二人は車に乗って戦況が良く見える丘へと向かった。朱麗月と荀令に加え御者が一人だけ、麗月と令は鬼彊と矢筒を提げ長い鉄の得物を手にしているもののそれは不用心極まりないものとも言える。「孤より先にいた瓏華はこの地での両軍の衝突を既に幾度か見ているだろう、どうなんだ?」と戦況を眺めながら麗月が問うと、険しい山の方を見ていた令はそのまま「見ての通りの規模の小さい衝突が同じように繰り返され続けているだけだわ。こちらが何かを仕掛けるにも駒が足りないし、飛軍も様子見を続けているだけ、これまでずっと」とか細い声で言う。ふむ、と麗月が言うと更に「敵の主将は衛信、皮肉なものね」と続けた。信は過去に令が討ち取った壮候衛晃の後である。「紅と飛の間の隋津の戦役の最中に部下の裏切りで横死したのは高丕であっただろう」と麗月は彼女の背に問いかけると「高丕の後は周中で戦死してるわ、王を守ってね。妾が言っているのは衛信の敵がここにいるという事……。まぁそれに加えて隋津の役では飛が紅を攻めきれずあの隘路に長大な陣を敷かざるを得なくなってしまったことが大敗の原因な訳であるけど彼らは拙速を尊んでいない、そもそも年を跨いで睨み合うのは国内の情勢を考えると不可能だから何処かで大規模な攻勢に出て冬になる前に鍾陽まで軍を進めたいはずなのに……。ただ、それはこちらも同じ。紅はこちらに兵糧を融通してくれるかもしれないけどね」と早口で散らかった内容の言葉を返してきた。「孤の姿を一目見たい訳だ」と麗月が笑うと「でしょうね、紅龍の虚を突く神速の行軍を恐れている、紅龍が見えないうちに動かせば、長く伸びた大蛇の腹を食い破られると恐れている。逆に言えば黒龍衛があの小競合いに姿を現したらすぐ進軍してくるかもしれないわね」と更に言を続けるとそこで初めて山を眺めるのを辞めて麗月の方を見た、正確には眼下の狭い平地で繰り広げられる争いに目を遣っただけであるが。同じくして交戦を眺め始めた麗月の背に寄りかかり、頬が触れるほど麗月に近付け顔を並べて奮闘する両軍を観戦する。「あれが飛国の麒麟騎か」と麗月は言葉を漏らす、麒麟騎は飛の鬼士を集めた精鋭の騎兵隊で、規律正しく盾を並べた歩兵、そしてその後ろにありて機会を伺う弩兵の戦列の前を周回しながら矢を浴びせかけている。只の弓騎兵であれば、その矢の威力も射程も弩に比べて弱く引き付けてからの斉射で屠ることも可能である、練度と胆力を兼ね備えていればであるが。ただ、鬼彊を持つ彼らは馬を駆りながら弩と同じ威力を持つ矢を絶え間なく戦列に浴びせ続けるため、隴国の弩兵は中々それを発射できずにいる。「この狭い中、しかも平らでない地で良くあれほどうまく馬を御すとはな」と素直に感嘆していた麗月であったが、一際目立つ金の装飾が施された豪華な鎧を纏う騎士を見てすぐ横の令の頬を撫でながら「あれが衛信か?」と問う。そうでしょうね、と令が小さく漏らすと、彼の放つ矢が盾を突き破りその奥の兵を貫くのが見えた、その風を切る音がこちらに届くのではないかと思うほどその矢は速かった。時折、隴軍も機を見て斉射し馬を射抜きそして麒麟騎を斃しているが、それ以上に飛軍が戦果を挙げている。「あれは厄介だな」と麗月が漏らすと「そろそろ帰りましょうか」と令が言ったため彼女たちは御者に声を掛けるために振り返ろうとする、その時麗月は何かを感じ取った―――衛信がこちらを確かに見ているのを。

