第17話 腹ポコ狼の爆舐め
ふんふんふ〜ん。
私の鼻唄が止まらない。
トマトの生産量が上がるのは確実だ、食料自給率がアップ!食文化の指標も上がるよね!来世に期待しちゃうよ!
商業組合からの帰りは市場に寄って色々な種類のトマトを買った。
宿に戻ってケチャップ作りを教えたらリカルドさんは作り方をすぐにマスターした上に、いろんなトマトで作って比べてた。
今日の宿の晩ごはんはナポリタンだって。気持ちは分かるけど流石に昼も夜もナポリタンは遠慮したいので私たちは結界で食べることにした。結界に戻ったら四つ足のルイスとモニカが肉肉うるさい。
今日は時間がたっぷりあるから手の込んだものにしようかな。でもあの二頭が待てないよね。
「今日は唐揚げにしよう!市場で売ってたゴーヤがあるからゴーヤチャンプルーも作るよ、市場で買ったトウモロコシも茹でよう」
ルイスとモニカの尻尾がグルグルして可愛い。
唐揚げはコクうまでジューシーなもも肉と、あっさり淡白な胸肉、両方揚げよう。作り置きになるよう余るくらい揚げて旅に備えるよ。
「たくさん揚げるからみんなで準備しよう、2人とも人型に戻って」
ルイスとモニカとウィルコと4人で下準備、まずはスジや黄色い脂肪の塊を取って食べやすいサイズにカットする。大量の肉の処理なので時間がかかる。
私とウィルコは普通サイズにカットしてるけどルイスとモニカの食べやすいサイズはデカい。むしろ食べにくいし下味が染み込み難いし揚げる時に中まで火が通らないと指摘して半分にカットさせた。
次に下味、個人的に下味の順番が大事だと思う。一度にすべてを合わせるんじゃなく、まずは塩・こしょう。次におろしニンニクとおろし生姜、次に酒・しょうゆを揉み込んで最後にごま油。下味を油でコーティングするイメージ。このまま置いて馴染ませる。
漬け込んでる間にゴーヤチャンプルーを作ろう、木綿豆腐の水切りをしている間にゴーヤの準備。ヘタを切り落としてから縦半分に切ってスプーンでタネとワタを取り除いて5㎜幅くらいにカットして少量の塩と砂糖をまぶして苦味取り。
豚バラ肉は3〜4cm幅に切って塩・こしょうで下味。水切りしたお豆腐は手で千切っておく。下ごしらえしたゴーヤから出た水分は絞っておく。
フライパンに油をひいて温まったら豆腐を入れて両面に焼き色がつくまで焼いて取り出しておく。ゴーヤも炒めていったん取り出しておく。空いたフライパンに豚バラ肉を入れて火が通ったら豆腐とゴーヤを戻し入れる。
塩・こしょう少々で薄く味をつけたら、溶き卵を全体に流し入れて醤油で味付けして出来上がり。
メインの唐揚げの仕上げだ。
「そろそろ下味が染みたかな」
まずは小麦粉を全体にまぶす。小麦粉で下味の調味料を肉に密着させるのだ。次に片栗粉を全体にまぶして表面をカリッとさせる。
いよいよ揚げだ。
フライパンに油を入れて160度くらいに温めたら衣が剥がれないように油に入れてゆく。
ひっくり返すのは一度だけ、じっくりと揚げたら、いったん取り出して油を切る。大量にあるから4人でやっても時間が掛かる…。
2〜3分休ませたら高温で2度揚げ。今度は180度くらい、高温にすると油が跳ねやすいので注意。美味しそうなきつね色に揚った順に取り出して、しっかり油をきって完成!
半分以上をアイテムボックスにしまったよ。
土鍋ご飯と茹でたトウモロコシと具沢山お味噌汁に茶色い唐揚げの山。ゴーヤチャンプルーの緑と茹でたトウモロコシの黄色が罪悪感を薄めてくれるよね。唐揚げを食べすぎなければ良いだけなんだけど。
「いただきまーす!」
まずは唐揚げから!
サクっとじゅわっと美味しい!
「これ美味しいね!」
「ウィルコも気に入った?このレシピは鶏肉の産地に広めようね」
ウィルコが嬉しそうに肯く。この素直さは美点だよね、この仕事にやりがいを感じてきたよ。ゴーヤチャンプルーも苦味が美味い、味覚が大人で良かった。トウモロコシも美味しい。
「唐揚げは味変したくなったらこのタレを掛けても美味しいよ、油淋鶏のタレ」
長ねぎ、醤油、お酢、砂糖、ごま油、すりおろした生姜とニンニクを合わせた普通のタレと、ごま油をラー油に変えたピリ辛のタレ。
ウィルコより早く反応したルイスとモニカがタレをかけた唐揚げをバクっと食べて白米をもりもり食べた。これも気に入ったらしい、2人からガッガッ!って音がする。また狼に戻った時にお腹がポッコリしちゃうよ。
…食後、腹ポコな二頭の狼に爆舐めされた。唐揚げが気に入ったらしい。
もういいです!分かったから!って何度も叫んだのにベロベロにされてお風呂に直行した。
あの世界的なフライドチキンのチェーン店のレシピを再現したくて、再現度の高いWebサイトをいくつかブックマークしてるんだけど封印すると決めた。生まれ変わった来世で本物を食べるよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます