第67話 トングと洗濯バサミとハンガー

「トング?」

「うん。ベーコン作りで炭を扱った大きいのと肉を扱った中くらいのサイズの2種類」


 ルイスとモニカが満足するまでベーコンを味わい、この世界に伝えられるベーコンのレシピをウィルコがまとめ終わった頃に提案した。


「夏の間に北部の鉱山と鍛治の街にトング作りを広めたいんだ。あと繊維の産地でハンギングドライネットを作ってもらいたい」

「ハンギングドライネット?」


 ハンギングは吊るす… 高いところからぶら下げて使えること。

 ドライネットは食材を干す時に使う2段か3段か4段になった網って表現で伝わるかな?現代の地球だとファスナーで開け閉めするけど、この世界では、この世界の技術で出来る範囲で工夫して欲しい。一段ずつ開けられるタイプも便利でいいよね。

 インターネット通販で買ったハンギングドライネットを何種類か取り出してみせる。


「旅の野営ではお皿を干せば拭く手間が無いし、家庭では干し野菜や魚の干物も作れるよ。畳めば小さくなるから使わない時も邪魔にならないし」

「保存食を広めたいからいいね!」

ウィルコは大賛成してくれた。

「一度買ったら、買い替えのタイミングが無いけど一つの産業として広めるのもいいかなって」


 この世界にトングは無かった。炭を扱う時は火かき棒が使われているし、肉の塊を調理する時は大きな二股フォークを使っている。

 トングはほかの食材を扱う時にも便利に使えるから流行ると思う。ハンギングドライネットは保存食作りで一年中使って欲しい。


「これは国の北部で広めたいんだ。洗濯バサミとS字フックとハンガー作り」

 小さなものから大きなものまで、いろいろな種類の洗濯バサミを取り出してみせる。そしてS字フックは地味に便利だ。


「洗濯ものを干すのはもちろん、いろんな物を吊り下げる時にも使えるから便利に使えると思う」

「いいんじゃないかしら」

「じゃあ北部を西から回るか」


次の行き先が決まった。

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