その夜、麗月と令は接収した村の長の屋敷の四阿で酒を酌み交わしていた。隋水の西に布陣してからこの屋敷は令が一人寝泊りをしていたが、今夜は所狭しと黒龍衛の女が詰まっている。人を払って二人で白酒が張られた耳杯を手にしているのはもちろん旧交を温めるためでもあるが、それ以外の理由もあった。「来年は満足に白酒も飲めぬかもしれんな」と麗月が言うと、令は「妾の家に褐焼酒の樽がいくつかあるわ、遊びに来てくれたら歓迎する」と口許を少し綻ばせた。褐焼酒は白酒を樫の樽で熟成させたものである、歴史は浅く、三国が和を為したより後のものである。液体を保管するための樽というものは手がかかり非常に高価なものであるため元々は白酒に於いては贈答用の品のみ用いられていたが、誰かが忘れてしまっていたものを開けて飲んだところ、これが甘く美味であったことから、隴では富裕層の嗜好品として作られるようになった。「しかし、どちらにしろ戦いが続くのは好ましくない」と麗月は耳杯の酒を飲み干した。「この辺りは田畑も多く、ただでさえ不作だったというのに、戦でまともに手入れもできないとなれば隴の国の首が締まる」と嘆く彼女に令は「鬼術を以てして天地と調和しその身を不滅とするのは、死人になる事と余り変わらない。それなのに死すべき者たちの世に振り回されるとはなんとも悲しい事ね。紅龍は偏狭で高慢な振りをしているけど、その本性は仁に溢れている、妾みたいに隠者になればよかった」と涼し気に言葉を返した。「しかし、約束を違えるのは好まぬ。神仙のような存在になったとしても、やはり所詮は人。鬼謀などと言ってもそれは人の枠の中のもの。気儘に生きられぬように絡めとられてしまうとは、いやはや、これが最もな失策であるな」との麗月の自嘲に令は「約束など破っても良い、それが悪意や我欲によって破られたものであれば。世に混迷が訪れることはない、ただ何らかの報いが巡ってくるだけ、凡そそれらはごく小さい環の中を巡るだけ」と返す。「そう言う割には瓏華は約定を違えた事など一度も無いようだが……」「妾も所詮は人」「ただ瓏華の言わんとすることは分かる、これがもし大義に基づいたものであるときに世を揺るがせるからな」この問答のあと令は暫く押し黙った。しばしの間、二人は静かに酒を飲んでいたがふと令は口を開いた。曰く「飛軍は山の方で軍を動かしているわ、紅龍が来るまでは縦横に趨勢を操ることはできないからこれに備えてこちらも一軍を山に入らせ備えさせている。これが機能すれば向こうも攻め手を欠き、睨み合ったまま無駄に日が過ぎ国が痩せる」と。「この地に引き込んでその陣を更に長くさせると同時に、勝利の美酒に酔わたところで寝首を掻きたいと言う訳か」と麗月は彼女の意図を汲んでそう言った後に腕を組み首を傾げ視線を机の上の酒に落とした。「朝廷がどれほど深刻にこの事態を捉えているか、それが司馬司間の言からも見えてこないのでしょう。それならば飛軍を大いに破り力でこちらの要求をのませるしかないわ、この事態を速やかに収めたいのであればね」例えば、山からの奇襲を用いて挟撃を行わんとする敵の策にかかり軍を隋水の東まで一度撤退される、なおかつ、それが敗走に見えるように、想定外の事態による撤退に見せかけて引き込むとすれば被害は甚大。麗月自ら黒龍衛を率いて殿を務めていなければ不自然に見えるだろう、しかしもしそうするとすれば、幾らかは必ず黒龍衛を喪うこととなる。実のところ麗月は自らが苦境に立つような戦い方に慣れていない、というよりその経験がない。寡兵であっても選りすぐりの隊を率いてきただけであり、それを用いて相手を翻弄することで勝ちを得てきた彼女は戦場において汚れ役となる事は無かったからだ、そういう苦しい所は武王やその優秀な将たちが引き受けていたから。「紅龍、共に眠りましょうか」とそんな少女らしい見た目通りに気が小さくなっていた彼女の手を令は握り閨へと導いた。

