第155話 見えない敵

それは突然飛んできた。


下方から何か気配が・・・・確認する前に


「右へ向かえ!」


「!!」


ポチは言葉を発する前に、右に旋回をする。


すると、何かがポチの左側を飛来する。何かがと言っても気配がするだけで見えない。


だが・・・


僕のこの異常なステータス、その威力をいま発揮する時が来たようだ。


僕は咄嗟にそれを掴む。


その敵?は僕が捕まえに来るとは全く考えていなかったようで、その無防備な・・・・姿が見えないから分からないけど、何か長い感じの。


それを捕まえる。


よく分からないがぶるぶる震えている。


それを両手で持って、へし折る。


「ぐぎゃああ!」


凄まじい悲鳴と共に、それは姿を現す。


何だこれは・・・?


何か認識阻害の魔法でも使っていたのか・・・・


何やら得体のしれない、魔物が其処には現れていた。


「ポチ、一体仕留めた。この調子でいくぞ!」


「流石だ・・・・我にはわからなんだ。」



仕方ないだろう。

ポチのデカい体の真下、そのど真ん中めがけて飛来してくるんだから。


ポチも気が付くのだろうが、恐らくよけきれないだろう。


僕は一つの魔道具を出し、ポチに展開する。


「ぬ!何か感覚が変だ・・・・何をした?主よ。」


「結界を張った。ただ、敵を察知するような感覚が少し落ちるから、一長一短だけどね。」


もう一つ作っていた魔道具。


ポチの為に、正体不明の敵に対処するために作ったのだ。


これは敵がポチの方に突っ込んできた場合、突き刺さらずに、結界に触れた瞬間、結界にへばりついてしまうという代物。


それほど効果はないけど、ほんの数秒時間が稼げたら良いわけで。


すると・・・・


「ぬ!これは・・・・」



ポチは向かってくる何かに気が付いたようだが、そのまま無視。


何やら衝撃と共に、結界に何かがへばりつく。


「ポチ、そのままひっくり返って。僕がポチの腹の方に立てるように。」


今その何かがポチの腹の所にへばりついている。


ポチは確認する事なく上下を逆さに。


僕はポチをうまくつかみ、ひっくり返ったポチの腹に移動。


見ると空気が少し淀んでいる?


素早く移動し、一つずつ掴み、へし折る。


数えると、11体いたようだ。


先程のを含め12体。


「ポチ、戻って。」


ポチは通常の姿で飛行を続ける。


僕はポチの背に移る。


「もういないみたいだね。シロに合流しようか。」



ポチは地上に降り、シロに合流。


「こちらは異常が無い。」


どうやらシロに襲う存在はいなかったようだ。


「これで終ればいいけど・・・・この森のエルフは、一体どうなったのだろうね?」


「それなのだがな・・・・奥に何かの気配が複数あるようだ。まだかなり距離はあるが・・・・向かうか?」


「そうだな・・・・取り敢えず安全そうだし・・・・」



僕はゲートを取り出し、設置する。


どうするか悩んでいると、エウラリアが現れた。


「ああ!ちょっと心配してたのよ!」


泣きながら現れた・・・・


「よかった・・・・」


デイフェリアも抱きついてくる。


「カッコつけてからに・・・・」


エメリナは睨んでくる。だが・・・・やはり泣いてるな。


「こんな事と思ってました・・・・」


ローサが静かに手を握ってくれる。


「その、すまないね。あのまま敵を放置するわけにはいかなかったけど、正直君らではその・・・・無理があったから、僕一人でやらせてもらったよ。」


その後こってり怒られました。

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