徳を積む

「溜まってた空き缶、ゴミ出ししとくね」

「ありがとう」

「汚れてたから掃除したよ」

「気が利いて助かるわ」


 いつもは休日の昼に起きる息子が、珍しく朝からてきぱき動いていた。誕生日前でも、正月でもない。


「ねぇ、今日は何かあるの?」

「……くじの発売日。いつも行く店舗でロット買いされていませんようにって、願掛けしてた」

「そう」


 私の顔は引きつりそうになった。朝七時の時点で母親がロット買いしてきたなんて言えない。というか、あんた乙女ゲームプレイしてたの? 勧めたい作品ならいくらでもあるから、隠し本棚の奥に案内したくなる!

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