第24話 狼たちの好物

「マリアさん、何を作るの?」


 鍛治師たちに依頼した100セットすべてが出来上がるのは当分先だ。取り急ぎ2週間でできた分だけ引き取る事になっている。


2週間、暇だ。

 モニカとルイスをお供に村を見て回ったが鍛治や鉱山以外の特産は無かった。

 今日は宿でマリアさんに纏わりついている。ちょうどマリアさんが大量のヒヨコマメを水に浸けていた。


「コシードっていう、ヒヨコマメとソーセージの煮込み料理を作る準備よ。牛肉、ハム、塩漬けの豚肉、何種類かのソーセージ、鶏肉、ヒヨコマメ、ジャガイモ、キャベツ、ニンジン、タマネギ、ニンニクで作るの。このヒヨコマメは明日煮込む分の準備ね。今から水に浸すのよ」

── それは肉肉しくてうちの狼たちが好きそうですね。


「カレンちゃんたちが譲ってくれたダッチオーブンで作ると美味しく出来るからお客さんからリクエストが多くて毎日たくさん仕込んでいるのよ」

「作り方は難しいの?」

「切った材料を煮込むだけで美味しくなるのよ」

「ルイスたちが好きそう!」


「俺たちが何だって?」

ひょいっとルイスに抱き上げられた。

「ルイス!」

「マリアさんのお仕事を邪魔しちゃダメよ」

モニカまで…子供扱いは心外である。


「良かったらお昼はうちで食べていっておくれ。鍋のお礼をしたかったんだよ」

「そんなに優しいこと言ったらルイスとモニカだけで全部食べちゃうよ」

「コシードはこってりしてるから鍋ごと全部は無理だよカレンちゃん。この豆とソーセージの煮込み料理はこの村の名物なんだけどね、牛肉、ハム、塩漬けの豚肉、何種類かのソーセージ、鶏肉、ヒヨコマメ、ジャガイモ、キャベツ、ニンジン、タマネギ、ニンニクを煮込んだ料理なんだよ」

「それは鍋ごと食えるな」

「いくらでも入るわね」

ほらね。


「美味かった…」

「いろいろな肉の旨味が混ざって最高ね」

「口に合って良かったよ」

2人で大きな鍋1つ分は食べてた…最初は2人の食欲に驚いてたマリアさんが喜んでる。


 残りの滞在期間、ルイスとモニカは村の食堂や居酒屋でコシードの食べ歩きをしてた。家庭ごとにレシピがあるとかで毎日でも飽きないって。マリアさんに作り方を習ってからは自分たちで結界で作ったりもしてた。

 野菜少なめ肉マシマシで。


 私とウィルコはマリアさんに、あっさりしたご飯を作ってもらったり鍛治組合でご飯を食べさせてもらったりしてた。鍛治師たちの奥さんは料理上手だったよ。


 サンタンデールに不満だったルイスとモニカにとってクエンカの滞在は楽しかったようだ。

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