっと乗ってるくらいしか食べ方を知らなかったので調べてみたが、やっぱりお酒と一緒にちびちび食べるのが普通らしい。キャビアをちびちび味わいつつお酒を飲むんだよね、それは幸せな時間だよ。
シャンパンを諦めてお昼にキャビアを食べることにした。ルイスとモニカには作り置きのビーフストロガノフとペリメニとピロシキを出してあるのでクレームは無い。
せっかく産卵シーズンに産地でゲットしたフレッシュなキャビアなんだから、最初の一口はスプーンに乗せたキャビアにレモン果汁を少しだけ垂らしていただいた。
…プチプチとした食感が楽しい。塩漬けじゃなくてフレッシュだから魚卵本来の味がする。新鮮だから生臭さは全然しない、濃厚な魚卵が美味しい…。
「濃厚で美味しいね。魚卵っぽさが少ないけど、ちゃんと磯の香りはする。こんな味なんだ」
ウィルコがキャビアに驚いている。
「私もフレッシュなのは初めて食べたよ。塩漬けじゃないキャビアは美味しいね」
「俺はよく分からないな」
「私たちはお肉のほうがいいわ、2人で食べなさい」
ルイスとモニカがキャビアを放棄して肉メニューを食べる。ビーフストロガノフを大盛りにして、これが幸せなんだって表情がいいね。
「こっちは前菜?」
「これは帆立のカルパッチョのキャビア乗せ、こっちはクラッカーにクリームチーズを塗ってキャビアを乗せたもの。これはデビルドエッグのキャビア乗せ」
デビルドエッグはゆで卵を半分にカットして取り出した黄身をマヨネーズとマスタードと塩胡椒と混ぜてクリーム状にしてから白身に詰めなおした前菜だ。
「合うね!」
「うん。美味しいね」
どれも食べたことのある組み合わせだけどフレッシュなのでキャビアの美味しさが際立つ。
「これは地球のロシアでポピュラーな食べ方ね。このブリニっていうロシアの蕎麦粉入りパンケーキにサワークリームを乗せて、キャビアと刻んだ玉ネギを混ぜたものを乗せて食べるんだよ!」
── 合う!やっぱり美味しい。
「これも美味しいね!」
「合うよねー!」
初めて見たときは食べ方に迷ったけど、食べてみたら美味しい組み合わせでびっくりしたものだよ。
「これはマッシュポテト?」
「うん、マッシュポテトにキャビアを乗せた組み合わせを食べたことがあったから再現してみたんだ」
これもウィルコに好評だった。さらにポーチドエッグとかを乗せてもいいかも。半熟の卵とキャビアは合うから。
── 子供で良かった…ちびちび食べてキャビアでお腹いっぱいになっちゃった。
ルイスとモニカは肉メニューで満足そうだしウィルコはキャビアも肉メニューもバランス良く食べている。今日のお昼ご飯は大成功だ。
「良かったわね」
「そんなに喜ぶなら何度でも買いに行こう」
肉メニューで腹ポコになったルイス狼とモニカ狼が今日も私を甘やかす。嬉しいのでモフモフしてやった。
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