第15話 サンタンデールのトマト
ルイスの機嫌が悪い。
理由はあんなに調べたサンタンデールで1番料理が美味しい宿がルイス的にイマイチだったから。トマトをはじめとする野菜が多いメニューは狼向きでは無かった。
「ヘルシー過ぎて食った気がしない」
部屋に戻った途端に狼に戻るルイスとモニカ……モニカまで…。
私には美味しかったんだけどね、トマトとズッキーニとナスの重ね焼きも、夏野菜の煮込みも。
「結界のキッチンに戻ろうか」
ルイスに襟を咥えてぶら下げられて転移した。
「すぐに食べられるものだよね、ホットプレートで焼肉にしようか。食べながらどんどん次を焼けるから。ウィルコ、ご飯を炊いてくれる?5合ね」
ウィルコはお米をといで炊飯器のセットができるようになっている。
ルイスとモニカは四つ足でウロウロしてる。久しぶりにネット通販を使おう、この世界の固いお肉を出したら私が食われそうだ。
ホットプレートを2つと焼肉用のお肉と焼肉のタレを買った。
テーブルにホットプレートをセットして…コンセントがないのは便利だな。
焼けたら自分の好きなタレをつけて食べるから特に準備はない。わかめスープも用意しよう、本当はパプリカとかアスパラとか野菜も用意したいけど怖いから今日は無し。フリルレタスは用意しよう、私のために。
すべて並べ終わったタイミングでご飯が炊けた。いくらなんでも早くない?と思ったらウィルコが震えながらよそってる。
ルイスとモニカが怖くて神の技を使ったらしい。正しい判断だ。
「じゃあ始めようか、どんどんお肉を並べてね、焼けたら好きなタレをつけて食べてね! タレとご飯の組み合わせは合うから試してみてね」
人型に変化したルイスとモニカがレアな焼け具合で食べだす…2人からガツガツ音がする。
「このタレと肉と白い米、合うな」
「本当…美味しいわ」
ルイスもモニカも気に入ったようだ、タレにつけた肉とご飯をかっこんでいる。良かった、この勢いで肉を食べられたら何キロ食べるか想像出来ない。ご飯も5合炊いて正解だ。
見ていたら私も食べたくなったので焼けたお肉をタレにつけてレタスで包んで食べる…美味しい〜!でももうご飯は入らない…いやアレなら別腹だ。
追加でカセットコンロを買ってキッチンからフライパンを持ってきた。
フライパンにオリーブオイルとスライスしたニンニクを入れて、ゆっくりと焼き色を付ける。
香りが出てきたら、ニンニクを取出して玉ネギのみじん切りを入れて炒める。透明になってきたら、ご飯を入れてニンニクを戻す。さらに炒めてガーリックパウダーと塩こしょう、コンソメ顆粒を加えて炒める。香り付けに醤油を加えて混ぜたら仕上げにバターを加える。
「カ、カレン!」
「カレン!」
ルイスとモニカが怖い。
「はいはい」
ルイスとモニカには多めに盛って、ウィルコは普通盛り、私は少なめ。
「いただきまーす」
うん美味しく出来た!
「…カレン」
ルイスとモニカが空っぽのお茶碗を持って私を見ている。
「もう食べちゃったの!?」
「もっと食べたい」
お代わりを作らされた。お米、たくさん炊いてもらって良かった。用意したお肉とお米はきれいに無くなった。
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