第71話 冷燻で長期保存

 昨日は鍛治組合、今日は広場でデモンストレーションと販売。村長さんや門番の人たちが宣伝してくれたみたいで大勢集まってくれた。


 近隣の村で買い付けたチーズと長期保存可能なベーコンを中心に販売しつつベーコンや瓶詰めを作ってみせた。

 ダッチオーブンで焼いたベーコンに炙ったチーズをかけた試食を配りながらチーズを販売したら予想を上回る売上になったし、生産している村についても教えたので村同士の交易が始まるといいな。


 ウィルコはベーコン作りを教えている。塩漬けにするところから希望者と一緒に実践していたが塩漬け期間が必要なので、そこはスキップして、あらかじめ用意した肉を使って次のステップに進んでいる。

 冷燻を始めると後は見守る以外することが無いので瓶詰めも教えた。瓶の煮沸やケチャップの瓶詰めの脱気にオイル漬け。

 オイル漬けは食材が空気に触れないので酸化を防止できるし、油の中では微生物が繁殖できないため長期保存が可能になる。ニンニクやハーブと一緒に漬け込むとオイルも食材も美味しくなるしね。


 デモ販売で使ったダッチオーブンやトングを欲しがる人達がいたので少しだけ販売した。在庫が不測しているのでユライさんに作ってもらっていると伝えたので買えなかった人たちはユライさんから直接購入して経済を回して欲しい。村の商人は行商で近隣の村にも広めてね。


 瓶詰めの保存食作りのデモンストレーションが終わっても冷燻は終わらない。長期間の保存が可能な燻製は数日かけて冷燻にするので最後まで付き合ってくれる村人がいるといいんだけど…と思っていたら意外といた。

 夜は村の男性陣が代わる代わる付き合ってくれることになった。熱心だなと思ったら過去に狩った獲物を無駄にすることが度々あったし、冬の間の食糧不足に悩んできたんだって。

 ウィルコが覚醒して本当に良かった…。ウィルコにも夜の当番を任せることが出来る。


 なので今日は広場で村人たちと一緒に晩ご飯。ベーコン作りで出たガラで丁寧に出汁を取るところから始めてクリームシチューを作った。試食では小さくカットして振る舞ったラクレットもやった。大きなローストビーフを仕込んで炙ったチーズをトロリとかけたら、どちらも村人に好評だったし出汁の取り方は覚えたので灰汁取りは今度から家でもやるって。


 今夜はルイスが冷燻当番をしてくれることになった。当番というか…付き合ってくれる村人たちと一緒にチーズをスモークして蒸留酒を飲むって張り切ってる…。デモ販売で人気だった枝豆も茹でるって。


 そんなの私もやりたい! 早く大人に戻らなきゃ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る