第18話 講習会

 翌日から商業組合のキッチンでケチャップ作りの講習会だ。リカルドさんも講師として参加してくれてる。街の名物にするって商業組合のみなさんも張り切ってる。


 ウィルコもケチャップ作りをマスターしたので講師として参加している。私だけが暇だ。

 子供の姿で1人で街をブラブラする事は許されなかったので私だけ結界に戻っている。現地の子供と遊んで来いって言い出されたらたまったもんじゃない、中身は40代なんだから。


 ビンの洗浄と煮沸消毒、脱気については昨日一緒にやって教えたから任せて大丈夫。

 ちなみに脱気のやり方は、ケチャップを詰めたビンを熱湯で煮てビンの内圧を上げる。充分に高温になったら鍋から取り出したビンのフタを緩めるとシュッと空気が逃げるので急いでフタを閉める。熱いので両手に鍋つかみをはめてね。

 ギュッとフタを閉めたビンを再び熱湯の中に入れてもう一度煮沸消毒。

煮沸後はビンを鍋に入れたまま、お湯が冷めるまで置いて自然に冷ます。冷めたら冷暗所で保存。


 他の食品でも使える保存方法だから早く全国に広めたい。オイル漬けで長期保存する方法も広めたいなあ。


 そんなことを考えながら1人で餃子を包んでいる。これも大半はアイテムボックス行きだ。あの狼たちの食欲はすごい。自分たちで料理出来る狼で良かった。いる時は手伝ってもらえるから。


 普通の餃子とエビ餃子を作った。普通のはチーズ入りとか紫蘇入りも作った。全部包み方を変えたから食べる時に迷わない。

 大人だったらビールを合わせるところだけど絶対に出さない。私だけ飲めないのは辛すぎる。


 1食分を残して全部アイテムボックスに入れた。狼たちには炒飯でお腹を満たしてもらおう。その代わり焼き豚は大きく切ってたくさん入れる。具沢山の中華スープで野菜を取るよ。

 スープだけは先に作っておこうかな。あとはお米を炊いて材料をカットするところまでやっておいて、みんなが帰ってきたらスープを温めて炒飯を作って餃子はホットプレートで焼こう。


 ひと通り準備出来たところで帰ってくる気配がしたので走って出迎えた。

「おかえり!」

「ただいまカレン」

 ルイスが抱き上げてくれる、イケメンに抱っこされるのは嬉しい。子供で良かったと思う数少ない瞬間だな。


モニカがテーブルに釘付けだ。

「夕飯の準備をしてくれたの」

「うん今日は餃子だよ」

「僕も手伝うよ」

…ウィルコの成長が眩しい、あんなにダメな子だったのに。


「じゃあウィルコが炒飯を作ってくれる?作り方は横で教えるから」

 私の指示通りにウィルコが炒飯を作った。ちゃんと美味しそうに出来たよ、この量だと私じゃ中華鍋を振れないから本当に助かる。

ちなみに二頭の狼は催促するようにウロウロしてた。


 炒飯とスープを配膳してホットプレートで餃子を焼きながらいただきます!

「ホットプレートは2つあるから、こっちは普通の餃子ね、こっちはエビ餃子と紫蘇入りとチーズ入り。醤油とお酢とラー油を合わせたタレでも、お酢に胡椒でも、柚子胡椒でも美味しいよ!」


「美味いな!」

「カリカリしたところも中の餡も美味しいわ…いくらでも入るわね」

それは困りますよモニカさん、他の物も食べてくださいね。

「炒飯もお代わりしてね!ウィルコの炒飯パラパラで美味しいよ、お肉も大きく切ってたくさん入れたんだから」


「ああウィルコは料理を含めた一般常識の成長が凄いな」

「本当、こんなに早く頼りになるなんて嬉しい誤算ね。今日の講習会でも立派だったわ」

「ありがとう、みんなのお陰だよ」


 そうなんだ。ウィルコは素直だし教えればすぐに覚えるし出来る子なんだよね。私たちが離れてもこの世界は大丈夫そうで良かった!


「俺は個人的にウィルコにご褒美をあげたいくらいだ」

「ウィルコは欲しいものはあるのかしら?」

ルイスとモニカが大盤振る舞いの気配だ。肉肉しい炒飯が気に入ったらしい。お小遣いの増額とかかな?


「うーん、みんなが来てから毎日が楽しくて仕方ないんだ。欲しいものは特に無いんだけど…それならカレンと一緒にお風呂に入りたいな!」

 どこから出したのかシャンプーハットを手にウィルコが微笑む。


私は転移で自分のエリアに帰った。

変態ロリコン神め!

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