第9話 本当の自分を殺して

 自分なりに一生懸命やっていたものの、リーダーシップをとるのは向いていなかったようで、周りからの評価は最悪でした。また、私が全て責任を負うことでギリギリ部が成り立っていたような気がします。誰かに本心を打ち明けられればもっと楽に出来たのにと思いましたが、もうすでに私は必要最低限人と関わることを辞めてしまいたいと思うようになっていました。


 ただ、すぐに今ある関係性を断ち切ることは出来ないので卒業後すぐにLINEのアカウントも変えて本当に仲の良い人だけを追加しました。


 人と関わらない、といっても何かしらのグループに所属すればコミュニケーションを取らざるを得ません。そのために、「もう1人の私」を形成しました。


「もう1人の私」は、コミュ力高めで初対面の人でも人見知りせず話しかけにいけます。さらに、飲み会に行けばいじられキャラとしてどんなキツい冗談も笑って受け止める度量のあるキャラクターです。

 こういう一見人付き合いが上手そうなのに、休日は1人で過ごしているような人いませんか?

 その方は、もしかしたら「もう1人の私」を持っているのかもしれませんね。


 でもこれは、結局仮の私です。だから、飲み会帰りはいつもボロボロで最寄り駅に着いた途端涙が止まらなくなることもしょっちゅうでした。私を知っている人は、嘘だろ?と思うかもしれませんが、「繊細でもろい」が本当の私です。


 そんなにキツイのにどうしてこのキャラクターを続けたか?

 一言でいうと「生きる手段」だったからです。当時、HSPという言葉も意味も知らず、何も自分には出来ないし、誰も受け入れてくれないと自身を嫌いになってしまうこともありました。でも、「もう1人の私」は、誰からも愛されます。飲み会に絶対に誘われるほど重宝されます。こうするしか方法が思いつかなかったのです。それに、「もう1人の私」だと不思議とおどおどしないのです。


 今考えると、無茶したなーと思います。だって、自分を殺してるんですから。苦しくないはずがありません。今も「もう1人の私」がいます。でも、前よりは登場回数は減って大分楽になりました。


 HSPを知れたから、今とても楽しく暮らせています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る