第6話 ご当地アイドル! ウナ娘!! その②

反日本鰻協会という非公認組織が存在する。

一種の宗教団体・・・と考えて良いのかも知れない。

その組織の理念はこうだ。


『今のうなぎうなぎにあらず、然らば『嘘名偽うなぎ』と名を改めるべし』


この馬鹿丸出しの理念を武器に、日夜反鰻活動を続けているのが反日本鰻協会である。

ところがだ。ところがである。

いるのである。支持者が。それも意外と、多くいるのである。


有象無象の反鰻主義者たち。


その集団をまとめ上げているのが『揺鰻ゆうなぎ家』ともくされている。

しかし。そうもくしてしまうと、それはそれは実に奇妙なことになってしまう。


日本鰻連盟という公式組織がある。

日本鰻連盟は鰻の研究、繁殖、捕獲、密猟者の撲滅運動、生産者団体への情報発信サイト『UnaTuber』の経営管理など、鰻をこよなく愛する人たちが集う素晴らしき連盟なのである。

連盟の影響は大きく、日本の鰻に関わる者は全て日本鰻連盟に従う必要があると称されるほどだ。

その連盟に『揺鰻ゆうなぎ家』の名が連ねてあるのである。連盟の重鎮として。


つまりだ、先の話が本当であれば、『揺鰻ゆうなぎ家』は反日本鰻協会と日本鰻連盟の両方に属していることになってしまうのだ。

しかし、大事なのはそこではない。

ここで大事なことは『揺鰻ゆうなぎ家はどちら側の一家であるか?』ではない。

どちらに属しているか疑われても、それを一切追及されない揺鰻ゆうなぎ家の権力の強さが大事なのである。


が今、私の眼の前で見せつけられている。

私は少し前に述べた。『朝一電車に乗って柳川やなぎがわへと行こうとしている』と。

西々にしにし鉄道の朝一電車は午前6時前後、その電車に乗って揺られて一時間程度で柳川やなぎがわへと到着した。


すなわち今は、朝7時の時間帯。


にもかかわらず、眼の前の光景はどうだ?


土曜であるが、朝7時の交通量が多い時間帯にも関わらず、『ウナギ娘シスターズ』(以降『ウナ娘』)が駅前の広場で大々的なライブを行い、交通の便を妨げている。

いつもこうだ。

時間を変えるように要請があっても、朝が強い彼女たちは絶対に折れたりせず、朝7時からの活動を止めずに決行する。そこは揺るがない。


にもかかわらず、誰もそれを責めることはしない。


『ウナ娘』の驚異的な人気もあるだろう。

ご当地アイドルとは名ばかりで、もはや国民的アイドルと言っても過言ではない彼女たちの実力もあるだろう。

しかしだ。それでもやはり、彼女たちの苗字の影響が何よりも大きいだろう。


―――ウ~~~~ッ! ウナぴょい♪ ウナぴょい♪

ウ~~~~ッ! ウナぴょい♪ ウナぴょい♪

3・2・1・ハイ!ウナだっち~~~♪

ウナ ウナ ウナ ウナ ウナ娘~~~♪


今日も可愛く元気よく、自分たちを観に訪れた観客たちを喜ばすために全力を尽くす『ウナギ娘シスターズ』こと『ウナ娘』たち。

手を抜かず、いつも全力直球勝負のため、公演中は汗びっしょり。


そんな彼女たちはいつみても・・・濡れている。

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