第3話
頭が真っ白になる混乱が脳内を支配する。
「嘘だよね・・・・・・?」
私と友人が残された教室に声が木霊した。
「嘘じゃない、と思う。 さっきその話でクラスの女子数人が盛り上がってたの」
「私どうしたらいいのかな。 二人は付き合うのかな」
「分からない 、貴方はどうしたい?」
と尋ねてくる。
私は――ここで彼が告白を断ることに期待して待っているのもいいかもしれない。
そんな考えが飛び出したと同時に自分に酷く嫌悪感を覚える。
私って今まで知らなかっただけで結構嫌な奴なのかな。そんな私が彼に選ばれないのもしょうがないのかな。すると友人が私の心を見透かしたかのように
「ここで待っているのもいいかもね」
なんて言い出した。今の私にとってとても優しい言葉だと思う。
だけど――それじゃあ――今の私のままだ。
一歩踏み出して彼の元へ。
「私、今どうしたらいいか全然わからなくて、泣きそうだし、彼が告白されて付き合うことになるかもしれない瞬間を見るのはすごく怖い。 でもこのままじゃ私嫌なの。 今度は私からもう一歩彼の方へ歩み寄りたい」
そう告白すると友人はきょとんと私の顔を見つめた後に苦笑しながらも
「そんなこと言うキャラだったっけ。 ほら行ってきなよ、頑張っておいで」
その後に何かったら胸くらいは貸すから、と付け加えて私を鼓舞してくれる。
「ありがと、頑張ってくる」
私はその言葉を最後に教室を飛び出す。
そういえば場所はどこだっただろうかと思い出そうとするが、彼のことで頭が一杯で場所を聞く事をうっかり忘れてしまっていたようだ。
それでも私の体は止まらず走り続ける、理屈じゃない。焦燥感が私を駆り立てている。
友人と彼が日々過ごす教室に向かうが残念ながらもぬけの殻となっていた。
他に人目につかない場所といえば体育館裏だろうか。足早で向かい顔だけを乗り出す形で視線向けようとすると、ガサッという音が聞こえ咄嗟に頭を引っ込める。
心拍の上昇がが止まらなくなる。全速力で学校中を走り回っていたからだけではない。
彼がどんな返答をするのか、それを想像しただけで不安が脈を激しく叩くのだ。
その後、静寂がその場に漂い、再びガサッと葉が擦れるような音が鳴る。
私は顔を覗かせると――そこに彼らはいなかった。
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