翌日、麗月がこの戦場に到着したうえ、飛軍の攻勢が無いということで本陣で軍議が行われていた。「山の上の物見によりますと敵方の総数は十から十五軍程度との報告があります。敵の陣は隋津を更に超えた先まで細く長く伸びているとの事。こちらは総勢五軍ですが隘路の先で待ち構えているということで飛軍もこれを抜けないでしょう。半ば絶澗といえる地が敵陣の最前線となっているため、突破力に優れた騎兵でこちらを押し込むことが出来ずこれからも今日までの様に小規模な矢の撃ち合いが続くでしょうな。片やこちらはその先の開けた地に布陣していますから、全軍で比べれば二倍もしくは三倍も飛軍の兵数が多いですが、戦闘の起こる箇所ではこちらの方が兵数で有利となります。山の方にも一軍を伏せて置いてあり、敵方にはこちらを崩す手が無いでしょうな」と周将軍が改めて戦況をまとめた。周将軍こと周真は瑜の武王の後であり文王の弟で並外れた武勇を持っていた威公の後にあたる。武王の後継者争いで戸数だけは多いが実権の無い立場に追いやられていたため隴に流れてきたという過去がある。「まるで紅飛間で起きた隋津の役のようだな、あの大敗北は彼らの頭の中に必ずある。長きに渡る対陣で緩んだ陣に対する山そして海からの奇襲による大敗が頭にあるからこそ、船を浮かべ海からの奇襲に備えているし、山への警戒を怠っていない。これならば飛軍は陣の空気が弛緩する前にどこかで流れを変える手を打ってくるやもしれんな……」と郭将軍は言った。「郭惇の後か……。あの時の降伏は衛晃を仕留める至上の一手だったわね」と令は口を開いたがその言に郭将軍は気を悪くする。郭惇は瑜の武王に仕えていた将軍で、軍法を厳然と守り軍をまとめ上げ赫赫たる戦果を上げてきた人である。飛軍の猛烈な北上を必死に耐える周忠将軍の救援に向かう際に洪水と土砂崩れに巻き込まれ糧秣と武器を失い衛晃に降伏するその時までは唯一度の敗戦すらも喫したこともなく軍人としては周雲の親族で腹心であった太史仁に次ぐ地位にあった。それだけに降伏に対する誹りは苛烈で、帰国した際に、武王の後を継いだ文王からの侮辱を受けて憂悶の内に斃れた。郭将軍こと郭昭はその後であり、隴に一族で越してきたのもそうした理由によるものだから令の言葉に苛立ちを覚えるのも当然である。もっとも令がその降伏を至上の一手と褒めたのにも確かな理由があり、衛晃は義侠心に厚く投降兵を手厚く遇したため兵站が崩壊した、その際に紅軍の支配下にある村から食糧を奪ったのである、もともと隴国は三国の係争地であり紅に正当な参戦理由を与えてしまうのは最も避けるべきことであった。それに、そもそも荀令という人は言ってしまえば多くの人から忌み嫌われている、その言が人を苛立たせるというところもあるが、紅に仕えていた令は飛軍の北上の背後を急襲し軍神衛晃を討ったからである、令はその際に亡骸を何度も突き刺したと史書に残っていることも大きい―――もっとも彼女に言わせれば晃も同類である天地と調和した鬼士であり確実に殺し切らなければこの身が危ないと感じたからとのことらしい。韓の土着的な神仙信仰に於いて忠義を尽くした末に非業の死を遂げた人物は強い霊力が宿るとされる、そんな神を殺した令は諸国で流行っている講談の中に於いて戦勝の宴の際に晃の霊と邂逅し一閃のもとに切り伏せられその醜い老婆である真の姿を暴かれ憤死する。「ただ不自然だとは思わないか?彼らは思ったよりも兵站に余裕がある様に思える」と麗月が言うと「不作が飢饉に繋がるということは失政があるということ、例えば隴においても昨年は不作であったが民の生活は困窮していない。飛では重い税の結果による飢饉であって兵糧自体は多くある、ということでしょうか?」と司馬禁の長男である司馬宮は咄嗟に応えたがすぐに「ただそれも不自然でしょう、戦に備えて租を厳しく取り立てるのは愚かな王ではよく見らたことですが……。ただ宮としては何とも言えません、商人と官吏が結託した汚職の結果あるべきものが無い状況になるというのは考えられなくはないですし。まぁ今はこの件を深く詮索しても無駄でしょう、使いを出して調べさせておきます」と続け、そのあと一度息を落ち着ける。「朱公は隴の継戦能力に懸念があり、また来る秋の収穫も芳しくなさそうである事を憂いておられるのだと思います、それは正しい、隴もこの状況を続けたくはないのですから。凡そ鑑みるに飛の乱の前の軍勢は四から五十軍、これが乱によって二から三十軍にまで減ったとしてもまだ、未だに落ち着きを見せない国内の憂いを断つには十分な軍勢が飛にはある……無難なのはこのまま対陣を続けて朝廷の使者を待つことだと思いますがね、あまりこの布陣を大きく変えるべきではないかと。乱世であれば、素早く事態を収めるべきなのは間違いありませんが……」と宮は言った。現状維持以上の答えはこの軍議では明らかにならない、詰まるところ、負けない態勢を作り上げるのは自軍の力に依るものであるが、勝てる状況になるかは相手次第であるから。「朱公、使者がお見えです」と澱んだ空気を変えるかのように伝令がこの場に現れた。「ほう?」と麗月が彼に目を向けると「飛国の衛将軍がお見えです」と言うものだから麗月は思わず笑ってしまった。

「朱公、お初にお目にかかります。衛信と申します」と、目の前の若くして艶やかな髯を湛えた偉丈夫がそう拱手する。「孤が朱麗月だ、よくぞ参った」と彼女は彼に近付く。六尺程度しかない麗月と、八尺を越える信が向かい合うその姿は父と娘のようにも見えたが、それにしては麗月の衣服は煌びやか過ぎた。「して、態々大将がこちらの陣に来るとは何事かな?軍を引き下げる前の別れの挨拶か?」と麗月が問うと「古の時代に並ぶ者なき勇名を馳せた朱公に一度お会いしてみたいと思いまして……」と恭しく信が言ったため「立ち話もなんだろう、あちらに接収した屋敷がある。そこで碁でも打ちながら歓談しようではないか」と麗月は彼を陣から少し離れた場所へと誘った。ぱちり、ぱちり、と碁石が打たれる音が響く。昨日、麗月と令が酒を飲んでいた四阿の周りは武装した黒龍衛に取り囲まれているが衛信は耳杯を片手に堂々と背筋を伸ばし椅子に座っていた。その一方で麗月は肘掛に肘を置き拳に頭を乗せて盤面を見ていた。その盤面では麗月が信を圧倒していたため「これは、敵いませんな……」と彼は投了する。「象棋の方が得意だったか?」とつまらなさそうに麗月が言うと「いえ、もう一戦やりましょう」と彼は諦めなかった。戦争中であっても、親交のある将同士が面会することはよくあった。それこそ衛信の先祖である衛晃は隴南で瑜軍と対峙中によく瑜の名将関権と歓談を愉しんだという逸話が残っているほどだ。これを踏まえて「卿は衛候を真似ておるのか?」と笑いながら麗月は問うと「その場合は朱公ではなく関候の後でなければならないでしょう、尤も、郭将軍とは違って今でもその一族は瑜に仕えておられるのでしょうが」と信は答えた。「それは良かった、何しろこの女はあの荀令だ」と言って麗月は側で立ちながら黙って二人を眺めていた令をその腕で側に引き寄せた。「荀君とも是非一局打ってみたいところですね」と飄々と信が言うと「時間の無駄よ。象棋も碁も、紅龍よりも妾の方が強いわ、戟を交えるにしてもね」と令はそれを冷たく遇いながら麗月の肩に肘を置き盃を手にした。何局も打ったところで彼は一度も麗月には勝てず、太陽が真上に登る頃になると麗月に別れを告げて帰って行った。隴の国は夏は暑く、冬の寒さは厳しい。照り付ける太陽の下、馬に乗って帰っていった衛信の背を見送ると二人は本陣に向かい始める。彼の金の龍の装飾が多く施された煌びやかな甲が太陽に照らされて輝いているのを見た麗月は「暑そうだな」と独り言ちると「飛軍は明日、一大攻勢を掛けてくるでしょうね。彼らが攻める上での懸念である紅龍と黒龍衛の所在が此処であることを確かめたから」と令は言うからそれに麗月は頷いた。本陣に戻った麗月は布陣についての問い始める、曰く「こちらも長期戦に備え柔軟な布陣に少し変えていかねばならんな。後方との往復に必要な橋はどうなっている」と。「現在、隋水を渡る浮橋は輜重の往復のための最小限のものとなっています。攻勢に備えて後方には十分予備があります」と真は答える。「宜しい、防備に備えて大規模な配置の転換を行いたい、今から少し本数を増やせ……」と言い麗月はそれから更に細やかに説明し始めた。「それから、こうも暑い中での山側の伏兵は大変であろう、隋水の東側の陣から二部隊が交代で番をするようにしたいが……」と麗月が言うと「今日はこれを一旦上流の沢を渡らせて下げましょう、今すぐ狼煙で伝えれば陣まで戻ってこれるでしょうね。それから隴山兵がこれにあたるのが最善なのでこれと交代で上がらせましょう、そうするとこちらは今夜は沢で待機することになるでしょうが……」と司馬宮が麗月と令の二人の顔を見ながら言うとこれに対して昭は「あの地が一日でも空くとこの陣が危うい、愚策だ。確かにずっと山で寝泊まりしていれば力を発揮できなくなるやもしれぬがそもそも定期的に後方の陣から補給の者たちが行き来しているのだ、後詰が来てから下がっても良いだろう」と苦言を呈する。「郭将軍の白龍騎士は今頃はどうしておる?」と麗月が問うと「東の陣で待機しております」と彼は答えた。「ふむ、それは良い。ただ孤は伏兵の地に二軍が詰まるのはやや危ないようにも思う」と麗月が言うと昭は「それで相手に勘付かれたり、奇襲を仕掛けようとした軽装の兵と混戦になるのは確かに危うくありますな。昭にはこれ以上申し上げるべきことはありません」と拱手した。軍議が終わり一通り指示を出し終えると令は宮の歩み寄る。その陰鬱さを多分に含みながらどこか淫靡な眼光に彼はたじろいだ、傾国の色香を纏い、その身を美しく飾る金の鎖がちいさな鈴のように控えめに鳴る音とともに死を想起させる冷たい方錘戟を引き摺る音を鳴らして歩み寄る彼女は麗月以外の人からするとあまりにも不気味なのだ。「卿は山に登るのが好きか?」と彼女は宮に小さな声で問うた。「弓馬には親しんでおりますがそれはあまり好きではありません」と答え、その後に「隴山兵を率いる将である龐璋武は我が友です、昔は侠者気取りで黥面文身の荒くれ男でしたが母が病で死んでから勉学を志す様になり、ちょうどその頃、共に学んでいました。腕っぷしは強くさらに機転の利く男です、少々血気盛んなところが未だにありますけどね」と彼女の耳元で小声で宮は伝えた。令は、そう、とだけ答えて去っていったが宮の顔の紅潮は暫く止まらずその彼女の纏う香の匂いが鼻から中々離れなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る